この記事は2026年9月30日に、全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)の「婚礼に関するアンケート調査(令和5年度)」「香典に関するアンケート調査(令和3年度)」と冠婚葬祭マナーのページ、郵便法、日本郵便、日本銀行、国税庁のページで確かめて書いています。冠婚葬祭のお金には法律や役所の決まりがほとんど無いため、金額は業界団体の調査の数字を、調べた条件と一緒に書いています。
先に結論
- ご祝儀とは、結婚などのお祝いに包んで贈るお金です。香典とは、葬儀で線香や花の代わりに供えるお金です。
- 同僚の結婚式(披露宴)に出るなら、調査で最も多いのは3万円です。同僚の家族の葬儀なら、最も多いのは5,000円です。
- ご祝儀はシワのない新札、香典は新札を使いません。4と9と偶数は避けます(2万円・2千円はかまいません)。
- ご祝儀袋は金銀か紅白の結び切りに「寿」、香典袋は「御霊前」。名前はフルネームで書きます。
- 行けないときは、袋に入れたまま現金書留で送ります。お金を普通の郵便で送ることは郵便法で認められていません。
これが分かると、知らせを聞いたその日に、いくら・どの袋・どのお札で用意するかを自分で決められます。職場の人に一つずつ聞かなくても、受付で慌てずに渡せます。
朝、職場で「〇〇さん、来月結婚するんだって」と聞く。その週に、別の同僚のお父さんが亡くなったという知らせが回ってくる。まわりの日本人は、何も相談せずに白い封筒や金色の飾りの袋を用意しています。友達に「いくら入れるの?」と聞いても、「だいたい」「人による」という答えしか返ってきません。日本人にとっては、子どものころから見てきた習わしだからです。
同僚の結婚式、ご祝儀はいくら?——出席するなら3万円が最多
ご祝儀とは、結婚を祝って贈るお金です。全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)は、本来は品物で祝うのが正式だったが、今はお祝いを現金で贈るのが主流になっている、と書いています。
いくら包むかに、法律や役所の基準はありません。いちばん大きな手がかりは、全互協が5年ごとに行っている婚礼に関するアンケート調査です。令和5年度の調査は、全互協に加盟する互助会の式場で披露宴に出席した人などに聞き、3,178件(有効3,137件)の回答を集めました。
職場の同僚に贈ったご祝儀は、最も多い額が3万円、平均が31,696円でした。同僚では、3万円と答えた人が80%以上です。上司に贈った場合も最も多いのは3万円で、平均は37,505円と少し高くなります。

この数字の読み方には、条件が一つあります。調査の対象は披露宴に出席した人なので、額にはお祝いの分と披露宴の食事の分が入っています。全互協は、出席しない場合よりもその分高く出る、と書いています。会費制の披露宴なら、1万円から2万円が相場と考えられる、とも書いています。招待状に会費の額が書いてあれば、それがいくら持っていくかの答えです。
「平均」と「最も多い額」がずれるのは、一部に高い額を包む人がいると平均が上がるからです。自分がいくら出すかを考えるときは、最も多い額のほうが目安になります。
同僚の家族が亡くなったら、香典はいくら?——5,000円が最多
香典とは、葬儀のときに、故人に供える線香や花の代わりとして渡すお金です。全互協は、葬儀の費用をみんなで補い合う助け合いの意味もある、と書いています。
同僚の家族の葬儀に、花とカードを持っていく。あなたの国では、それが普通かもしれません。日本では、お金を香典袋に入れて、通夜か告別式の受付で渡すのがしきたりです。
金額の手がかりは、全互協の香典に関するアンケート調査です。令和3年度の調査は、加盟する互助会が受けた個人葬の参列者にアンケートを配り、5,177件の回答を集めました。
亡くなったのが「勤務先の社員の家族」だった人の香典は、最も多い額が5,000円、平均が5,336円でした。同僚本人が亡くなった「職場関係」も、最も多い額は5,000円(平均6,204円)です。10代〜20代の人に限ると、同僚の家族への香典の平均は3,467円でした。

職場では、何人かでまとめて出すこともあります。調査報告は、2,000円や3,000円という回答は、同じ関係の何人かで一緒に包んだ金額だと推察できる、と書いています。全互協のマナーのページも、職場関係なら過去の記録から見当がつけられる、としています。自分一人で包む前に、職場でまとめて出すのかを、取りまとめている人か上司に一言聞いてください。
受け取る側の税金も気にしなくて大丈夫です。国税庁は、個人から受ける香典や祝物で、社会通念上相当と認められるものには贈与税がかからないとしています。
避ける金額は?——4と9、それに偶数
額が決まったら、数字を確かめます。全互協のマナーのページでは、ご祝儀と香典で避ける数字が少し違います。
- ご祝儀:4万円・6万円のような偶数は「割れる」ので避けます。2万円は「ペア」に通じるので構わないようだ、とされています(全互協「結婚祝いの相場はいくら?」)。婚礼の調査報告は、お祝いでは「9」も「苦」に通じるので避ける、と書いています。
- 香典:「4」「9」と偶数はタブーです。ただし2千円と2万円は構いません(全互協「香典をいくら包めばいいの?」)。

3万円や5,000円は、どちらの場でも避ける数字に当たりません。調査で最も多い額が、そのまま使える額でもあります。
新札か、使ったお札か?——ご祝儀は新札、香典は新札を使わない
ATMで下ろしたお札を、そのまま封筒に入れる。あなたの国では、それが普通かもしれません。日本では、お札の状態まで場によって分けます。
結婚のお祝いには、シワの無いきれいな新札を使うのがマナーです。全互協は、新札は銀行に頼めば用意してくれる、と書いています(全互協「新札の用意を忘れてしまった!」)。口座がまだ無い人は、外国人が銀行口座を作るときの条件から確かめてください。
反対に、香典には新札を使いません。全互協の香典のページに、そうはっきり書かれています。

ここでいう「新札」は、折れやシワの無いお札のことです。2024年7月3日に発行が始まった新しいデザインのお札とは別の話です。日本銀行は、従来のお札は新しいお札が出たあとも引き続き使え、交換する必要はないとしています。
祝儀袋・香典袋の書き方は?——表書きと名前、中包みの金額
袋は、市販のものを使います。選ぶときに見るのは、水引(袋に付いた紐の飾り)と、上に書かれた字(表書き)です。
ご祝儀袋は、水引が紅白か金銀のものを選びます。すぐにほどける蝶結びは避け、結び切りにします。何度あってもよい出産祝いは蝶結び、二度とあってはいけないことは結び切り、という習わしがあるからです(全互協「祝儀袋はどう使い分けますか?」)。表書きは「寿」か「御祝」です。
香典袋は、水引が白だけ、白と黒、銀のどれでも構いません。表書きは「御霊前」にします。通夜から三十五日の法要までなら、宗教や宗派を問わず使えます。蓮の花の模様がある袋は仏式用、十字架の模様はキリスト教用なので、相手の宗教が分からなければ模様の無いものを選んでください(全互協「香典袋の表書きは『御霊前』それとも『御仏前』?」)。

名前は、水引の下にフルネームで書きます。全互協は、改まったときは毛筆が基本で、苦手なら毛筆ペンが書きやすい、としています。金額は、中に入っている中包みの表の真ん中に縦に書きます(全互協「祝儀袋に金額や名前を書く時の正しい書き方は?」)。
外国人の名前をカタカナで書くか、ローマ字で書くかを決めた公式の決まりは見当たりません。受け取った家族は、誰からいくらもらったかを見て、あとでお返し(香典返し)をすることがあります。職場の人が見て、すぐにあなただと分かる書き方にしておくと安心です。
同僚と何人かで出すときは、連名にします。ご祝儀袋は、表書きの真下に目上の人の名前を書き、あとは左へ並べます。4人以上なら、真ん中に代表者の名前と「他一同」と書き、全員の名前は別の紙に書いて中に入れます。香典袋も、連名は目上の人から順に右から書きます。
いつ、どう渡す?——袱紗に包んで、受付で
袋はむき出しで持っていかず、袱紗(ふくさ。袋を包む布)か小さな風呂敷に包みます。紫の無地の袱紗なら、お祝いにもお悔やみにも使えます。包む向きは、お祝いは左から、お悔やみは右から折り、慶事と弔事で逆になります(全互協「袱紗はどのように包みますか?」)。
結婚式では、会場の受付でご祝儀を渡します。葬儀では、受付で香典を渡して記帳します。調査では、香典を通夜に持っていった人が74.2%、告別式に持っていった人が24.2%でした。故人とそれほど親しくなかった同僚なら、告別式に参列するだけでよい、と全互協は書いています。

渡すときは、袱紗を開いて袋を出し、表書きが相手から読める向きにします。言葉は短くてかまいません。全互協は、「この度は御愁傷さまです」「心からお悔やみ申し上げます」のような決まった言い方でよいとしています(全互協「お悔やみの言葉は何と言えばいいですか?」)。「重ね重ね」「たびたび」のような重ね言葉は避け、亡くなったいきさつを聞くこともしません。職場の敬語の基本は仕事で使う言い方をまとめた記事にあります。
葬儀の帰りに、品物を渡されることがあります。その場でのお返し(即日返し)で、全互協は2,000円〜3,000円程度の品物が一般的だとしています。お礼の返事はいりません。
亡くなったと聞いてすぐに家へ駆けつけるときは、香典を持っていきません。全互協は、亡くなった直後に喪服を着たり香典を持参したりすると、不幸を予期していたようでかえって失礼だ、としています。
行けないときは?——現金書留で送る
結婚式に招かれたが出席しない。葬儀の日が仕事で動かせない。そんなときは、お金を郵便で送れます。ただし方法は一つだけです。郵便法第17条は、現金を郵便で送るときは書留にしなければならないと決めています。
日本郵便の現金書留の専用封筒(現金封筒・21円)は、のし袋も入る大きさです。お金はまず祝儀袋や香典袋に入れて、その袋ごと現金封筒に入れます。料金は、ふつうの郵便料金に480円が足されます(損害要償額1万円まで。5,000円ごとに11円増え、上限は50万円)。

結婚式を欠席するときは、欠席の返事を出してから、なるべく早く送ります。祝福のメッセージを添えてください(全互協「式には出席出来ないけど、お祝い金を渡したい」)。香典は、喪主あてに速達で送り、お悔やみの手紙を添えます(全互協「すぐに弔問できない場合は?」)。封筒のあて名は日本語の順番で書くので、日本の住所の書き方を見ながら書くと間違えません。
お金が足りない・新札が用意できないときは?
3万円は、人によっては重い額です。全互協は香典について、本来いくらでなければいけないという決まりは無い、と書いています。調査でも、10代〜20代が同僚の家族に包んだ香典の平均は3,467円で、全体より低めでした。会費制の披露宴なら1万円から2万円です。無理に上の額に合わせる必要はありません。
一人で包むのが重ければ、同僚と一緒に連名で出す道もあります。
新札が用意できなかったときは、全互協は、アイロンなどで少しでもシワを取るように書いています。葬儀のあとで亡くなったことを知ったときは、香典を控えめにし、お返しの心配はいらないと中袋に一言書き添えます(全互協「葬儀が終わってから不幸を知ったら?」)。
知らせに「香典は辞退します」と書いてあることもあります。全互協は、香典を辞退する場合は死亡通知に明記するよう喪家に案内しています。迷ったら、職場で知らせを回した人に確かめてください。
マナーを破ったらどうなる?——罰は無い。お金の送り方だけは法律
金額、数字、新札、袋の書き方は、法律ではなく習わしです。守らなくても罰はありません。全互協も、地域のしきたりによって違うことがある、と書いています。職場の人が知っている「この地域のやり方」があれば、それが一番の答えです。
一つだけ、法律で決まっていることがあります。現金を郵便で送るなら書留です。普通の封筒にお札を入れて送るのは、郵便法第17条の決まりに合いません。
終わりの判断——自分はどれか
- 同僚の結婚式に招かれて、出席する——調査で最も多い3万円を基準にし、会費制なら招待状に書いてある額にする。今日、銀行で新札を頼み、紅白か金銀の結び切りの祝儀袋を買う。
- 招かれたが、出席しない——欠席の返事を出し、祝儀袋にメッセージを添えて現金書留で送る。調査の3万円は食事の分を含む額なので、いくらにするかは職場の人に今日聞いておく。
- 同僚の家族が亡くなった——職場でまとめて出すかを今日取りまとめ役に聞く。個人で出すなら5,000円を新札でないお札で、「御霊前」の香典袋に入れ、通夜か告別式の受付で渡す。
- 通夜にも告別式にも行けない——香典袋に入れたお金を現金封筒に入れ、お悔やみの手紙を添えて、喪主あてに現金書留の速達で今日出す。
よくある質問(FAQ)
Q. 同僚の結婚式のご祝儀はいくらですか?
全互協の令和5年度の調査では、披露宴に出席した人が職場の同僚に贈ったご祝儀は、最も多い額が3万円、平均が31,696円でした。会費制の披露宴なら、1万円から2万円が相場と考えられるとしています。
Q. 同僚の親が亡くなったら、香典はいくらですか?
全互協の令和3年度の調査では、故人が勤務先の社員の家族だったときの香典は、最も多い額が5,000円、平均が5,336円でした。職場でまとめて出すことがあるので、先に取りまとめている人に聞いてください。
Q. 香典に新札を使ってもいいですか?
全互協のマナーのページは、香典には新札は使わない、としています。反対に結婚のご祝儀は、シワの無い新札がマナーです。
Q. 旧デザインのお札をご祝儀に使ってもいいですか?
日本銀行は、2024年7月3日に新しいお札の発行が始まったあとも、従来のお札は引き続き使え、交換の必要はないとしています。ご祝儀で大事なのは、デザインではなくシワの無いきれいなお札であることです。
Q. 外国人の名前は、祝儀袋や香典袋にどう書けばいいですか?
カタカナかローマ字かを決めた公式の決まりは見当たりません。全互協は、名前はフルネームで書くとしています。職場の人がすぐにあなただと分かる書き方にしてください。
Q. 結婚式や葬儀に行けないとき、お金を郵便で送れますか?
送れます。郵便法で現金は書留にすることになっているので、祝儀袋や香典袋に入れたまま、郵便局の現金封筒で現金書留にします。香典は喪主あてに速達で送り、お悔やみの手紙を添えます。
まとめ
ご祝儀も香典も、法律で決まった額はありません。手がかりになるのは全互協の調査で、同僚の結婚式(披露宴に出席)は3万円、同僚の家族の葬儀は5,000円が最も多い額でした。どちらも避ける数字(4・9・偶数)に当たりません。
違うのはお札と袋です。ご祝儀はシワの無い新札を、金銀か紅白の結び切りの袋に。香典は新札でないお札を、「御霊前」の袋に。行けないときは袋ごと現金書留で送ります。迷ったら、職場でまとめて出すかを最初に聞いてください。
出典:全日本冠婚葬祭互助協会「第6回婚礼に関するアンケート調査(令和5年度)」・同 集計結果/同「第6回香典に関するアンケート調査(令和3年度)」・同 集計結果/同「冠婚葬祭マナー」/郵便法(e-Gov法令検索)/日本郵便「書留」/日本銀行「新券発行開始後の引換えに関する留意事項について」/国税庁 No.4405「贈与税がかからない場合」(すべて2026年9月30日確認)。金額は調査の結果で、決まりではありません。
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