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最終更新:2026年7月
この記事の結論(Summary)
- 退去費用の正体は「原状回復費用」。普通に住んでできた汚れ(自然損耗)は大家さんの負担、あなたが払うのは自分でわざと・不注意で壊した分だけです。
- 壊した場合も新品の値段は払わなくていい。壁紙(クロス)は6年住めば価値はほぼ1円まで下がります(減価償却)。
- 直すのは壊した部分だけ。「一部の傷で全面リフォーム」は不当です。
- 身を守る3点:退去前に部屋の写真/その場でサインしない/やり取りは記録が残る形で。
- 不当な請求には「根拠(見積書・写真)を出してください」と伝えるだけで、多くは引き下がります。
退去費用の正体は「原状回復」——全部を新品に戻すお金ではない
退去費用とは、正しくは原状回復費用(げんじょうかいふく ひよう)のことです。多くの人が「借りたときの新品状態に戻すお金」と誤解していますが、これは間違い。国が定めた原状回復ガイドライン(国土交通省)では、こう決まっています。

つまり「普通に住んで出る汚れは無料、自分で壊した分だけ有料」。壁紙の日焼け、家具を置いた床のへこみ、画びょうの小さな穴——これらは家賃に含まれているので、あなたが払う必要はありません。
壊してしまっても、新品の値段は払わなくていい(減価償却)
ここが一番お金に直結します。仮に壁紙を破ってしまっても、その壁紙が「今いくらの価値か」だけを払えばいいのです。壁紙(クロス)や床などの設備は、時間とともに価値が下がる(減価償却)と決められています。

例:入居6年後に壁紙を破っても、その壁紙の価値はほぼ1円。だから「新品の壁紙代10万円を払え」という請求は不当です。床や設備も同じように、年数に応じて価値が下がっていることを思い出してください。
直すのは「壊した部分だけ」——全面リフォームは不要
よくあるトラブルが、一部を汚しただけなのに「全面交換」を請求されること。ガイドラインでは、負担する範囲はこう決まっています。
- 壁紙(クロス):汚した1面まで(部屋全部ではない)
- フローリング:傷つけた1枚・部分だけ
- 畳:汚した1枚だけ
「部屋全体のリフォーム代」を丸ごと請求されたら、それは払いすぎのサインです。
契約書の「特約」があっても、無効になることがある
契約書に「退去時のハウスクリーニング代は入居者が払う」などの特約(とくやく)が書いてあることがあります。ただし、特約が有効なのは次の3つがそろったときだけです。
- 金額がはっきり書かれている(「クリーニング代◯万円」と具体的に)
- 入居者がその内容を理解していた
- 入居者が納得してサインした
「なんとなく書いてあった」「金額が不明」なら、その特約は無効になる可能性があります。サインする前に必ず金額を確認しましょう。契約の基本は日本の賃貸契約のしくみで解説しています。
退去で損しないための5つの手順(守りの型)
知識があっても、手順を間違えると不当請求に巻き込まれます。この順番で自分を守ってください。

特に大事なのが③その場でサインしないこと。退去の立ち会いは法律上の義務ではありません。「サインしないと退去できない」は嘘で、退去は解約通知と鍵の返却で完了します。「専門家に確認してから返事します」と言えばOKです。
保証会社・業者から強く請求されたときの対応
日本の賃貸では保証会社に入ることが多いですが、保証会社は大家さん側の立場です。サインしていないのに高額な請求書が届くこともあります。次の言葉を覚えておいてください。
不当な請求への「反論のひとこと」
「この請求の根拠(見積書・入居時と退去時の写真)を提示してください。原状回復ガイドラインに沿って、減価償却後の金額と自分の負担範囲を確認したいです。」
— このように書面(メール)で伝えるだけで、根拠のない請求の多くは引き下がります。言葉だけの請求には応じないこと。
業者は「ガイドラインは法律じゃない」と言うことがあります。確かに法律そのものではありませんが、裁判ではほぼガイドラインに沿った判断が出るため、実質的に強い基準です。困ったら一人で抱えず、学校の留学生課・市区町村の消費生活センター(電話188)に相談しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 退去費用は必ずかかりますか?
いいえ。普通に住んでいただけなら、原状回復の負担はほとんど発生しないのが本来のルールです。敷金から差し引かれるどころか、敷金が戻ってくることもあります。
Q. タバコを吸っていました。全部屋のクロス代を請求されました。
ヤニ汚れは入居者負担ですが、負担するのは汚れた面のクロス代を減価償却した後の金額です。6年以上住んでいれば価値はほぼ1円。全部屋・新品価格の請求には根拠を求めてください。
Q. 退去の立ち会いでサインを求められました。
その場でサインしないでください。立ち会いは義務ではなく、内容を持ち帰って確認する権利があります。「確認してから返事します」と伝えれば大丈夫です。
Q. 契約書にクリーニング代の特約があります。払うべきですか?
金額が明確に書かれ、あなたが理解して納得しサインした特約なら有効です。金額不明・説明なしなら無効の可能性があります。まずは契約書を確認しましょう。
Q. すでに高額を払ってしまいました。取り戻せますか?
状況によっては返還を求められる場合があります。消費生活センター(電話188)や法テラスに相談してください。証拠(請求書・写真・契約書)を残しておくことが大切です。
まとめ
- 退去費用=原状回復費用。自然損耗は大家、故意・過失だけ入居者
- 壊しても新品価格は払わない。クロスは6年で価値ほぼ1円
- 直すのは壊した部分だけ。全面リフォームは不要
- 守りの型:写真・サインしない・記録が残る形でやり取り
- 不当請求には「根拠を出してください」。困ったら消費生活センター(188)へ
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