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最終更新:2026年7月
この記事の結論(Summary)
- 大学を出ていなくても日本で働けます。ただし通る道が変わります。学歴で決まるのは「どのルートか」だけです。
- 就労ビザ(技人国)には学歴の条件があります。原則として、大卒か、日本の専門学校の専門士か、実務経験10年のどれかが要ります(情報処理の仕事には試験の例外があります)。
- 特定技能は学歴を問いません。代わりに技能試験と日本語試験の両方に合格する必要があります。
- 永住者・定住者・日本人の配偶者など(身分系)は、仕事の制限がありません。この人たちだけが派遣でも働けます。
- 特定技能で派遣が使えるのは、対象分野のうち農業と漁業だけです。ほかは直接雇用が原則です。求人を探す前にここを間違えないでください。
これが分かると、大学を出ていなくても通れる道が特定技能だと分かり、「学歴がないから無理」で止まらずに済みます。

「在留資格(ざいりゅうしかく)」とは、日本で何をしていいかを決める許可のことです。日常では「ビザ」と呼ばれます。日本の就職は、学歴そのものより在留資格で決まります。そして在留資格を取る条件のひとつに学歴が出てくる、という順番です。
まず自分がどのルートかを決める
日本で働く道は大きく3つです。どれを選ぶかではなく、自分がどれに当てはまるかで決まります。

① 就労ビザ(技人国)——ここに学歴の壁があります
高校を出てすぐ働き始め、仕事の腕で認められてきた。あなたの国では、それだけで次の職場に移れるのかもしれません。日本の就労ビザの中心である技人国では、腕だけでは足りず、卒業の記録か、長い実務経験の証明が求められます。
「技術・人文知識・国際業務」、略して技人国(ぎじんこく)が、いわゆる就労ビザの中心です。ここには学歴の条件があります。
満たし方は原則3つあり、どれか1つでかまいません(e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令」)。
- 大学を卒業している——専攻と仕事の関連性は、大学卒業者の場合は柔軟に判断されます。大学は幅広い知識を与える機関だと見なされているためです
- 日本の専門学校を出て「専門士」を持っている——ただしこの場合、専攻と仕事の関連性は大卒より厳しく見られます
- 実務経験が10年以上ある——「国際業務」にあたる仕事(翻訳・通訳・語学指導など)なら3年以上で足ります
ほかに例外がひとつあります。情報処理の仕事なら、法務大臣が告示で定める情報処理技術の試験(日本の基本情報技術者試験など)に合格しているか、告示で定める資格を持っていれば、この3つは要りません(出入国在留管理庁「技術・人文知識・国際業務の在留資格に係る基準の特例を定める件」)。

覚えておくと得な例外があります。日本の専門学校で専門士を取った人は、学んだ内容と仕事の関係が認められれば、実務経験なしで技人国の仕事に就けます。翻訳・通訳・語学指導の仕事も、専攻との関係が見られます。実務経験なしで翻訳・通訳・語学指導に就ける特例があるのは、大学を卒業した人です(入管の上陸基準)。日本語学校から専門学校に進んだ人は、学科を選ぶ段階で、就きたい仕事とのつながりを意識してください。
そして重要な制限がひとつ。技人国では単純作業はできません。工場のライン作業、コンビニのレジ、清掃といった仕事は、この在留資格の対象外です。入社直後の研修なら認められる場合もあり、その線は入管が公表した技人国の許可・不許可の事例で確かめられます。学歴があっても、この種類の仕事には就けません。
② 特定技能——学歴は関係ない、代わりに試験があります
学歴がない人にとって、いちばん現実的なのがこの特定技能です。2019年4月にできた制度で、人手が足りない分野が対象です。分野は増えていて、2026年10月時点で1号は19分野です(出入国在留管理庁「特定技能制度(外国人の方)」)。
学歴は問われません。代わりに2つの試験に合格する必要があります。
- 技能試験——その分野の仕事ができるかを見る試験
- 日本語試験——仕事に必要な日本語があるかを見る試験
技能実習を修了している人は、試験が免除される場合があります。ただし2027年4月に技能実習に代わって始まる育成就労から特定技能1号へ進む人は、技能と日本語の試験に受かる必要があります。自分が該当するかは、受け入れる会社か登録支援機関に確認してください。
ここを間違えると、働けません——派遣の話
特定技能は、原則として直接雇用です。派遣で働けるのは、対象分野のうち「農業」と「漁業」の2つだけです。出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」のQ5・Q6に書かれています。

なぜこの2分野だけ認められているかというと、季節によって仕事の量が大きく変わるからです。ほかの分野では直接雇用が原則で、週5日以上・週30時間以上・年217日以上のフルタイム勤務が求められます(出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」)。
ここを知らずに派遣の求人に応募し続けている人がいます。時間の無駄になるので、応募の前に自分の在留資格を確認してください。
③ 身分系——制限がないのはこの人たちだけです
永住者、定住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等。これらは「身分系」と呼ばれ、仕事の種類にも雇用形態にも制限がありません。
日本人とまったく同じ条件で働けます。工場のライン作業も、派遣も、アルバイトの掛け持ちも自由です。学歴も関係ありません。

もしあなたがこの在留資格なら、選択肢はいちばん広くなります。とくに地方の製造業は、寮つきの求人が多く、住むところと仕事を同時に決められるのが利点です。初期費用を抑えたい人には現実的な選び方になります。工場求人フォルダのような派遣中心の求人サイトが使えるのも、この身分系の人だけです。
※派遣の求人サイトは、特定技能や技人国の人は基本的に使えません。特定技能なら直接雇用の求人を、技人国なら単純作業でない求人を探してください。
地方で働くなら、もうひとつ効くものがあります。運転免許です。工場や物流の仕事は車がないと通えない場所にあることが多く、免許があるだけで応募できる求人が増えます。日本で運転免許を取る方法にまとめています。
学歴を「あとから」満たす道もあります
いま学歴がなくても、日本の専門学校に入って専門士を取れば、技人国の条件を満たせます。日本語学校から専門学校へ進む人が多いのは、この理由です。
ただし、この道はお金と時間がかかります。日本語学校で1年、専門学校で2年、学費と生活費を合わせると数百万円です。日本語学校の費用で実際の金額を出しているので、特定技能で先に働き始める道と比べてから決めてください。

すでに留学生として日本にいる人は、卒業のタイミングで就労ビザに変える必要があります。許可率は96.7%ですが、落ちる人もいます(令和6年・入管)。数字は出入国在留管理庁「令和6年における留学生の日本企業等への就職状況について」によります。理由と対策は留学ビザから就労ビザへに書きました。
学歴なしで働く3ルートの数字と条件(早見表)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 技人国の学歴条件(原則) | 次のどれか1つ。①関連する科目を専攻して大学を卒業、②関連する科目を専攻して日本の専修学校の専門課程(専門士)を修了(法務大臣の告示で定める要件を満たす場合に限る)、③10年以上の実務経験(関連する科目を専攻した期間を含められる)。入管法の基準省令 |
| 国際業務の実務経験 | 翻訳・通訳・語学の指導・広報・宣伝・海外取引・デザイン・商品開発などは、関連する業務の実務経験3年以上。ただし大学を卒業した人が翻訳・通訳・語学の指導に就く場合は不要 |
| 情報処理の例外 | 情報処理の技術や知識が要る仕事で、法務大臣が告示で定める情報処理技術の試験(基本情報技術者試験など)に合格しているか、告示で定める資格を持っていれば、上の3つは要らない |
| 特定技能の条件 | 学歴は問われない。日本語試験と、分野ごとの技能試験の両方に合格する。技能実習2号を良好に修了した人は試験が不要だが、技能実習の職種と別の分野で働くなら、その分野の技能試験が要る |
| 特定技能1号の分野 | 19分野(2026年10月11日に入管のページで確認) |
| 特定技能で派遣が使える分野 | 農業と漁業の2分野だけ(令和7年12月1日時点)。季節による作業の繁閑が大きいため。入管のQ&AのQ5・Q6 |
| 直接雇用のフルタイムの基準 | 原則として、週5日以上かつ年217日以上で、週の労働時間が30時間以上(特定技能の運用要領) |
| 身分系の在留資格 | 永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者は、活動ではなく身分・地位に基づく別表第二の在留資格。入管法19条が活動を制限するのは別表第一の在留資格を持つ人で、学歴の条件もない |
| 留学から就労への変更 | 令和6年の許可率は96.7%(処分41,142件、許可39,766件、不許可1,376件)。入管「令和6年における留学生の日本企業等への就職状況について」 |
よくある質問(FAQ)
Q. 高校卒業だけですが、日本で働けますか?
A. 働けます。ただし技人国は原則として取れない(情報処理の仕事で、告示で定める試験に合格している場合を除く)ので、特定技能を目指すのが現実的です。技能試験と日本語試験に合格すれば学歴は問われません。試験は在留資格があれば日本でも受けられるので、特定技能の分野と試験の受け方から分野を選んでください。または日本の専門学校に入って専門士を取る道もあります。
Q. 母国の大学を出ていれば大丈夫ですか?
A. 技人国の学歴条件は満たせます。大学卒業者は、専攻と仕事の関連性が柔軟に判断されるので有利です。ただし単純作業には就けない点は変わりません。
Q. 実務経験10年は、どうやって証明しますか?
A. 前の会社の在職証明書などで示します。大学・高校・専門学校で関連する科目を学んだ期間を、この10年に含められる場合があります。個別の判断になるので、行政書士などの専門家に相談してください。
Q. 特定技能で、派遣会社の求人に応募できますか?
A. 農業と漁業なら可能です。それ以外の分野ではできません。直接雇用の求人を探してください。派遣中心の求人サイトを使えるのは、身分系の在留資格を持つ人です。
Q. 技人国で、工場のライン作業はできますか?
A. できません。技人国は単純作業を対象にしていません。学歴があっても、この種類の仕事には就けない仕組みです。
制度の詳細は公式で確認してください:出入国在留管理庁「特定技能制度」/出入国在留管理庁「特定技能制度(外国人の方)」/出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」/出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(PDF)/e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令」/出入国在留管理庁「令和6年における留学生の日本企業等への就職状況について」(PDF)(2026年10月11日確認)
まとめ
学歴がなくても日本では働けます。変わるのは通る道です。
大学や専門士があるなら技人国。学歴がないなら特定技能——ただし技能試験と日本語試験の両方が要ります。永住者や配偶者などの身分系なら、そもそも制限がありません。
求人を探し始める前に、自分が3つのうちどれかを確定させてください。とくに派遣の求人は、特定技能では農業・漁業以外は使えません。ここを知らずに応募を続けると、時間だけが過ぎます。
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