日本で出産したら|赤ちゃんの在留資格は30日以内・一時金50万円

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日本で外国籍の赤ちゃんが生まれたあとの3つの期限を時間軸で示した図解 守る力
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最終更新:2026年10月8日

この記事の結論(Summary)

  • 日本で生まれても、赤ちゃんは日本国籍になりません。日本は「親の国籍を受け継ぐ」しくみ(血統主義)です。生まれた場所では決まりません。
  • ★赤ちゃんは60日間、在留資格なしで日本にいられます。でも申請の期限は30日です。「まだ60日ある」と思って30日を過ぎるのが、いちばん多い事故です。
  • 市役所への出生届は14日以内。入管への在留資格の取得申請は30日以内。期限も窓口も別です。
  • 出産育児一時金は1児につき50万円(働いている人は、これとは別に産休中の出産手当金と育休中の給付金があります)。健康保険から出ます。多胎なら人数分です。
  • 一時金は、健康保険に入っている人(本人・家族)が出産したときに出ます。会社の健康保険でも国民健康保険でも同じです。
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これが分かると、「60日いられる」と「30日で申請」は別だと分かり、いちばん多い事故を最初から避けられます。

日本で子どもが生まれると、うれしさと同時に手続きが押し寄せます。しかも期限が3つあって、それぞれ日数も窓口も違います。ひとつでも落とすと、赤ちゃんが日本にいられなくなることがあります。

まず、いちばん誤解されているところから。「血統主義(けっとうしゅぎ / ketto shugi)」とは、生まれた場所ではなく、親の国籍によって子の国籍が決まる考え方のことです。日本はこの考え方をとっているので、日本で生まれても日本国籍にはなりません。

この記事では、何を・いつまでに・どこへ出すのかと、もらえるお金を、国籍法・戸籍法・入管法の条文と協会けんぽの説明にもとづいて書きます。

日本で生まれたら、日本国籍になりますか

なりません。日本の国籍法は、生まれた場所ではなく親の国籍で決まるしくみです。これを血統主義といいます。

子は、次の場合には、日本国民とする。
一 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。

国籍法第2条

アメリカやカナダのように「その国で生まれたらその国の国籍」という国(出生地主義)とは違います。両親とも外国籍なら、日本で生まれた赤ちゃんも外国籍です。

日本で生まれた赤ちゃんの国籍の分岐図(国籍法第2条)。生まれた時に父か母が日本国民なら日本国籍で、生まれた場所は関係ない。いいえなら日本で生まれても外国籍で、赤ちゃんにも在留資格が要る。アメリカやカナダの出生地主義とは違う。例外は父母がともに知れないか、ともに無国籍のときだけ

例外は同じ第2条の3号で、父母がともに知れないとき、または父母がともに国籍を有しないときだけです。無国籍の子どもが生まれないようにするための規定で、ふつうの家庭には当てはまりません。

だから赤ちゃんにも在留資格が要ります。ここから先が本題です。

★60日いられます。でも申請は30日以内です

この記事でいちばん大事なところです。入管法にはこう書かれています。

外国籍の赤ちゃんが生まれたあとの期限を縦の時間軸で示した図。0日に出生、14日までに出生届を役所へ(出生証明書を添付)、30日までに在留資格を入管へ申請、60日がいられる限界で手続きではない。「まだ60日ある」と思うのは危ない

出生その他の事由により(中略)本邦に在留することとなる外国人は、(中略)出生その他当該事由が生じた日から六十日を限り、引き続き在留資格を有することなく本邦に在留することができる。
2 前項に規定する外国人で同項の期間をこえて本邦に在留しようとするものは、(中略)出生その他当該事由が生じた日から三十日以内に、(中略)在留資格の取得を申請しなければならない。

入管法第22条の2

「いられる期間」は60日。「申請の期限」は30日。この2つは別の数字です。

「まだ60日ある」が、いちばん危ない

60日という数字だけを覚えていると、31日目に期限が切れていることに気づきません。産後は体も生活も落ち着きません。出産の前に、パートナーか家族が入管へ行く段取りを決めておいてください。本人が行けなくても、同居の親族が申請できます。

60日以内に日本を出る予定なら、この申請は要りません。ただし出るつもりが延びることはよくあります。迷ったら申請しておくほうが安全です。

期限は3つ。窓口も別です

病院でもらった用紙で出生届を出し、これで赤ちゃんの手続きは済んだと思う。あなたの国では、生まれたことを一度届ければ、あとは役所の中でつながるのかもしれません。日本では、赤ちゃんの在留資格は市役所ではなく入管で、別に申請します。気づいたときには30日が過ぎていた、ということが起こります。

順番に整理します。同じ役所ではありません。

窓口ごとの手続きの図。市区町村の役所には14日以内に出生届(出生証明書・病院の用紙)。健康保険の窓口には出産育児一時金で1児につき50万円、期限は保険者による。地方出入国在留管理局には30日以内に在留資格を申請し、出生届の受理証明か住民票を持っていく。出生届が先、次に入管

1. 出生届——14日以内・市区町村の役所
戸籍法第49条です。国外で生まれたときは3か月以内。医師や助産師が作った「出生証明書」を届書に付けます。ふつうは病院が出生届と一体の用紙で渡してくれます。

2. 在留資格の取得申請——30日以内・地方出入国在留管理局
入管法第22条の2です。市役所ではありません。出生届を先に出して、その受理証明や住民票を持っていくのが確実です。

3. 出産育児一時金——健康保険の窓口
勤め先の健康保険か、国民健康保険のどちらかです。期限は保険者によって違うので、母子健康手帳をもらうときに聞いておいてください。

住所が決まったら住民票にも赤ちゃんが載ります。出生届を出せば自動で載るので、別の手続きは要りません。

出産育児一時金は1児につき50万円

健康保険から、1児につき50万円が出ます。協会けんぽの説明では、産科医療補償制度に加入している医療機関で在胎22週以降に出産した場合の金額です。

在胎22週に達しなかった出産と、産科医療補償制度に加入していない医療機関での出産は、1児につき48.8万円です。

対象になるのは妊娠85日(4か月)以降の出産で、早産・死産・流産・人工妊娠中絶も含まれます。悲しい結果になったときも、申請できます。

双子なら100万円、三つ子なら150万円。多胎のときは胎児の数だけ支給されます。

健康保険に入っていれば、国保でも出ます

協会けんぽは、被保険者とその被扶養者が出産したときに支給すると書いています。国民健康保険も同じで、たとえば新宿区は、国民健康保険に加入している人が出産したときに支給するとしています。国保に入って6か月たっておらず、その前に1年以上ほかの健康保険に入っていた人は、前の健康保険から出ることがあります。被扶養者が出産したときも「家族出産育児一時金」として同じ扱いです。

受け取り方は、病院が健康保険に直接請求してくれる方法(直接支払制度)がふつうです。この場合、窓口では50万円を超えた分だけを払います。50万円で足りたときは、差額をあとから受け取れます。病院で「直接支払制度を使えますか」と聞いてください。

出産育児一時金の直接支払制度の図。一時金50万円までは健康保険が病院へ払う。費用が50万円を超えたら超えた分だけあなたが窓口で払い、50万円で足りたら差額をあとで受け取る。病院で使えるか聞く

出産そのものには、健康保険が効きません

意外に思うかもしれませんが、ふつうのお産は病気ではないので、健康保険の3割負担になりません。全額が自己負担です。だからこそ、その埋め合わせとして一時金があります。

ただし帝王切開や、切迫早産などで治療が必要になった場合は、その部分に健康保険が効きます。高額になれば高額療養費制度も使えます。事前に「限度額適用認定証」をもらっておくと、窓口の支払いが上限で止まります。

ふつうのお産と治療が要るお産を比べた図。ふつうのお産は健康保険が効かず全額が自己負担で、出産育児一時金(1児50万円)で埋め合わせる。帝王切開などの治療はその部分に保険が効き、高額療養費制度も使え、限度額適用認定証で窓口の支払いが上限で止まる

妊娠が分かったら、市区町村で母子健康手帳をもらってください。健診の費用を補助する券が一緒に渡されます。妊娠届の出し方と、14回分以上の受診票・妊婦のための支援給付(1人なら10万円)は、出産の前に済ませておく手続きです。生まれたあとの児童手当(3歳未満の第1子・第2子は月15,000円・外国人も同じ・出生日の翌日から15日以内に申請:こども家庭庁「児童手当制度のご案内」)は全国一律ですが、子どもの医療費助成は自治体ごとに違います。母子健康手帳をもらうときに、まとめて聞くのがいちばん早いです。

終わりの判断——出産の前に決めておくこと

  1. 入管へ誰が行くかを、産む前に決めておく。30日は思うより短いです。本人が行けないときは、同居の親族が申請できます
  2. 病院で「直接支払制度」を使えるか聞いておく。使えれば、退院時に50万円を用意せずに済みます
  3. 母子健康手帳をもらうときに、児童手当と医療費助成をまとめて聞く。児童手当は出生日の翌日から15日以内に申請、子どもの医療費助成は市区町村ごとに違うので、その場で確認するのが早いです
  4. パスポートの手配も忘れずに。赤ちゃんの国籍の国の大使館・領事館で、出生登録とパスポートの申請が要ります

在留資格の種類(家族滞在になるか、日本人の配偶者等の子になるか)は、両親の在留資格で変わります。家族滞在で暮らしている人は、そちらもあわせて読んでください。

よくある質問(FAQ)

Q. 日本で生まれた子どもは日本国籍になりますか。
なりません。日本の国籍法は血統主義で、出生の時に父または母が日本国民である場合に日本国籍になります。両親とも外国籍なら、日本で生まれても外国籍です。例外は父母がともに知れないか、ともに国籍を持たない場合だけです。

Q. 赤ちゃんの在留資格は、いつまでに申請しますか。
出生の日から30日以内です。在留資格がなくても60日までは日本にいられますが、申請の期限は30日なので、混同しないでください。

Q. 出産育児一時金はいくらもらえますか。
1児につき50万円です(産科医療補償制度に加入している医療機関で在胎22週以降の出産の場合)。在胎22週に達しなかった場合や、産科医療補償制度に加入していない医療機関で出産した場合は48.8万円。双子なら2人分出ます。

Q. 外国人でも出産育児一時金をもらえますか。
健康保険に入っていれば対象です。協会けんぽは、被保険者とその被扶養者が出産したときに支給するとしています。国民健康保険も、加入している人が出産したときに支給されます。

Q. 出産に健康保険は使えますか。
ふつうのお産は病気ではないので、健康保険の3割負担にはなりません。全額自己負担で、その代わりに出産育児一時金があります。帝王切開など治療が必要な部分には保険が使えます。

Q. 出生届と在留資格の申請は、同じ窓口ですか。
違います。出生届は市区町村の役所へ14日以内、在留資格の取得申請は地方出入国在留管理局へ30日以内です。先に出生届を出して、その書類を持って入管へ行くのが確実です。

まとめ

  • 日本で生まれても日本国籍にはならない(国籍法第2条・血統主義)。赤ちゃんにも在留資格が要る
  • ★60日いられるが、申請の期限は30日(入管法第22条の2)。「まだ60日ある」が事故のもと
  • 期限は3つ、窓口も別。出生届=14日以内・市区町村/在留資格=30日以内・入管/一時金=健康保険
  • 出産育児一時金は1児につき50万円(22週未満や、産科医療補償制度に未加入の医療機関での出産は48.8万円)。多胎は人数分。妊娠85日以降なら死産・流産・人工妊娠中絶も対象
  • 一時金は、健康保険に入っている人(本人・家族)が出産したときに出る。会社の健康保険でも国保でも同じ

出典(公式):e-Gov法令検索「国籍法」/「戸籍法」/「出入国管理及び難民認定法」/全国健康保険協会「出産育児一時金の支給額」/新宿区「出産育児一時金」(国民健康保険の例)

条文と金額は2026年8月28日時点で確認し、出産育児一時金の条件は2026年10月8日に確かめ直したものです。子どもの医療費助成は自治体ごとに違います。在留資格の種類や必要書類は家庭ごとに変わるので、地方出入国在留管理局か行政書士に確認してください。

この記事を書いた人

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日本人。省庁の告示・通達・Q&Aを原典のまま読み、在日ネパール・スリランカの友人から実際に聞いた困りごとを出発点にしています。確かめていないことは書きません。

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