外国人のiDeCo2026|60歳まで出せない・帰国したら脱退一時金は請求できる

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iDeCoの60歳ロックと帰国が衝突することを時間軸で示した図解 増やす力
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最終更新:2026年8月30日

この記事の結論(Summary)

  • iDeCo」とは、自分で掛金を出して運用し、老後に受け取る私的年金のことです。外国籍でも、日本の公的年金に入っていれば加入できます。
  • ★最大の注意点は「60歳まで引き出せない」こと。会社で勧められても、帰国する可能性があるなら、そのまま始めてはいけません。
  • でも出口はあります。帰国後、7つの要件をすべて満たせば脱退一時金として受け取れます。
  • ★その要件のひとつが、外国籍の人だけ自動的に満たせる設計になっています。日本人は帰国しても任意加入できてしまうため、この道が使えません。
  • ただし関門は「5年以下または25万円以下」「資格喪失から2年以内」長く積むほど出口が閉まります。

就職して社会保険に入ると、会社の人から「iDeCoやらないの?」と言われることがあります。日本人にとっては、たいてい良い制度です。

でも、いつか帰るかもしれない人にとっては、条件が違います。この記事は、その違いだけを説明します。

iDeCoとは何か、そして外国籍でも入れるのか

iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)」とは、自分で掛金を出して自分で運用し、その結果を老後に受け取る私的年金のことです。国民年金や厚生年金(公的年金)とは別の、任意の制度です。

iDeCo公式サイトはこう説明しています。

基本的に20歳以上65歳未満の公的年金の被保険者の方が加入でき(中略)掛金は65歳になるまで拠出可能であり(中略)60歳になるまで、原則として資産を引き出すことはできません。

iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)

条件は「公的年金の被保険者であること」で、国籍は書かれていません。日本で働いて厚生年金に入っていれば、外国籍でも加入できます。

掛金は全額が所得控除になり、運用の利益にも税金がかかりません。制度としては良くできています。問題はそこではありません。

★60歳まで引き出せない——ここが帰国とぶつかります

この記事でいちばん大事なところです。

iDeCoの60歳ロックと帰国の衝突を示した図解。iDeCoは原則60歳まで資産を引き出せないため、30代で帰国する人は20年以上、日本の口座にお金が固定される。ただし脱退一時金という出口があり、7つの要件をすべて満たせば受け取れる。

たとえば28歳でiDeCoを始めて、33歳で母国に帰ることになったとします。そのお金は、原則として60歳になるまで日本の口座から動かせません。27年間です。

母国で家を買うときも、家族に何かあったときも、そのお金は使えません。日本人にとっての「老後まで使えない」と、帰国する人にとっての「母国から27年間さわれない」は、重さが違います。

会社で勧められたときに、聞くべきこと

「自分は将来帰国するかもしれないのですが、それでも大丈夫ですか」と一言確認してください。担当者がこの論点を知らないこともあります。断ることは失礼ではありません。これは任意の制度です。

出口はあります——脱退一時金の7つの要件

帰国したら永久に取り出せない、というわけではありません。「脱退一時金」という出口があります。ただし7つの要件をすべて満たす必要があります。

iDeCoの脱退一時金を受け取るための7つの要件を並べた図解。60歳未満であること、企業型年金加入者でないこと、iDeCoに加入できない者であること、日本国籍を有する海外居住者でないこと、障害給付金の受給権者でないこと、通算拠出期間が5年以下または資産が25万円以下であること、資格喪失から2年以内であること。外国籍で帰国した人は3番と4番を自動的に満たすが、6番の5年25万円と7番の2年が関門になる。

iDeCo公式が挙げている要件です(根拠は確定拠出年金法 附則第3条第1項)。

  1. 60歳未満であること
  2. 企業型確定拠出年金の加入者でないこと
  3. iDeCoに加入できない者であること(国民年金保険料免除者や外国籍の海外居住者など)
  4. 日本国籍を有する海外居住者(20歳以上60歳未満)でないこと
  5. 障害給付金の受給権者でないこと
  6. 通算拠出期間が5年以下、または、年金資産の額が25万円以下であること
  7. 企業型DCまたはiDeCoの加入者資格を最後に喪失した日から2年以内であること

★3番と4番は、外国籍の人だけが自動で満たせます

ここは制度の設計として面白いところです。珍しく、外国籍の人のほうが有利になっています。

iDeCoに加入できるのは「公的年金の被保険者」です。日本を離れると、ふつうは被保険者でなくなります。ところが国民年金法には任意加入という制度があって、こう書かれています。

日本国籍を有する者その他政令で定める者であつて、日本国内に住所を有しない二十歳以上六十五歳未満のもの

国民年金法 附則第5条第1項第3号(任意加入できる人)

任意加入できるのは、原則として日本国籍を持つ人です。つまり——

  • 日本人が海外に住む場合:任意加入できてしまう → まだ「加入できる者」なので、要件3・4を満たせない → 脱退一時金を請求できない
  • 外国籍の人が帰国した場合:任意加入の対象外 → 要件3・4を自動的に満たす → 脱退一時金を請求できる

実際、脱退一時金の請求書(様式K-016)には「その他(日本国籍を有しない海外居住者等)」という区分と、「海外居住者住所」「国名」の記入欄があります。制度は、帰国する外国人がこれを使うことを想定して作られています。

本当の関門は6番と7番です

3番と4番が自動で満たせても、残り2つが厳しい。

長く積むほど、出口が閉まります

6番「通算拠出期間が5年以下、または資産が25万円以下」。どちらかを満たせばよい設計ですが、逆に言うと——5年を超えて積み、資産も25万円を超えたら、この出口は閉じます。その場合は60歳まで待つことになります。

7番「資格喪失から2年以内」。帰国してから請求までの期限です。母国で生活を立て直しているうちに過ぎます。帰る前に手続きの段取りを決めておいてください。

掛金の下限は月5,000円です。月5,000円でも、5年で30万円を超えます。「少額だから大丈夫」とは言えません。

公的年金の脱退一時金とは、別の制度です

ここは混同しやすいので、はっきり分けます。「脱退一時金」という同じ名前の制度が2つあります。

公的年金の脱退一時金 iDeCoの脱退一時金
対象 国民年金・厚生年金の保険料 iDeCoで積み立てた資産
請求先 日本年金機構 記録関連運営管理機関
期限 出国から2年以内 資格喪失から2年以内
上限 支払期間に上限あり 5年以下 または 25万円以下

両方に該当する人は、両方それぞれ請求します。片方をやったからもう片方が要らない、ということはありません。公的年金のほうは脱退一時金の計算と請求に詳しく書いています。

では、どう判断すればいいですか

「やるべき」とも「やめるべき」とも言いません。材料だけ並べます。

帰国する予定がはっきりしている人へ。60歳まで動かせないお金を日本に置く意味があるか、そこから考えてください。NISAも日本に住んでいる間だけの制度ですが、NISAはいつでも売って現金にできます。この違いは大きいです。

日本に長く住むつもりの人へ。永住や帰化を視野に入れているなら、60歳ロックの重さは日本人と同じになります。所得控除の効果もそのまま受けられます。

まだ分からない人へ。それがいちばん多いと思います。「分からないうちは始めない」も、立派な判断です。iDeCoは後からでも始められます。就職して収入が上がったあとで、生活が落ち着いてから考えても遅くありません。

終わりの判断——今日やること

  1. 会社でiDeCoを勧められていて、帰国の可能性があるなら、いったん保留にする。断っても失礼ではありません
  2. すでに加入している人は、いまの「通算拠出期間」と「資産額」を確認する。5年と25万円のどちらかに収まっているうちは、出口が開いています
  3. 帰国が決まったら、出国前に請求の段取りを決める。期限は2年です

よくある質問(FAQ)

Q. 外国人でもiDeCoに加入できますか。
できます。加入条件は「20歳以上65歳未満の公的年金の被保険者であること」で、国籍の条件はありません。日本で働いて厚生年金に入っていれば対象です。

Q. 帰国したらiDeCoのお金はどうなりますか。
原則として60歳まで引き出せません。ただし7つの要件をすべて満たせば脱退一時金として受け取れます。要件のうち「iDeCoに加入できない者であること」と「日本国籍を有する海外居住者でないこと」は、外国籍で帰国した人なら自動的に満たします。

Q. どうして日本人は脱退一時金をもらえないのですか。
国民年金法の任意加入(附則第5条第1項第3号)が「日本国籍を有する者」を対象にしているためです。海外に住んでも任意加入できる=まだ「加入できる者」なので、脱退一時金の要件から外れます。

Q. iDeCoの脱退一時金は、年金の脱退一時金と同じですか。
違います。別の制度で、請求先も違います。公的年金の脱退一時金は日本年金機構、iDeCoの脱退一時金は記録関連運営管理機関です。両方に該当するなら、それぞれ請求します。

Q. 5年以上積み立ててしまったら、もう引き出せませんか。
要件6は「通算拠出期間が5年以下、または資産が25万円以下」なので、どちらかを満たせば請求できます。両方を超えている場合は、原則として60歳まで待つことになります。

Q. iDeCoとNISA、帰国するならどちらがいいですか。
制度の性質としては、NISAはいつでも売却して現金化できるのに対し、iDeCoは原則60歳まで引き出せません。ただしどちらを選ぶかは個人の事情によります。NISAも日本に住んでいる間だけの制度です。

まとめ

  • iDeCoは国籍の条件なしで加入できる。条件は「公的年金の被保険者であること」
  • ★原則60歳まで引き出せない。帰国する可能性があるなら、そのまま始めない
  • 出口は脱退一時金。7要件のうち3番と4番は外国籍なら自動で満たす(日本人は任意加入できてしまうので使えない)
  • 関門は6番「5年以下 または 25万円以下」7番「資格喪失から2年以内」。長く積むほど出口が閉まる
  • 公的年金の脱退一時金とは別制度。両方に該当するなら両方請求する

出典(公式):iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)「iDeCoの加入資格・掛金・受取方法等」同「給付について(脱退一時金の受給要件)」e-Gov法令検索「確定拠出年金法」附則第3条同「国民年金法」附則第5条

制度と要件は2026年8月30日時点で確認したものです。この記事は制度の説明であり、加入や商品の推奨ではありません。金額の計算や個別の判断は、金融機関か記録関連運営管理機関、税務は税務署にご確認ください。

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