学生アルバイトと社会保険2026|106万円の壁は撤廃・学生は引き続き対象外

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勤務先の社会保険に入る2つの入口と、学生がどちらも通らないことを示した図解 守る力
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最終更新:2026年10月1日

この記事は2026年10月1日に、厚生労働省「厚生労働省関係の主な制度変更(令和8年10月)について」「改正の概要」、日本年金機構の特設ページ「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大」と年金Q&A「短時間労働者の要件にある『学生』とは」、e-Govの厚生年金保険法第12条(2026年10月1日施行版)を開いて、賃金要件の撤廃・学生の除外・会社の規模の段階を確かめ直しました。

この記事の結論(Summary)

  • ここでいう「社会保険」とは、勤務先で入る健康保険と厚生年金保険のことです。国民健康保険や国民年金とは別のものです。
  • 学生アルバイトは、原則としてここに入りません。入口が2つあり、学生はどちらも通らない作りになっています。
  • ニュースで聞いた「106万円の壁」の入口は、そのうちのひとつです。月8.8万円の条件は2026年10月1日になくなり、いまの条件は週20時間以上と「学生でないこと」です。学生には来ません。
  • もうひとつの入口は週30時間・月15日。留学生は週28時間が上限なので、ここにも届きません。
  • 主な例外は4つ。休学中、定時制、通信制、卒業後も同じ会社で働く予定の人は「学生でない」扱いになります。
  • 日本語学校の学生も「学生」に入ります。修業年限1年以上の各種学校が対象だからです。
  • 引かれないかわりに、国民健康保険料と国民年金保険料は自分で払います。どちらも下げる手続きがあります。
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2026年10月の変更と学生(短いQ&A)

Q. 10月から何が変わった?
2026年10月1日から、パート・アルバイトが勤め先の社会保険に入る条件のうち「月8.8万円以上(いわゆる106万円の壁)」がなくなりました(厚生労働省「主な制度変更(令和8年10月)」)。いまの条件は、週20時間以上であることと、学生でないことです。

Q. 大学生や留学生も入るようになった?
入りません。学生の除外は法律にそのまま残っています(厚生年金保険法第12条第5号)。大学・大学院・短大・専門学校・高校、修業年限1年以上の各種学校(多くの日本語学校)の学生は、週20時間以上働いても対象外です(日本年金機構「『学生』とは」)。

Q. 学生でも入るのはどんなとき?
卒業後も同じ会社で働く予定の人、休学中の人、定時制・通信制の人などは、学生でも対象になります。週30時間・月15日以上(4分の3基準)働く場合も入りますが、留学生は週28時間が上限なので届きません。

Q. 小さい会社のバイトは?
いまは厚生年金の被保険者が51人以上の会社などが対象です。2027年10月から36人以上、2029年10月から21人以上、2032年10月から11人以上、2035年10月から規模の条件がなくなります(厚生労働省「改正の概要」)。学生の扱いはどの段階でも変わりません。

Q. 最低賃金が上がると何か変わる?
変わりません。賃金の条件はもう撤廃されたので、最低賃金がいくら上がっても、学生が社会保険に入るかどうかは同じです。撤廃の日は、全都道府県の最低賃金が1,016円以上になったことを踏まえて2026年10月1日に決まりました(厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」)。

これが分かると、学生バイトは社会保険に入らないと分かり、「106万円の壁」のニュースに振り回されずに済みます。

会話の場面のイラスト。左の人「バイトでも社会保険に入るんですか?」、右の人「学生は原則、入らないよ」。

給与明細を日本人の友達と見せ合ったら、引かれているものが違った。向こうは「健康保険」と「厚生年金」が引かれていて、自分は所得税だけ。手続きを忘れているのではないか、あとでまとめて請求が来るのではないか——そう思って調べる人がいます。

忘れているのではありません。制度がそうなっています。

学生アルバイトと社会保険とは?——勤務先で入る保険の話

日本には、健康保険が2つの系統あります。

  • 勤務先の健康保険・厚生年金保険……会社が半分払い、残りが給与から引かれる。この記事で「社会保険」と呼ぶのはこちら
  • 国民健康保険・国民年金……自分で市区町村に払う。学生や自営業の人が入る

どちらか一方に入ります。両方ではありません。そして学生アルバイトは、ふつう下の側にいます。

勤務先の社会保険に入る入口は2つあります。日本年金機構が両方を公表していて、学生はどちらも通らないようになっています。

勤務先の社会保険に入る2つの入口を左右に並べた図。4分の3基準は週30時間からで、留学生の上限は週28時間なので届かない。適用拡大は条件に「学生でないこと」が入っていて、学生でないことの条件で閉じる。例外は休学中など
入口は2つ。留学生は上の門に届かず、下の門は最初から閉じています

106万円の壁はなくなりました。学生の扱いは変わりません

まず、よく話題になるほうから。厚生年金の被保険者が51人以上の会社などで働く短時間労働者は、次の2つを満たすと社会保険に入ります(厚生労働省「改正の概要」)。

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 学生でないこと

以前はもうひとつ、所定内賃金が月額8.8万円以上という条件がありました。年に直すと約106万円で、これが「106万円の壁」(「106万の壁」とも書かれます)と呼ばれていた条件です。この条件は2026年10月1日に撤廃されました(厚生労働省「主な制度変更(令和8年10月)」)。2026年10月1日施行の条文に残っているのは、週20時間と学生の2つだけです(厚生年金保険法第12条第5号)。

注目してほしいのは2つ目です。壁がなくなっても、「学生でないこと」は条件に残りました。週20時間を超えて働いても、学生であるかぎりこの入口は開きません。

短時間労働者が社会保険に入る条件を順に通るフロー図。1 週20時間以上、2 学生でないこと。学生は学生でないことの条件で外れる。月8.8万円の条件は2026年10月1日に撤廃された。会社の規模が36人以上になっても同じ

なお、この対象になる会社の規模は2027年10月から36人以上、2029年10月から21人以上、2032年10月から11人以上に広がり、2035年10月に規模の条件がなくなります(厚生労働省「改正の概要」)。学生の扱いはどの段階でも変わりません。

もうひとつの入口は、週30時間です

もうひとつは古いほうの基準で、こちらは学生も通ります。日本年金機構はこう説明しています。

以下の1および2が一般社員の4分の3以上である場合は、被保険者になります。(1)1週の所定労働時間が一般社員の4分の3以上(2)1月の所定労働日数が一般社員の4分の3以上。(例)一般社員の1週の所定労働時間が40時間で、1月の所定労働日数が20日である場合、週の所定労働時間40時間×4分の3以上=30時間以上、1月の所定労働日数20日×4分の3以上=15日以上

日本年金機構「私は、パートタイマーとして勤務しています。社会保険に加入する義務はありますか。」

年金機構は別のQ&Aで、学生であってもこの基準を満たせば一般被保険者になると明記しています。学生だから入らない、ではありません。

ただし留学生には週28時間の上限があります。30時間には届きません。28時間の上限がある限り、この入口も通らないということです。資格外活動許可の枠が、そのまま社会保険の枠にもなっています。

週の労働時間を棒の長さで比べた図。一般社員(例)は週40時間、4分の3基準は週30時間で加入、留学生の上限は週28時間で30時間に届かない。日数も4分の3で月15日

「学生でない」扱いになる4つの場合

例外があります。年金機構は、次の人は学生でも社会保険の対象になると書いています。

  • 卒業した後も引き続き同じ会社で働くことが決まっている人
  • 休学中の人
  • 定時制課程に在学する人
  • 通信制課程に在学する人(いわゆる社会人大学院生なども同じ)

気をつけたいのは休学です。社会保険のルールでは、休学中の人は「学生でない」扱いになります。ただし在留資格「留学」の人は、休学中はそもそもアルバイトができません。資格外活動許可は、学校で学んでいる間のためのものだからです。休学を考えているなら、休学したらビザとアルバイトがどうなるかを先に読んでください。留学以外の在留資格で学校に通っている人が休学中も働き続けると、会社の規模と働き方によっては社会保険に入ることになります。

休学したときの分岐図。休学すると学生でない扱いになる。在留資格が留学なら、許可は学ぶ間のためなのでアルバイトができない。留学でなければ、会社の規模と働き方しだいで社会保険に入ることもある

卒業予定で内定先に入る人も同じです。3月まで学生でも、そのまま同じ会社で働くなら「学生でない」扱いになります。

日本語学校の学生も「学生」に入ります

ここは誤解が多いところです。年金機構が挙げている「学生」は、高校・中等教育学校・特別支援学校・大学(大学院を含む)・短期大学・高等専門学校・専修学校、そして修業年限が1年以上の各種学校です。

日本語学校の多くは各種学校で、修業年限は1年以上あります。だから対象に入ります。年金機構は「具体的な対象校は学生納付特例対象校一覧に掲載されている学校と同一」と書いていて、その一覧には外国の大学の教育施設を含む別表まであります。

自分の学校が入っているかどうかは、国民年金の学生納付特例が使えるかどうかと同じです。学校の事務室で聞けば分かります。

手取りはどうなるか——引かれないかわりに、自分で払う

社会保険に入らないので、給与から健康保険料も厚生年金保険料も引かれません。同じ額を稼ぐ社会人より、手取りの割合は高くなります。

そのかわり、保険と年金は自分で払います。ここが見落とされます。

学生と就職した人で社会保険のお金の出方を比べた図。学生アルバイトは給与から引かれず、国保は月1,630円、年金は学生納付特例で在学中の支払いを猶予でき、どちらも申請して自分で手続きする。就職した人は給与から引かれ、会社が半分払う
出ていく場所が違うだけです。ただし学生の側には、どちらにも下げる手続きがあります

そして、その2つにはどちらも下げる手続きがあります。

両方を使うと、社会保険にかかるお金は月1,630円まで下がります。どちらも申請しないと始まりません。入らないから安い、のではありません。手続きをするから安くなります。

卒業して就職したら、ここが変わります

就職すると社会保険に入ります。健康保険料と厚生年金保険料が給与から引かれるので、額面から手取りへの落ち方が学生時代より大きくなります。

それでも収入そのものが上がります。就職と給料の記事で見たとおり、技術・人文知識・国際業務の平均月給は343,100円(厚生労働省「令和7年外国人雇用実態調査」)で、学生の上限143,360円(東京都の最低賃金1,280円×週28時間の月112時間・東京労働局)との差は年約240万円です((343,100円−143,360円)×12か月=2,396,880円)。引かれる額が増えても、残る額はずっと大きくなります。

月額を棒の長さで比べた図。学生の上限143,360円(東京都の最低賃金1,280円×112時間)、技術・人文知識・国際業務の平均月給343,100円。差は年約240万円で、就職すると保険料は給与から引かれる

厚生年金は、帰るときにも意味を持ちます。払った分の一部は脱退一時金として請求できます。

終わりの判断——今日確かめること

この記事でやることは3つだけです。

  1. 給与明細を見て、健康保険料と厚生年金保険料が引かれていないことを確かめる。引かれていないのが正常です。残る所得税の行が正しい額かは、給与明細の見方で国税庁の表と照らせます
  2. 引かれているなら、週30時間以上・月15日以上働いていないか確かめる。留学生ならその時点で28時間の上限を超えています
  3. 国民健康保険料の軽減と、国民年金の学生納付特例。この2つを申請しているか確かめる

1が正常で3が済んでいれば、この話は終わりです。休学するとき、卒業して就職するときに、もう一度だけ読み返してください。

よくある質問(FAQ)

Q. 留学生は社会保険が免除されるのですか。
免除ではありません。学生は勤務先の社会保険の対象から外れている、という設計です。かわりに国民健康保険と国民年金に入り、自分で払います。免除に近いのは学生納付特例のほうで、こちらは国民年金の支払いを在学中猶予する制度です。

Q. 106万円を超えて働くと、社会保険に入りますか。
学生は入りません。月額8.8万円(約106万円)の条件は2026年10月1日に撤廃され、いまの条件は週20時間以上と「学生でないこと」です。学生であるかぎり、いくら稼いでもこの入口は開きません。

Q. 日本語学校の学生も「学生」に入りますか。
入ります。修業年限が1年以上の各種学校が対象で、日本語学校の多くがこれに当たります。年金機構は、具体的な対象校は学生納付特例の対象校一覧と同じだと書いています。

Q. 休学したらどうなりますか。
社会保険では「学生でない」扱いになります。ただし在留資格「留学」の人は、休学中はアルバイトができません。留学以外の在留資格の人が休学中も働き、厚生年金の被保険者が51人以上の会社など(2027年10月からは36人以上)で週20時間以上なら、社会保険に入ることになります。

Q. 社会保険に入ったほうが得ですか。
働ける時間に上限がある留学中は、選べません。28時間の上限がある限り週30時間には届かず、短時間労働者の入口は学生であることで閉じています。選べるようになるのは、卒業して就職してからです。

Q. 雇用保険はどうなりますか。
社会保険とは別の制度です。昼間学生は原則として雇用保険の被保険者になりません(だから失業保険も出ません。いっぽう労災はバイト中のケガにも適用されます)。この記事で扱っているのは健康保険と厚生年金保険の話です。

まとめ

  • ここでいう社会保険は、勤務先で入る健康保険と厚生年金保険のこと。国民健康保険・国民年金とは別
  • 入口は2つあり、学生アルバイトはどちらも通らない
  • 短時間労働者の入口(週20時間以上。月8.8万円の条件は2026年10月1日に撤廃)には「学生でないこと」が入っている
  • もうひとつの入口は週30時間・月15日。留学生は28時間が上限なので届かない
  • 主な例外は、卒業後も同じ会社で働く人・休学中・定時制・通信制の4つ
  • 日本語学校の学生も「学生」に入る(修業年限1年以上の各種学校)
  • 引かれないかわりに国保と国民年金を自分で払う。軽減と学生納付特例で月1,630円まで下がる
  • 就職すると引かれ始めるが、収入の差のほうが大きい

参照:日本年金機構「パートタイマーの社会保険加入義務」/同「学生は4分の3基準に該当していても被保険者とならないのか」/同「短時間労働者の要件にある『学生』とは」/同 特設ページ「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大」/厚生労働省「厚生労働省関係の主な制度変更(令和8年10月)について」/同「改正の概要」/同「社会保険の加入対象の拡大について」/厚生年金保険法(e-Gov)(2026年10月1日確認)

この記事を書いた人

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mori

日本人。省庁の告示・通達・Q&Aを原典のまま読み、在日ネパール・スリランカの友人から実際に聞いた困りごとを出発点にしています。確かめていないことは書きません。

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