最終更新:2026年8月(2026年2月のガイドライン改訂と、2027年4月施行の取消し制度に対応)
この記事の結論(Summary)
- 永住には原則10年の在留が必要です。ただし日本人の配偶者なら婚姻3年+在留1年、高度専門職なら最短1年という特例があります。
- 2027年4月1日から、在留カードの「在留期間」が原則5年必要になります。いまの3年でも申請できる特例が、2027年3月31日で終わります。
- 同じ日から「永住の取消し制度」が始まります。税金や社会保険料を故意に払わない場合が対象です。
- ただし「故意かつ悪質」が条件です。病気や失業で払えなかった場合は想定されていません。取り消されても、すぐ国外退去にはなりません。
- 審査では住民税と所得は直近5年分、年金と健康保険は直近2年分が見られます。今日から効く準備は、これを払い続けることです。
「永住(えいじゅう)」とは、在留期間の制限がなくなり、働く内容にも制限がなくなる在留資格のことです。日本国籍を取る「帰化」とは別のもので、国籍は母国のままです。
この記事は2026年2月のガイドライン改訂と2027年4月に始まる取消し制度に対応しています。去年までの情報を見ていると、間に合わなくなる部分があります。
まず、何年住めば申請できるのか
原則は10年です。そのうち就労資格または居住資格で5年以上必要です。留学生として5年、就職して5年、という形なら合計10年で条件を満たします。
ただし特例がかなりあります。自分が当てはまらないか確認してください。

年数のほかに、素行が善良であること(犯罪歴がないこと。過去5年の軽い交通違反の繰り返しも見られます)と、身元保証人(日本人または永住者で、安定した収入のある人)が必要です。
10年待たなくてよい道もあります(高度人材ポイント制)
原則は10年です。ただし、点数で早くなる仕組みがあります。高度人材ポイント制といって、学歴・職歴・年収・年齢・日本語能力などを点数にして合計するものです。
| ポイント | 必要な在留年数 |
|---|---|
| —(通常) | 10年 |
| 70点以上 | 3年 |
| 80点以上 | 1年 |
70点以上の高度外国人材として3年以上続けて日本にいるか、3年前の時点で計算して70点以上だったと認められれば、3年で申請できます。80点なら1年です。
この道は、誰にでも開いているわけではありません。点数の中心は学歴と年収で、日本語学校を出たばかりの人や、働き始めたばかりの人が届く水準ではないことが多いです。
それでも知っておく価値はあります。点数は、年収が上がるほど、日本語能力試験に受かるほど、上がっていくからです。今は届かなくても、数年後に届く人がいます。10年しか道がないと思って過ごすのと、点数を見ながら過ごすのとでは、選ぶ仕事が変わります。
収入はいくら必要か
独立して生計を営めることが要件です。公表された一律の基準はありませんが、実務上の目安があります。

収入を上げる方法は在留資格によって変わります。あなたのビザで、どこまで稼げる?にまとめてあります。
【2026年2月改訂】在留カードの「在留期間」が5年必要になります
ここが今回いちばん誤解されやすい部分です。変わったのは「何年住んだか」ではありません。「在留カードに書いてある在留期間の長さ」のほうです。

これまでは在留期間が3年でも「最長」として特例的に扱われていました。その特例が2027年3月31日で終わります。2027年4月1日以降は、原則として5年の在留期間を持っている必要があります(家族関係の在留資格は除きます)。
経過措置があります。2027年3月31日の時点で3年の在留期間を持っている人は、その在留期間の中で行う初回の申請に限り、これまでどおり認められます。
気をつけるべきなのは、2027年4月以降の更新でまた3年しかもらえなかった場合です。次の更新で5年をもらうまで、永住の申請ができない状態になります。在留資格の更新のたびに5年を狙う、という意識が要ります。
【2027年4月施行】永住が取り消される制度が始まります
2024年6月に成立した改正入管法により、永住許可の取消し制度ができました。施行は2027年4月1日です。すでに永住を持っている人も対象になります。
取消しの理由は3つです。
- 公租公課(税金・社会保険料)を故意に納めない場合
- 入管法上の届出義務に違反した場合(住所変更の届出をしない、など)
- 重大な犯罪で拘禁刑に処された場合
ここは正確に:「故意かつ悪質」が条件です
不安を煽る情報が出回っていますが、条件が付いています。「故意かつ悪質」であることです。
病気や失業といった、やむを得ない事情で払えなかった場合は対象として想定されていません。お金がなくて払えなかったという事実だけで、直ちに取り消されるわけではありません。
そして取り消されても、すぐに国外退去になるわけではありません。日本での生活状況や家族関係を踏まえて、「定住者」などへの在留資格の変更が通常は検討されます。取消しと変更は、別々の処分として選択されるものです。

今日からできる準備は、ひとつだけです
払い続けること。これに尽きます。
審査で確認される期間は、こう決まっています。
- 住民税・所得証明:直近5年分
- 年金・健康保険料:直近2年分
この年数の意味は重いです。「そろそろ永住を申請しよう」と思ったときには、過去5年分がすでに確定しているということです。あとから直せません。
とくに見落とされやすいのが期限に遅れた支払いです。最終的に払っていても、納付の記録に遅れが残ります。国民健康保険や国民年金は、口座振替にしておくのが確実です。詳しくは国民健康保険とは?とアルバイトと税金の話にまとめました。
そして2027年4月からは、これが永住を取った後もずっと続きます。取ったら終わりではなくなった、というのが今回の改正のいちばん大きな変化です。
【2026年8月公示】改定案が出ました——日本語B1・年金・収入
これまで「検討段階」と書いていた3つが、2026年8月4日に具体的な改定案として公示されました。意見募集は9月4日までで、この時点ではまだ確定していません。ただし中身が分かったので、報道の言い回しとは分けて書きます。
適用の時期がふたつに分かれています
改定案の適用は令和9年(2027年)4月から。ただし収入に関する要素だけは2026年10月に施行と書かれています。収入の部分は、あと数週間です。
日本語能力——N2ではなくCEFR B1相当
報道では「N2相当」という数字が出ていましたが、改定案に書かれているのは「CEFR(日本語教育の参照枠)B1相当」です。B1は「自立した言語使用者」の水準にあたります。
あわせて、日本の制度やルールの理解が乏しい人は消極評価とされています。
収入——「日本人世帯の平均収入を上回る水準」へ
これまで公表された一律の基準はありませんでした。改定案では「世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準の額に、継続して達しているか」と書かれています。基準の引き上げです。
そして新しい要件がひとつ増えます。年金の将来の受給見込額が、その年収水準で30年間厚生年金に加入していた場合の水準に達しているか。足りない場合は、補填できる金融資産も考慮されるとされています。
そのほか
- 子の就学——学齢期(義務教育期間)に子を就学させていなければ消極評価
- 配偶者等の特例が伸びます——日本人・永住者の配偶者は、いままで婚姻3年+在留1年で特例が使えましたが、婚姻5年+在留3年に伸長
- 「永住者」は「生涯を本邦で過ごすことが想定される最も安定した法的地位」だから特に慎重な審査を行う必要がある、と初めて明記されました
もう一点、別の改定案も動いています。特定技能2号の在留期間に「5年」が追加される予定です(公布は令和9年1月上旬の見込み)。永住の要件である「最長の在留期間を有すること」を、他の就労資格と揃えるためだと説明されています。
取り消される側の基準も、案が出ました
2027年4月に始まる取消し制度について、運用のガイドライン案も同じ日に公示されました。読者にとって大事なのは、取り消される条件よりも取り消されない条件のほうです。
案には、こう書かれています。支払をしないことについて「やむを得ない事情があり、本人に帰責性が認められない場合は該当しない」。具体例として挙げられているのが次の2つです。
取消しに「該当しない」と明記されている例
- 病気、災害、失業などのやむを得ない事情がある
- 催告等に応じて支払う意思を示し、分納や猶予措置を受けている
ここが、この記事でいちばん実用的なところです。払えないこと自体は取消しの理由になりません。問題になるのは「今後も支払う意思がないことが明らか」な場合や、滞納の額や期間が社会通念上看過しがたい場合だとされています。
だから国民健康保険を滞納しそうなときも、国民年金が払えないときも、答えは同じです。放置ではなく、窓口で相談して分納か猶予にする。それが記録に残ることが、永住を守ります。
取消し以外の道もあります。取消しに至らない場合は「定住者」等の在留資格へ職権で変更し、その後の更新手続のなかで在留状況を確認する、という運用が書かれています。また国や自治体による通報は義務ではありません。
まだ決まっていないこと(報道と混同しないでください)
上の改定案は「案」であって、まだ確定していません。意見募集が2026年9月4日に締め切られ、そのあと確定します。数字や条件が変わる可能性があります。
「N2が必要になる」と断定している情報を見かけたら、出典を確認してください。改定案に書かれているのはCEFR B1相当で、N2ではありません。
すでに確定しているのは、この記事の前半に書いた在留期間5年と取消し制度の2つだけです。
よくある質問(FAQ)
Q. 10年住みました。すぐ申請できますか?
A. 年数だけでは足りません。就労資格または居住資格で5年以上という条件、収入、税金や社会保険料の納付、身元保証人が必要です。そして2027年4月以降は在留カードの在留期間が5年であることも要ります。
Q. いま在留期間が3年です。どうすればいいですか?
A. 2027年3月31日までに申請すれば、これまでどおり扱われます(その在留期間内の初回申請に限る)。間に合わないなら、次の更新で5年をもらうことを目指してください。
Q. 税金を1回滞納したことがあります。永住は取り消されますか?
A. 「故意かつ悪質」が条件です。病気や失業などやむを得ない事情での滞納は、対象として想定されていません。ただし記録には残るので、今後は期限内に払ってください。心配なら行政書士などの専門家に相談を。
Q. 永住が取り消されたら、国に帰らないといけませんか?
A. すぐに国外退去にはなりません。生活状況や家族関係を踏まえて、「定住者」などへの在留資格の変更が通常は検討されます。取消しと変更は別々の処分です。
Q. 永住と帰化は何が違いますか?
A. 永住は在留資格、帰化は日本国籍を取ることです。永住なら国籍は母国のままで、選挙権はありません。帰化すると原則として母国の国籍を失います。
Q. 永住のために日本語能力試験を受けるべきですか?
A. いまは要件になっていません。検討はされていますが、確定していません。ただし日本語ができると仕事の幅が広がり、結果的に収入要件を満たしやすくなります。漢字は小学生のドリルでいいに、お金をかけない勉強法を書きました。
要件の原文は公式のガイドラインで確認してください:出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン」
まとめ
永住の基本は原則10年。ただし配偶者や高度専門職には大きな特例があるので、まず自分がどれに当てはまるか確認してください。
2027年4月1日から2つ変わります。在留カードの在留期間が原則5年必要になること。そして永住の取消し制度が始まることです。「何年住んだか」ではなく「カードに書かれた期間の長さ」が変わる、という点を間違えないでください。
取消しは「故意かつ悪質」に限られ、取り消されてもすぐ国外退去にはなりません。過度に恐れる必要はありません。
ただし審査で見られるのは住民税と所得が直近5年分、年金と健康保険が直近2年分です。思い立ったときには、もう過去は確定しています。今日からできる準備は、期限内に払い続けることだけです。
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