最終更新:2026年7月
この記事の結論(Summary)
- 帰国は「やることリスト」ではなく順番のある手続きの連続です。順番を間違えると、お金を損します。
- いちばん大事なのは「転出届(てんしゅつとどけ)」を市役所に出すこと。出さないと、日本はあなたを「まだ住んでいる人」として扱い続けます。
- 転出届を出さないと、脱退一時金(年金の払い戻し)はもらえません。「日本に住所がないこと」が条件だからです。
- 住民税は帰国後も追いかけてきます。1月1日に日本にいたら、その年の分を払う義務があります。未払いは将来のビザ・再入国に影響します。
- 銀行口座は必ず解約を。放置した口座が犯罪に使われると、将来日本に入国できなくなることがあります。
「転出届(てんしゅつとどけ)」とは、いま住んでいる市区町村に「もうここには住みません」と届け出る手続きのことです。日本を離れる外国人にとって、これがすべての手続きの出発点になります。
帰国前の手続きを「リスト」で紹介する記事はたくさんあります。でもリストだけでは、順番を間違えたときに何が壊れるかがわかりません。日本の手続きは、実際には順番がとても大事です。この記事では、帰国3か月前から帰国後までを、時間の流れに沿って説明します。
なぜ「順番」がそんなに大事なの?
いくつかの手続きが、おたがいに依存しているからです。いちばんわかりやすい例が、転出届を出さないと脱退一時金を請求できないこと。「日本に住所がないこと」が支給の条件だからです。

いつ、何をする?——帰国までの流れ
飛行機の日から逆算します。3か月前に住まいと仕事、2週間前に市役所、当日は空港で在留カードを返却、帰国後に年金の払い戻しを請求します。

3か月前:住まいと仕事
大家さんへの連絡は、できるだけ早く。多くの契約は「1か月前までに連絡」と決まっていて、遅れると住んでいない月の家賃も払うことになります。
- 賃貸契約:契約書で「何か月前までに連絡が必要か」を確認しましょう。退去の日には部屋の写真を撮っておくこと。不当な請求から自分を守れます。→退去費用を安くする方法
- 仕事:会社側でも社会保険の手続きが必要です。最終出社日を早めに伝えましょう
- 電気・ガス・水道・ネット:解約日は「引っ越しの翌日」に設定を。最後まで使えるようにしておきます
2週間前:市役所でやること
ここが、あとの手続きがうまくいくかを決める山場です。転出届は出国予定日の14日前から出せて、市役所の手続きはたいてい同じ日にまとめてできます。
- 転出届:在留カードとパスポートを持参。「もう日本に住んでいません」と伝える手続きです
- 国民健康保険:脱退して保険証を返します。しないと保険料がかかり続けます →国民健康保険の記事
- 年金:脱退の手続きをします。実際の払い戻し(脱退一時金)の請求は、帰国後に本国からです
- マイナンバーカード:同じ窓口で返却します
- 住民税:精算するか、納税管理人を届け出ます(次で説明します)
航空券など、出国日がわかるものを持っていきましょう。家族を扶養に入れている場合は、家族の分の手続きも必要です。
帰国後も追いかけてくる「住民税」の罠
住民税は、前の年の収入に対して「1月1日にその市に住んでいた人」にかかります。だから1月1日に日本にいて3月に帰国しても、その年の分を全額払う義務があり、請求書は帰国後に届きます。
対応は2つあります。
- 帰国前に前払いする:市役所で概算の金額を計算してもらい、窓口で払ってしまう方法。お金に余裕があるなら、これがいちばん簡単です
- 納税管理人(のうぜいかんりにん)を立てる:日本に住所がある人か会社に、あなたの代わりに納税通知を受け取って払ってもらう制度です。友人・元の勤務先・代行サービスなどが引き受けられます
どちらもせずに帰国するのは避けてください。住民税の未払いは、将来のビザ申請や再入国で問題になることがあります。いつか日本に戻る可能性が少しでもあるなら、必ず片付けておきましょう。なお、同じ納税管理人に脱退一時金の税金の還付申告も頼めるので、1人立てておくと2つの問題が同時に片付きます。
銀行口座:放置ではなく「解約」を
帰国前に銀行口座は解約してください。放置した口座が売られたり盗まれたりして詐欺に使われると、将来あなたが日本に入国できなくなったり、強制送還になることがあります。
- 通帳・キャッシュカード・在留カード・(登録していれば)印鑑を持参します
- 残っているお金は先に送金しておきましょう。帰国前に送るほうが安いことがほとんどです
- 日本からの給料受け取りなど、どうしても口座が必要な事情があるなら、銀行に直接条件を確認してください →銀行口座の記事
出国当日と、帰国後にやること
空港では、出国審査のときに在留カードを入国審査官に渡します。これが正式な返納です。そして帰国後、2年以内に脱退一時金を請求します。
- 在留カード:再入国許可がない場合、出国審査で返納します。もし手元に残ってしまったら、失効から14日以内に返納が必要です
- 脱退一時金:本国から請求します。日本にいる間は請求できず、期限は住所がなくなった日から2年です。支給額の5年上限や20.42%の税金の還付については脱退一時金の記事で詳しく説明しています
- 税金の還付申告:脱退一時金を受け取ったあと、納税管理人を通じて申告します。多くの場合、引かれた税金のほとんどが戻ってきます
参考(公式):国税庁「海外転勤と納税管理人」
よくある質問(FAQ)
Q. 転出届を出さずに帰国したらどうなりますか?
日本はあなたを「まだ住んでいる人」として扱い続けるので、住民税・年金・国民健康保険の請求が古い住所に届き続けます。さらに、脱退一時金も請求できません。「日本に住所がないこと」が支給の条件だからです。
Q. 帰国したあとも住民税を払う必要がありますか?
1月1日にその市に住んでいた場合は、はい。住民税は前年の収入に対して1月1日時点の居住者にかかるので、年の途中で帰国しても消えません。帰国前に前払いするか、納税管理人を立ててください。
Q. 脱退一時金は日本にいる間に請求できますか?
できません。「日本に住所がないこと」が条件なので、帰国後に本国から請求します。期限は住所がなくなった日から2年です。
Q. 在留カードはいつ返すのですか?
空港の出国審査のときに、入国審査官に渡します。再入国許可を持たずに完全に帰国する場合の手続きです。
Q. 銀行口座を放置するのは本当に問題ですか?
はい。放置された口座は詐欺に悪用されることがあり、そうなると将来日本への入国を拒否されたり、強制送還されることがあります。帰国前にきちんと解約してください。
まとめ
- 転出届がすべての鍵——脱退一時金・請求の停止・在留カードの返納、すべてがここから
- 住民税は1月1日にいたら追いかけてくる——前払いか納税管理人を
- 銀行口座は解約——放置は将来の入国リスクになる
- 在留カードは空港で返し、帰国後2年以内に脱退一時金を請求
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