この記事はアフィリエイト広告を含みます。/ This article contains affiliate links.
最終更新:2026年10月
この記事は2026年10月10日に、日本年金機構「脱退一時金の制度」、厚生労働省の年金制度改正法の資料(成立・公布・概要・主な改正内容)、国税庁のタックスアンサー(No.1420・1923・2030)で確かめて書いています。
この記事の結論(Summary)
- 日本国籍がなく、年金に6か月以上加入した人は、日本を完全に出国したあとに保険料の一部を取り戻せます。これが脱退一時金です。
- 現在の支給上限は5年(60か月)分。それより長く払っても増えません。
- 重要な訂正:「2026年4月から上限が8年になった」というブログやAI回答が多くありますが、これは誤りです。8年への引き上げは、厚生労働省の資料では政令で行う予定の段階で、施行日はまだ決まっていません(最長2029年6月まで)。
- 請求は出国して住所がなくなった日から2年以内。日本に住んでいる間は請求できません。
- 受け取り時に20.42%が自動的に源泉徴収されます。納税管理人を立てて確定申告すれば、多くの場合還付されます。
これが分かると、払った年金のうち最大5年分が戻ると分かり、「8年に増えた」という間違った情報に振り回されず、2年の期限内に請求できます。

脱退一時金とは?
脱退一時金(だったいいちじきん)とは、日本国籍を持たない人が日本の年金に加入していた期間の一部を、老齢年金をもらう権利がないまま帰国するときに、払った保険料の一部を返してもらえる制度です。日本の年金は原則10年以上払わないと将来の年金がもらえないしくみなので、それに届かない多くの外国人労働者のために用意されています。
対象になるのは誰?
対象になるのは、①日本国籍がない、②国民年金または厚生年金に6か月以上加入した、③日本に住所がなくなった、④老齢年金の受給資格(10年)や障害年金の権利を一度も持っていない——この4つすべてに当てはまる人です。
- すでに10年(120か月)以上払っている人は、この一時金ではなく本当の年金(老齢年金)をもらう権利があります。多くの場合そちらのほうが総額は大きいので、まず自分の加入月数を確認しましょう。その年金を帰国後に母国でどう請求し、どの口座で受け取るかは帰国後に年金を海外で受け取る方法で確かめられます。
- 国民年金(主に留学生・自営業者)と厚生年金(主に会社員)で、それぞれ別の脱退一時金制度があります。同じ給料から引かれていた40歳からの介護保険料は、この制度の対象外で戻りません。

いくら戻ってくる?——支給額の計算方法
支給額は払った保険料に応じて決まりますが、5年(60か月)分で頭打ちです。6年でも8年でも10年でも、計算に使われるのは最初の60か月分だけです。

早見表:加入した月数ごとの支給額(国民年金)と支給率(厚生年金)
日本年金機構の表をそのまま並べました。月数が増えても、60か月以上は同じ行です。
| 加入した月数 | 支給額の計算に使う数 | 国民年金の支給額(令和8年度) | 厚生年金の支給率 |
|---|---|---|---|
| 6〜11か月 | 6 | 53,760円 | 0.5 |
| 12〜17か月 | 12 | 107,520円 | 1.1 |
| 18〜23か月 | 18 | 161,280円 | 1.6 |
| 24〜29か月 | 24 | 215,040円 | 2.2 |
| 30〜35か月 | 30 | 268,800円 | 2.7 |
| 36〜41か月 | 36 | 322,560円 | 3.3 |
| 42〜47か月 | 42 | 376,320円 | 3.8 |
| 48〜53か月 | 48 | 430,080円 | 4.4 |
| 54〜59か月 | 54 | 483,840円 | 4.9 |
| 60か月以上 | 60 | 537,600円 | 5.5 |
国民年金の額は、最後に保険料を納めた月が2026年4月〜2027年3月の人の額です(保険料を一部免除された月は、免除の種類に応じた月数に直して合算します)。厚生年金は、平均標準報酬額 × この支給率で決まります。出典:日本年金機構「脱退一時金の制度」(2026年4月1日更新、2026年10月10日に確認)。
この上限があるため、老齢年金の資格(10年)に届かないまま5年を超えて払い続けると、その分の保険料はこの制度では戻ってきません。在留資格と稼ぎ方の記事とあわせて、自分が日本にどれくらいいる予定かを考えておく価値があります。5年を超えた分が戻らないなら、帰国後の老後のお金は自分で作ることになります。帰る人が投資を考える理由と、始める順番にまとめています。
【重要】「上限8年」の噂——本当のところ
支給上限を5年から8年に引き上げることは、法律ではなく政令で行う予定の段階です。2026年10月時点で、施行日もまだ決まっていません。再入国許可についての見直しは、2025年6月13日に成立し、6月20日に公布された年金制度改正法に入っています(厚生労働省)。厚生労働省の法律の概要では、上限の引き上げは「政令で措置予定」と書かれています。同じ資料は、育成就労(3年)から特定技能1号(5年)に進み、合わせて8年日本にいる人が増えることを理由に挙げています。脱退一時金の見直しは、公布から4年以内の政令で定める日に施行されます(つまり最長2029年6月まで)。
多くの企業ブログやAIの回答が「2026年4月から上限は8年になった」と断定していますが、これは2つのことを混同しています。年金制度改正法という大きな法律全体は2026年4月1日に施行されましたが、脱退一時金の見直しは施行日が別で、まだ決まっていません。8年の上限は、これから政令で決める予定のものです。

確定している変更点:この改正が施行されると、再入国許可を持ったまま出国する場合は、その許可の有効期間内は脱退一時金を請求できなくなります(再入国しないまま許可の期限が過ぎれば、請求できます)。自分のケースにどの規定がいつから適用されるかは、必ず日本年金機構の公式サイトで最新情報を確認してください。
いつ・どうやって請求する?
日本に住んでいる間は請求できません。住所がなくなった日から2年以内に、帰国後の国から請求してください。

必要なもの:請求書、パスポートの写し、基礎年金番号がわかる書類(基礎年金番号通知書や年金手帳)、受け取る口座が本人名義だとわかる書類です。請求書は日本語と外国語が並んだ用紙で、英語・中国語・ベトナム語・ネパール語など14の言語があります。転出届を出してから出国していれば、日本に住所がないことを示す書類は原則いりません(2012年7月以前から加入している人などは必要な場合があります)。ゆうちょ銀行と一部のネット銀行では受け取れません。請求後、日本年金機構から「支給決定通知書」が届きます。これは次の税金の還付手続きで必要になるので、必ず保管してください。
戻ってきたお金を、母国に送るところまでが手続きです
脱退一時金は、帰国してから振り込まれます。ここで銀行送金を選ぶと、せっかく取り戻した額から手数料が引かれます。銀行の窓口だと10万円あたり5,500〜1万2,500円(三菱UFJ銀行の公式手数料表・2026年8月確認)。受け取る前に、送金の手段を決めておいてください。比較は母国への送金の記事にあります。
20.42%を取り戻す——税金の還付
振り込まれた一時金は、思っていたより2割ほど少ない。税金が引かれたのだから、それで終わりだと考える。あなたの国では、引かれた税金は戻らないものなのかもしれません。日本では、この20.42%の大部分が戻ってくることが多いのですが、自動では戻りません。自分で申告しないと、受け取り損ねます。
脱退一時金からは、自動的に20.42%の税金(源泉徴収)が引かれます。多くの場合これは還付されますが、自動では戻ってきません。自分で確定申告する必要があります。
理由はこうです。20.42%の一律課税は、あなたの一時金を「非居住者の普通の所得」として扱った金額です。でも、日本人の退職金と同じ計算方法(退職所得控除)を使うと、加入1年につき40万円(最低80万円)の控除が受けられます。多くの外国人労働者は、この控除で課税対象額がほぼゼロになり、源泉徴収された20.42%の大部分または全額が戻ってきます。

- 帰国後は日本で確定申告ができないので、納税管理人(のうぜいかんりにん)——日本に住所がある人か会社なら、友人・知人、税理士などに頼めます(国税庁 No.1923)——を立てて、代わりに申告してもらいます。届出書をどの税務署にいつ出すか、支給決定通知書をどう渡すかは、納税管理人が20.42%を取り戻す流れで図にしています。頼む人は、出国前に決めておくと安心です
- 還付申告は、受け取った年の翌年1月1日から5年間いつでもできます
- この手続きをしないと、本来戻ってくるはずのお金を受け取り損ねます。申告の手間より、戻ってくる金額のほうが大きいことが多いです
出典(公式):日本年金機構「脱退一時金の制度」/日本年金機構「脱退一時金を請求する方の手続き」(2026年10月18日確認)/厚生労働省「年金制度改正法 主な改正内容」/厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」/厚生労働省「年金制度改正法が6月20日に公布されました」/厚生労働省「年金制度改正法の概要」/国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき/国税庁 No.1923 海外勤務と納税管理人の選任又は解任/国税庁 No.2030 還付申告(2026年9月26日確認)
iDeCoに入っていた人は、国民年金・厚生年金とは別に、iDeCo側の脱退一時金を請求します。
よくある質問(FAQ)
Q. 上限は本当に8年になったのですか?
2026年10月時点では、まだなっていません。5年から8年への引き上げは、政令で行う予定の段階です。施行日も未定で、最長2029年6月まで決まらない可能性があります。政府が新しい日を発表するまで、上限は5年(60か月)のままです。最新情報は必ず日本年金機構の公式サイトで確認してください。
Q. 日本にいる間に請求できますか?
できません。日本の住所がなくなった(出国して転出した)あとに、その日から2年以内に請求する必要があります。
Q. 12年間払いました。もっと多くもらえますか?
10年(120か月)以上加入している場合は、この一時金ではなく本当の年金(老齢年金)を受け取る権利がある可能性が高く、通常はそちらのほうが総額は大きくなります。6か月〜10年未満の場合は、何年払っても支給額の計算は60か月分で頭打ちです。
10年の線を越える前に、日本に残るか帰るかを決めておく必要があります。残る場合にどの在留資格が要るかは外国人は日本で老後を過ごせるかの記事で確かめられます。
Q. なぜ20.42%も引かれるのですか?取り戻せますか?
日本では一律20.42%の税金が自動的に源泉徴収されます。日本で納税管理人を立てて確定申告し、退職所得控除を適用すれば、多くの場合ほとんどの金額が還付されます。多くの人は、この控除で税金のかかる額がほぼゼロになるためです。
Q. また日本に戻る予定がある場合も請求できますか?
現在のルールでは可能です。ただし、今後の改正が施行されると、再入国許可を持ったままの出国では、許可の有効期間内は請求できなくなります。施行時期は未定なので、出国前に公式サイトで最新のルールを確認してください。
まとめ
- 日本国籍がなく6か月以上年金に加入し、10年に届かないまま帰国する人が対象
- 支給額は5年(60か月)分で頭打ち。8年への引き上げは政令で行う予定の段階で、まだ始まっていない(2026年10月時点)
- 請求は出国後・住所抹消から2年以内に本国から
- 20.42%の源泉徴収は、納税管理人を立てた確定申告で多くの場合戻ってくる
あわせて読みたい
役に立ったら、友達にも教えてください
Found this useful? Share it with a friend who lives in Japan.
受け取りは海外の口座への送金になります。どこを通すかで手取りが変わります。
母国への送金は本当にWiseが一番安い? →この次に読む
外国人の年金を帰国後に海外で受け取る方法 →日本の年金は受給資格期間が10年あれば、帰国後も母国で受け取れます。海外に住む人には請求書が届かないので、65歳の誕生日の前日から様式第101号を…ほかのことを探していますか
この記事の図は、出典としてリンクを付ければ、商用でも自由に使えます。図の使い方

