納税管理人とは?外国人の帰国2026|住民税・所得税と脱退一時金の20.42%を取り戻す

当サイトではアフィリエイト広告を利用しています。

帰国するときの納税管理人2026のアイキャッチ。住民税は市区町村へ、所得税は税務署へ届け出て、厚生年金の脱退一時金から引かれた20.42%を取り戻す、の3点 暮らし
🇬🇧 English🇯🇵 日本語で読む読みながら日本語も学べます / Learn Japanese while you read

この記事は2026年9月23日に、国税通則法・所得税法・地方税法の条文(e-Gov)、国税庁のタックスアンサーNo.1923と届出手続の案内、日本年金機構の脱退一時金請求書、総務省「外国人の方の個人住民税について」、横浜市・京都市・神戸市の案内で確かめて書いています。

先に結論

  • 納税管理人とは、日本に住所がなくなるあなたの代わりに、税金の書類を受け取り、払い、申告し、還付金を受け取る人です。日本に住所がある人なら、友人でも会社でもなれます。
  • 届け先は2つあります。住民税は1月1日に住んでいた市区町村へ、所得税は最後の住所地の税務署へ。どちらも出国の前に出します。
  • 1月1日に日本に住所があった年は、その年度の住民税がかかります。通知は6月ごろ。それより前に帰国するなら、納税管理人を立てるか、市に申し出て出国前に払います。
  • 厚生年金の脱退一時金は20.42%が引かれます。納税管理人に申告してもらうと、国税庁の記載例では全額が戻ります。国民年金の分は、はじめから引かれません。
  • 帰国してしまってからでも遅くありません。脱退一時金の申告は、届出書を申告書と一緒に出せます(日本年金機構)。
知らないままの人が、まわりにいませんか。この記事を送る:WhatsAppLINE

これが分かると、出国の前に「誰に・どこへ・何を」頼むかを1回で決められるので、6月に届く住民税の通知と、脱退一時金から引かれたお金を、国に帰ってから取りこぼさずに済みます。

来年の3月に帰国すると決めた。会社の人に言われた。「住民税の通知は6月に来るから、納税管理人を決めておいてね」。仲のいい日本人の友達に頼もうとしたら、「それ何? 私があなたの税金を払うことになるの?」と聞き返された。友達も知らない。日本で暮らし続ける人には、納税管理人を立てる場面がふつうありません。

納税管理人とは?——出国後の税金の書類を受け取り、払い、申告する人

日本の税金の書類は、日本の住所に届きます。国に帰ると、その住所がなくなります。役所は書類を送れず、あなたは払えず、戻るお金も受け取れません。この間に立つのが納税管理人です。

国税庁の届出書の書き方には、納税管理人がすることが3つ書かれています。

  • 申告書や届出の書類を作って、税務署に出す
  • 税務署から届く書類を受け取る
  • 税金を納める。還付金を受け取る

住民税でも同じです。横浜市は、納税管理人を「納税通知書の受け取り、納税、還付金の受領等を行う代理人」と説明しています。

冒頭の友達の質問には、横浜市が答えています。納税管理人は納税義務を負いません。払えなかったときに滞納処分を受けるのは、あなた本人です。友達はあなたのお金で、あなたの代わりに手続きをするだけです。

住民税の納税管理人は要る?——1月1日に住所があれば、その年度の住民税がかかる

納税管理人の届け先が2つあることを比べた図。住民税は、1月1日に住んでいた市区町村に、納税管理人申告書(名前は市ごとに違う)を出国の前に出す。横浜市は出国の10日前まで。友人や会社も頼め、親族でなくてよい。出国前に全部払い終えたなら要らない。所得税は、最後の住所地の税務署に、納税管理人の選任・解任届出書を出国の日までに、e-Taxか紙で出す。日本に住所がある人や法人に頼める。出国前に申告を済ませ、後の用事がなければ要らない。同じ人に両方を頼めるが、届出は別々に2か所へ出す。納税管理人は代わりに手続きをする人で、税金を払う義務は本人に残る(横浜市)。

住民税は、1月1日に日本に住所があった人にかかります。額は前の年の1月から12月の給料などで決まります。総務省は、1月2日以降に出国した場合でも同じだと書いています(賦課期日は地方税法318条)。

数え方は、あなたの帰国の月で決まります。

  • 2027年3月に帰国する:2027年1月1日には日本にいました。2027年度の住民税(2026年の所得の分)がかかります。通知は6月ごろで、あなたはもういません。納税管理人を立てるか、市に申し出て出国前に払います。神戸市は、出国前に払うための納付書を出すと案内しています。
  • 2027年10月に帰国する:2027年度の分は、6月から払い始めています。残りを出国前に払い切るか、納税管理人に払ってもらいます。
  • どちらの場合も、2028年1月1日に日本に住所がなければ、2028年度の住民税はかかりません。

京都市の案内も同じです。1月2日から6月の通知までの間に国外へ転出するなら、納税管理人が必要。通知のあとに転出するなら、出国前に全額を払うか、納税管理人を決めます。

会社員は、いま払っている年度の残りを、最後の給料からまとめて引いてもらえることがあります。何月に辞めると自動で引かれるかは、住民税の記事の帰国の章に月ごとにまとめています。ただし、1月から5月に帰国する人は、6月ごろに決まる次の年度の分が別に残ります。そちらは、納税管理人か出国前の支払いで片づけます。

所得税の納税管理人は要る?——出国までに確定申告を済ませるなら、要らないこともある

所得税は、住民税とは別の役所の税金です。国税庁は、国を出た人(非居住者)が「確定申告書の提出、書類の受け取り、納付や還付金の受け取り」をする必要があるときに、納税管理人を定めるとしています(No.1923)。

裏を返すと、日本で処理することが残っていなければ要りません。

  • 会社で年末調整をしてもらってから辞める人:東京国税局の案内では、給与が1か所だけで、国外転出の時の年末調整で済む人は手続き不要です
  • 確定申告が必要な人:出国の時までに申告書を出して納めれば、納税管理人は要りません(所得税法127条)。払いすぎの税金を戻す還付申告も、出国までに出せます
  • 出国のあとに日本で申告することが残る人:納税管理人が必要です。厚生年金の脱退一時金の還付が、その代表です

年の途中で辞めて年末調整を受けていない人は、所得税が戻ることが多い立場です。出国前に自分で申告するか、納税管理人に頼むか。その判断は外国人の確定申告の記事の「帰国する人」の章で確かめてください。

納税管理人は誰に頼める?——日本に住所がある人なら、友人でも会社でも

条件は、ほぼ1つです。日本に住所(または居所)がある人。

  • 所得税:国税通則法117条は「この法律の施行地(日本)に住所又は居所を有する者」から定めるとしています。国税庁は、法人でも個人でも構わないとしています
  • 脱退一時金の還付:日本年金機構は、納税管理人の資格は日本に住所・居所があること以外に特にない、と書いています
  • 住民税:横浜市は、親族でなくてよく、友人や法人でもよいとしています

住民税には1つだけ注意があります。地方税法300条では、市が条例で決めた地域の外に住む人を納税管理人にするとき、届け出るのではなく申請して承認を受ける形になります。京都市は、京都市外の人を納税管理人にするなら「承認申請書」を使うよう案内しています。友達が別の市に住んでいるなら、市役所でどちらの様式かを聞いてください。

住民税と所得税で、同じ人に頼んでかまいません。頼む前に、次の3つを話しておくと揉めません。届いた書類をどう知らせてもらうか。払うお金をどう渡すか。戻ってきたお金をどう送ってもらうか。

納税管理人の届出はどう出す?——住民税は市区町村、所得税は税務署へ

住民税 所得税
出す先 1月1日に住んでいた市区町村の税務担当 日本の最後の住所地を管轄する税務署
書類 納税管理人申告書(市外の人なら承認申請書)。名前と様式は市ごと 所得税・消費税の納税管理人の選任・解任届出書
一緒に出すもの 本人確認書類(窓口は提示、郵送は写し) マイナンバーの記載と本人確認書類(e-Taxなら本人確認書類は不要)
出し方 窓口・郵送(横浜市はeLTAXも可) e-Tax、または紙で持参・郵送
いつまで 出国の前(横浜市は出国の10日前まで) 納税管理人を定めたとき、または出国の日まで

順番は、頼む人の了解をもらうのが先です。様式には納税管理人の住所と氏名を書きます。次に、市区町村と税務署へ別々に出します。市の転出届と同じ日に回ると、1日で済みます。住民票を移す日や保険・年金との順番は、帰国前チェックリストに並べてあります。

横浜市の「出国の10日前まで」は、市ごとに違います。自分の市の案内で締切を確かめてください。

脱退一時金の20.42%は、納税管理人がどう取り戻す?

厚生年金の脱退一時金から引かれた20.42%が戻るまでの流れの図。帰国の前に税務署へ納税管理人の届出をする。出国後2年以内に脱退一時金を自分で請求する。支給のときに20.42%が引かれて振り込まれる。支給決定通知書の原本を納税管理人へ送る。翌年1月1日以後に納税管理人が申告し、口座に還付される。国税庁の記載例では、脱退一時金291,478円から59,519円が引かれ、退職所得控除80万円を引くと所得は0円になり、59,519円が全額戻る計算。国民年金の脱退一時金は、はじめから税金が引かれないので、この手続きは厚生年金の分だけ。還付金は納税管理人の口座に入る。

帰国する人の納税管理人が、いちばん働く場面がここです。厚生年金に入っていた人が脱退一時金を受け取ると、支給のときに20.42%の所得税が引かれます(日本年金機構)。国民年金の脱退一時金は、引かれません。

引かれた分は、「退職所得の選択課税による還付のための申告書」を税務署に出すと戻ることがあります。日本年金機構の請求書に書かれている流れは、次のとおりです。

  1. 帰国の前に、日本の最後の住所地を管轄する税務署へ、納税管理人の届出書を出す
  2. 出国したあと、日本に住所がなくなった日から2年以内に、脱退一時金を請求する(いくら戻るかは脱退一時金の記事で計算できます)
  3. 支給と同時に届く「脱退一時金支給決定通知書」の原本を、納税管理人に送る
  4. 納税管理人が申告書を作り、同じ税務署に出す

申告書を出せるのは、法律では支給の年の翌年1月1日以後です(所得税法173条。それより前に金額が確定したときはその日以後)。国税庁の記載例では、申告書は「支給が決まった年」の分として作ります。

いくら戻るかは、国税庁の記載例が1つの答えを見せています。脱退一時金291,478円から、59,519円が引かれていた例です。退職所得控除の80万円を引くと、所得は0円。引かれた59,519円が全額戻る計算です。還付金の振込先の欄は、納税管理人の口座になっています。

いくらかかる?——届出の手数料の記載は無い。かかるのは送金と、頼む相手への礼

  • 届出そのもの:国税庁の手続案内にも、横浜市の案内にも、手数料の記載はありません
  • 払う税金:住民税はあなたの税金です。納税管理人に立て替えさせず、先にお金を渡すか、出国前に日本の口座からの引き落としを申し込みます(京都市・神戸市が口座振替・口座引き落としを案内しています)
  • 戻るお金:脱退一時金の還付は納税管理人の口座に入ります。そこから国へ送ってもらうと、送金の手数料がかかります
  • お金を払って人や会社に頼む場合:料金は相手ごとに違い、公式の目安はありません

届け出ないで帰国したら?——住民税は過料、所得税は加算税と延滞税のおそれ

住民税では、地方税法302条が、正当な理由なく納税管理人を申告しなかった人に10万円以下の過料を科す条例を、市町村が設けられると定めています。税金そのものも消えません。払わなければ延滞金がつき、滞納処分の相手はあなたです。総務省は、払うべき住民税が払われていないと、在留期間の更新申請などが許可されない場合があると書いています。

所得税では、確定申告が必要なのに、納税管理人を届け出ず、出国までに申告も納税もしなかった場合、加算税と延滞税がかかる場合があります(東京国税局)。滞納になると、出国先で日本と出国先の税務当局から催告や調査を受けることがある、とも書いています。

2022年1月からは、税務署が動く仕組みもあります。届出が無いと、税務署長は書面で「60日以内の指定日までに届け出るように」と求められます。それでも出なければ、生計を一にする成人の家族などを納税管理人に指定できます(国税通則法117条)。日本に家族が残る人は、その家族が指定されることがあります。

もう帰国してしまったら?——今からでも出せる

間に合わなかった人にも道はあります。

  • 脱退一時金の還付:日本年金機構は、届出書を出さずに帰国した場合は、申告のときに申告書と一緒に出すように、と書いています。日本に住む誰かに頼めば、今からでも始められます
  • 住民税:1月1日に住んでいた市区町村の税務課に連絡してください。神戸市は、日本の口座からの引き落とし、納付書の番号やeL-QRを使ったインターネット納付、納付書を海外の住所に送る依頼(状況によってはできない)を案内しています
  • 所得税の申告が残っている:最後の住所地の税務署に連絡し、納税管理人の届出と申告の出し方を聞いてください

最悪なのは、「もう国にいるから」と放っておくことです。住民税は時間がたつほど延滞金が増えます。還付は、出さなければ1円も戻りません。

出国したあと、e-Taxで自分で申告できる?——マイナンバーカードでは難しい

「納税管理人を立てずに、国からe-Taxで出せばいい」と考える人もいるはずです。ここには壁があります。

国外に出たあともマイナンバーカードを使い続けられるのは、日本国籍の人だけです(マイナンバーカード総合サイト。2024年5月27日から)。横浜市は、国外へ転出する外国人住民はカードを返納するよう案内しています。マイナンバーカードを使ったe-Taxは、出国した外国籍の人には使えない前提で考えてください。

それ以外の方法で国外から出せるかは、公式の案内で確かめられませんでした。出国前の税務署で「国から自分で出す方法はありますか」と聞き、答えが無ければ納税管理人を立てるのが確実です。なお、納税管理人の届出書そのものは、出国前ならe-Taxでも出せます(国税庁)。

終わりの判断——自分はどれか

  1. 1月〜5月に帰国する(住民税の通知の前)——6月の通知を受け取る人か、出国前の支払いが要る。今日、頼む人に了解をもらうか、1月1日に住んでいた市区町村に「出国前に払えるか」を問い合わせる。
  2. 厚生年金に入っていて、脱退一時金を受け取る——20.42%を戻すには申告が要る。今日、最後の住所地の税務署に出す届出書を印刷し、頼む人の住所と氏名を聞く。
  3. 国民年金だけで、住民税も出国前に払い切れる——脱退一時金に税金は引かれず、住民税も残らない。今日、市区町村で残額と次の年度の分があるかを確かめ、0円なら納税管理人は立てずに帰国の準備を進める。
  4. 届けずに帰国してしまった——まだ遅くない。今日、日本にいる友人に頼めるか連絡し、1月1日に住んでいた市区町村の税務課へメールか電話で払い方を聞く。

よくある質問(FAQ)

Q. 納税管理人とは何ですか?

日本に住所がなくなる人の代わりに、税金の書類を受け取り、税金を納め、申告や還付金の受け取りをする人です。住民税は市区町村に、所得税は税務署に、それぞれ届け出ます。

Q. 納税管理人は誰がなれますか?

日本に住所(または居所)がある人です。親族でなくてもよく、友人や会社(法人)でもなれます。住民税では、市の外に住む人に頼むときは、市に申請して承認を受けます。

Q. 納税管理人になった友達が、私の税金を払う義務を負いますか?

横浜市は、納税管理人は納税義務を負わず、滞納処分は本人に対して行うとしています。友達は、あなたのお金で、あなたの代わりに手続きをする人です。

Q. 住民税の納税管理人は、いつまでに届け出ますか?

出国の前です。横浜市は出国の10日前までとしています。締切は市ごとに違うので、1月1日に住んでいた市区町村の案内で確かめてください。

Q. 脱退一時金の税金を取り戻すのに、納税管理人は必要ですか?

厚生年金の脱退一時金なら必要です。支給のときに20.42%が引かれ、還付の申告は帰国後になるので、日本の納税管理人が税務署に申告します。国民年金の脱退一時金は税金が引かれないので、この手続きはありません。

Q. 納税管理人を届け出ずに帰国してしまいました。どうすればいいですか?

脱退一時金の還付なら、申告のときに届出書を一緒に出せます(日本年金機構)。住民税は、1月1日に住んでいた市区町村の税務課に連絡し、納税管理人の届出と払い方を相談してください。

まとめ

納税管理人は、国に帰ったあなたの代わりに、日本の税金の書類を受け取り、払い、申告する人です。日本に住所があれば、友人でも会社でもなれます。住民税は1月1日に住んでいた市区町村へ、所得税は最後の住所地の税務署へ、別々に出します。

1月1日に日本にいた年の住民税は、帰国しても消えません。厚生年金の脱退一時金の20.42%は、申告すれば戻ることがあり、国税庁の記載例では全額が戻っています。頼む人を決め、2か所に届け、出国する。もう帰国した人も、今から始められます。

出典(公式):国税庁 No.1923「海外勤務と納税管理人の選任又は解任」/国税庁「所得税・消費税の納税管理人の選任届出又は解任届出手続」/国税庁「退職所得の選択課税の記載例」(PDF)/日本年金機構「脱退一時金の制度」/総務省「外国人の方の個人住民税について」/横浜市「納税管理人に関する手続きについて」/京都市「国外に転出されるときの市民税・府民税・森林環境税」/マイナンバーカード総合サイト「マイナンバーカードを国外で利用する」。条文は国税通則法117条・所得税法127条・173条・地方税法300条・302条(e-Gov)。2026年9月23日に確認したものです。

あわせて読みたい

この記事を書いた人

mori のイラストアイコン

mori

日本人。省庁の告示・通達・Q&Aを原典のまま読み、在日ネパール・スリランカの友人から実際に聞いた困りごとを出発点にしています。確かめていないことは書きません。

このサイトが書けないことも、正直に書いています →

ほかのことを探していますか

タイトルとURLをコピーしました