最終更新:2026年10月(2026年5月の制度改正に対応)
この記事の結論(Summary)
- 母国から持ってきた薬が、日本では違法なことがあります。とくにプソイドエフェドリン入りのかぜ薬は、自分の治療用でも、事前に許可を取らないと持ち込めません。
- 2026年5月から、市販のかぜ薬・せき止めの買い方が変わりました。18歳未満は小容量を1箱だけ。身分証の提示を求められます。
- 18歳以上でも、まとめ買いは理由を聞かれ、断られることがあります。ネットで買うときは、18歳未満の人と、大容量や複数個を買う18歳以上の人にビデオ通話による確認が必要です。
- 日本の市販薬は母国のものより効き目が穏やかなことが多いです。「効かない」と思って量を増やすのは危険です。
- 市販薬は1,000〜2,000円。国民健康保険があれば病院は3割負担なので、長引くときは病院のほうが安く確実です。
これが分かると、母国の薬を持ち込んで空港で止められることも、日本の市販薬が「効かない」と量を増やす事故も避けられます。

「市販薬(しはんやく)」とは、処方箋(しょほうせん)がなくても、ドラッグストアなどで自分で買える薬のことです。これに対して、病院で医師に出してもらう薬を「処方薬」といいます。
まず注意:持ってきた薬が違法かもしれません
来日の荷物に、家でいつも飲んでいるかぜ薬をひと箱入れておく。あなたの国では、どの薬局の棚にも並んでいる普通の薬かもしれません。日本では、その中の成分が規制されていることがあり、処方箋を持っているだけでは持ち込めません。
日本には、他の国では普通に売っている成分でも、許可なしでは持ち込めない薬があります。いちばん多いのが、かぜ薬や鼻炎薬に入っている「プソイドエフェドリン」です。
自分の治療に使う薬なら、事前に地方厚生(支)局長の許可を取れば持ち込めます。申請の期限は、入国日の2週間前までです。医師の診断書(日本語か英語)が要ります。許可を受けた本人が自分で持って入国する必要があり、郵便で送ってもらうことはできません。

ここで覚えておいてほしいのは、プソイドエフェドリンは「日本で規制されている成分」だから、許可なしでは持ち込めないということです。この成分は、次に説明する2026年5月の新ルールでも規制の対象になっています。持ち込みの話と、日本で買うときの話は、同じ成分でつながっています。
書類なしで持ち込める薬は、どのくらいですか?
来日する人の多くは、Sudafedを持っているわけではありません。持っているのは、毎日飲んでいる薬の3か月分や半年分です。落ち着くまで切らさないように、と詰めてきたその袋に、量の決まりがかかります。
書類なしで持ち込めるのは、処方薬なら1か月分まで、ふつうの市販薬なら2か月分までです。それより多いときは、出発前に「輸入確認証」(以前の薬監証明)を取っておく必要があります(厚生労働省「医薬品等の個人輸入について」)。
| 持ち込むもの | 輸入確認証なしで持ち込める量 |
|---|---|
| 処方薬 | 1か月分まで |
| インスリンなど自己注射の薬(注射器とセット) | 1か月分まで |
| 市販薬などそのほかの薬 | 2か月分まで |
| 塗り薬などの外用剤(処方薬を除く) | 1品目24個まで |
| 使い捨てコンタクトレンズ | 2か月分まで |
「1か月分」は箱の数ではなく、ラベルの用法・用量から数えます。注射器だけを持ち込むときは、1本でも輸入確認証が要ります。
申請は、厚生労働省の輸入確認申請のオンラインシステムでできます。付けるものは2つです。患者名・薬の名前・医師名が書かれた処方箋か医師の証明書と、到着日・到着空港・便名・本人の名前が分かる航空会社の書類(旅程表や航空券の写し)です。書類がそろっていれば、ふつうは数営業日で発行され、PDFがメールで届きます。税関で求められたら見せます。書き直すと無効になります(厚生労働省 Q&A(英語))。
この証明の外側にある決まりが2つあります。麻薬や、リスデキサンフェタミンのような覚醒剤原料は、上で説明した別の許可が必要です。また、向精神薬・麻薬・覚醒剤原料は、日本へ郵送できません。足りなくなった分をあとから家族に送ってもらうことはできない、ということです。
2026年5月から、かぜ薬の買い方が変わりました
2026年5月1日に薬機法が改正され、「指定濫用防止医薬品」という制度ができました。かぜ薬・せき止め・解熱鎮痛剤・アレルギー薬のうち、指定された8つの成分を含むものは、買い方に制限がかかります。(厚生労働省「指定濫用防止医薬品の指定について」(2026年1月 安全対策部会資料))
背景は、若い人の市販薬の過剰摂取(オーバードーズ)が社会問題になったことです。あなたを疑っているわけではありませんが、ルールは全員に同じように適用されます。

外国人にとって、この制度で実際に困るのは次の2つです。
- 身分証を出す場面が増えます:日本語学校に通う18歳・19歳の人は、まさに対象です。レジで在留カードを見せることになりますが、これは差別ではなく全員に同じルールです。落ち着いて出してください(厚生労働省通知「指定濫用防止医薬品の販売等について」)
- ネット購入のビデオ通話は日本語です:ネットで買うとき、18歳未満の人は必ずビデオ通話で薬剤師と話します。18歳以上でも、大容量や複数個を買うときは同じです(厚生労働省通知)。症状や使う目的を口頭で説明する必要があります。日本語に不安があるなら、店舗で買うほうがかえって簡単です。指をさして症状を伝えられるからです
日本の市販薬は「効かない」のではなく、穏やかです
日本の市販薬は、海外のものと比べて成分の量が控えめなことが多いです。母国の薬に慣れていると「効かない」と感じますが、量を増やして飲むのは絶対にやめてください。
効き目が穏やかなのは、安全側に設計されているからです。効かないと感じたら、量を増やすのではなく病院へ行ってください。それが結果的にいちばん早く治ります。
薬局(やっきょく)とドラッグストアの違い
薬を買える場所は2種類あります。処方箋を出す場所と、自分で選んで買う場所です。
| ドラッグストア | 薬局(やっきょく) | |
|---|---|---|
| 買えるもの | 市販薬・日用品・食品 | 処方薬が中心(市販薬もある) |
| 処方箋 | いらない | 病院でもらった処方箋を出す |
| いる人 | 登録販売者または薬剤師 | 薬剤師 |
| 使う場面 | 軽いかぜ・頭痛・胃薬 | 病院で診てもらったあと |
店員から症状・年齢・アレルギー・いま飲んでいる薬・車を運転するかを聞かれることがあります。これは断るための質問ではなく、あなたに合わない薬を売らないための確認です。正直に答えてください。
症状から探す——売り場で言う言葉
ドラッグストアで困るのは、棚の前で自分の症状をどう言えばいいか分からないことです。ここに、よくある症状と、そのとき使う日本語を並べます。店員さんに、この言葉をそのまま見せてください。
| 症状 | 売り場で言う言葉 | 探す棚 |
|---|---|---|
| のどが痛い | のどが痛いです | のど薬・トローチ・うがい薬 |
| 頭が痛い | 頭が痛いです | 解熱鎮痛薬(げねつちんつうやく) |
| 熱がある | 熱があります | 解熱鎮痛薬 |
| おなかが痛い | おなかが痛いです | 胃腸薬(いちょうやく) |
| 便秘 | 便秘です | 便秘薬(べんぴやく) |
| 下痢 | 下痢です | 下痢止め(げりどめ) |
| 歯が痛い | 歯が痛いです | 解熱鎮痛薬(※下を読んでください) |
| 目がかゆい・鼻水 | 花粉症です | アレルギー用薬 |
歯の痛みだけは、別に書きます。市販の痛み止めで痛みは引きますが、歯そのものは治りません。薬は歯医者に行くまでのつなぎです。痛みが消えたからと放っておくと、あとで神経を取ることになります。痛み止めが効いているうちに、予約を取ってください。
薬剤師がいないと買えない薬があります
もうひとつ、知っておくと空振りしません。市販薬はリスクで分類されていて、誰が売れるかが違います。
要指導医薬品と第1類医薬品は、薬剤師でないと売れません。薬剤師が対面で説明する決まりだからです。第2類・第3類は、登録販売者でも売れます。(厚生労働省「2026年5月1日施行の医薬品販売制度の改正内容をご紹介します」)登録販売者は都道府県の試験に受かった人で、多くのドラッグストアにいます。
これが何を意味するかというと——夜遅くに行くと、第1類の棚だけ買えないことがあります。薬剤師がいる時間が終わっているからです。強めの薬が要りそうなときは、昼のうちに行くほうが確実です。

薬局で済ますか、病院へ行くか
市販薬は1,000〜2,000円ほど。国民健康保険に入っていれば、病院の窓口負担は3割です。長引くときや症状が重いときは、病院のほうが安く、確実に治ります。(厚生労働省「医療費の一部負担(自己負担)割合について」)

病院のかかり方や、何科へ行けばいいかは病院のかかり方の記事で説明しています。夜中に息が苦しくなったときのように朝まで待てない症状なら、119番で救急車を呼ぶ手順と、迷ったときの#7119を先に知っておいてください。救急車ほどではないけれど夜や休日に診てほしいときは、休日夜間急患センターや当番医の探し方があります。急な高熱と関節の痛みでインフルエンザが疑われるときは、電話してから受診することと、薬は発症から48時間以内が効くことを覚えておいてください。コンタクトレンズの上から目薬をさす前に、目薬より先に眼科へ行くべき目の症状を見てください。保険証をまだ持っていない人は、先に国民健康保険の手続きを済ませてください。保険がないと同じ診察が3倍以上になります。
この記事は制度の説明であり、医学的な助言ではありません。薬を選ぶときは薬剤師に、体調が心配なときは医師に相談してください。出典(公式):厚生労働省「指定濫用防止医薬品の指定について」/厚生労働省通知「指定濫用防止医薬品の販売等について」/厚生労働省「2026年5月1日施行の医薬品販売制度の改正内容をご紹介します」/厚生労働省「医薬品等の個人輸入について」/厚生労働省「Q&A for those who are importing medicines into Japan」/麻薬取締部「麻薬・覚醒剤原料などを携帯して日本を出入国する方へ」/厚生労働省「医療費の一部負担(自己負担)割合について」(2026年9月26日確認・持ち込める量は2026年10月2日確認)
よくある質問(FAQ)
Q. 母国のかぜ薬を持ってきてもいいですか?
ふつうの市販薬なら2か月分まで持ち込めます。ただしプソイドエフェドリンを含むもの(Sudafed、Actifedなど)は、許可なしでは持ち込めません。自分の治療用なら、入国日の2週間前までに申請して地方厚生(支)局長の許可を取れば持ち込めます。持っている薬の成分を出発前に確認してください。
Q. 処方薬はどのくらい持ち込めますか?
用法・用量からみて1か月分までなら、書類なしで持ち込めます。それより多いときは、処方箋か医師の証明書と便の情報を付けて、出発前にオンラインで輸入確認証を申請します。ふつうは数営業日で発行されます。麻薬や覚醒剤原料は別の許可が必要です。
Q. 18歳未満だと、かぜ薬は買えないのですか?
買えます。ただし2026年5月からは、小容量(5〜7日分)を1箱だけです。身分証で年齢と氏名を確認され、他の店で買っていないかも聞かれます。全員に同じルールが適用されます。
Q. 日本語が話せなくても薬を買えますか?
買えます。症状を書いたメモを見せる、体の痛い場所を指さす、翻訳アプリの画面を見せる、のどれでも通じます。18歳未満の人やまとめ買いをする人のネット購入は、ビデオ通話で日本語の説明が必要になるので、店舗のほうが簡単です。
Q. 日本の薬が効きません。量を増やしてもいいですか?
絶対にやめてください。日本の市販薬は安全側に成分量が抑えられているため、母国の薬に慣れていると弱く感じます。効かないときは量を増やすのではなく、病院へ行ってください。
Q. 市販薬と病院、どちらが安いですか?
市販薬は1回1,000〜2,000円ですが、効かずに買い足すと高くつきます。国民健康保険があれば病院は3割負担なので、3日以上続くなら病院のほうが安く確実です。
まとめ
- プソイドエフェドリン入りのかぜ薬は、事前の許可がないと持ち込めません
- 処方薬は1か月分、市販薬は2か月分まで書類なしで持ち込めます。超えるなら出発前にオンラインで輸入確認証を
- 2026年5月から18歳未満は小容量1箱のみ。身分証の提示が必要です
- ネット購入は18歳未満とまとめ買いでビデオ通話(日本語)。日本語が不安なら店舗が簡単
- 日本の薬は穏やか。効かないときは量を増やさず病院へ
- 3日以上続くなら病院。国保があれば3割負担で、結局は安く済みます
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