この記事は2026年9月20日に、労働基準法・育児介護休業法・厚生年金保険法(e-Gov)、協会けんぽ「出産手当金」、厚生労働省「育児休業給付の内容と支給申請手続」(2026年8月1日改訂版)を本文まで開いて確かめました。給付の上限額は2027年7月31日までの額です。
先に結論
- 産休・育休とは、出産の前後と子が1歳になるまで、会社に籍を置いたまま休める法律上の権利で、外国人も国籍に関係なく同じです。産前6週・産後8週(労基法)、育休は1歳まで(保育所に入れなければ最長2歳)。
- 休んでいる間の収入は、給料ではなく給付金です。産休中は出産手当金(給料の3分の2・会社の健康保険の人だけ)、育休中は育児休業給付金(180日まで67%、その後50%)。
- 2025年4月から、両親とも14日以上休むと最初の28日は80%(手取り10割相当)になりました。給付は非課税で、社会保険料も免除されます。
- 条件は「雇用保険に入って12か月」と「有期契約なら子が1歳6か月まで契約が続く見込み」。留学生のバイトは対象外。
- 帰国して会社を辞めると、その日で給付は終わります。休んだまま帰るのと、辞めて帰るのは別です。
これが分かると、妊娠が分かった日に「何か月休めて、口座にいくら入るか」を数字で言えます。会社に相談するときも、「制度はこうなっているはず」と言える側になります。
妊娠が分かった。会社に言うのが怖い。「外国人だから育休は無理」と言われるかもしれない。言われても、それは法律のほうが正しい。日本人の同僚に聞いても「みんな取ってるよ」で、いくら出るかまでは知りません。ここでは、休める期間、その間に口座に入るお金、条件、そして外国人にだけ起きる「帰国」の問題を、法律と厚労省のパンフレットの数字だけで書きます。
産休・育休とは?——外国人も同じ、法律上の権利です

産前産後休業(産休)とは、出産する本人が産前6週間(多胎は14週間)・産後8週間、会社を休める労働基準法上の権利です(第65条)。産前は本人が請求すれば会社は働かせてはならず、産後8週間は本人が望んでも働かせてはなりません(6週間過ぎて本人が請求し、医師が認めた仕事は可)。
育児休業(育休)とは、1歳未満の子を育てる労働者が、会社に申し出て取れる休業です(育児・介護休業法第5条)。母親も父親も取れます。保育所に入れないなどの事情があれば1歳6か月まで、さらに2歳まで延長できます。
どちらの条文にも国籍の要件はありません。「外国人だから」「うちの会社は前例がない」は、断る理由になりません。
休んでいる間、いくら入りますか?——産休は3分の2、育休は67%→50%
休んでいる間、会社は給料を払う義務がありません。代わりに、2つの給付金が口座に入ります。
- 出産手当金(産休中)——会社の健康保険(協会けんぽ・健保組合)に入っている本人が対象。出産日以前42日(多胎98日)から出産の翌日以後56日までのうち、休んで給料が出なかった日について、1日あたり「直近12か月の標準報酬月額の平均÷30×3分の2」。月給25万円なら1日およそ5,600円、産休全体(98日)でおよそ54万円です。国民健康保険にはこの給付はありません。
- 育児休業給付金(育休中)——雇用保険の被保険者が対象。休業開始時の賃金日額×休んだ日数×67%(通算180日まで)、181日目からは50%(厚労省パンフレット2026年8月改訂版)。賃金日額には上限があり(16,540円・2027年7月31日まで)、30日で最大332,454円(67%)・248,100円(50%)。
そして2025年4月からの上乗せ。子の出生後8週間(母は産後休業後8週間)以内に、本人が14日以上の育休を取り、配偶者も14日以上の育休を取ると、最初の28日分に「出生後休業支援給付金」13%が乗って合計80%になります。配偶者が働いていない・自営業・産後休業中・ひとり親の場合は、配偶者の育休は要りません。
給付金は非課税で、しかも休んでいる間の健康保険料と厚生年金保険料は免除されます(厚生年金保険法第81条の2・第81条の2の2、会社が申し出ます)。だから80%の給付は「手取り10割相当」と厚労省は書いています。67%でも、税金と保険料が引かれない分、手取りの8割前後です。
父親も取れますか?——取れます。産後パパ育休は28日まで
父親は、子の出生後8週間以内に、合計28日まで「産後パパ育休(出生時育児休業)」を取れます(2回に分けて可)。給付は出生時育児休業給付金67%、母親が産後休業中なら配偶者要件は満たすので、13%が乗って80%です。そのあと通常の育休(1歳まで)にもつなげられます。
これは「配偶者が日本で働く外国人」の家族にも同じです。日本で出産したときの在留資格と一時金50万円と合わせて読んでください。
条件は?——雇用保険に12か月、有期契約なら「1歳6か月まで続く見込み」

- 雇用保険の被保険者であること——週20時間以上・31日以上の雇用。留学生のバイトは雇用保険に入っていないので、育児休業給付金は出ません(産休そのものは労基法なので取れます)。
- 休業開始前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上(または80時間以上)ある月が12か月以上——日本で働き始めて1年未満だと、ここで引っかかります。
- 有期契約(契約社員・派遣)なら、子が1歳6か月に達する日までに契約が終わることが明らかでないこと(育児・介護休業法第5条ただし書き)。更新の見込みがあれば取れます。「有期だから無理」ではありません。
出産手当金のほうは、会社の健康保険の被保険者であることだけが条件です(厚生年金と一緒に入っている人)。
帰国したらどうなりますか?——籍を置いたまま帰るのと、辞めて帰るのは別です
ここが外国人にだけある問題です。育休中に母国に帰って親に手伝ってもらいたい、という人は多い。
- 会社に籍を置いたまま一時帰国する——育休は続いていて、給付の要件(被保険者であること・休業中の就業日数)を満たしている限り、給付は続きます。1年以内に戻るならみなし再入国で出ます。
- 会社を辞めて帰国する——退職した日に雇用保険の被保険者でなくなり、育児休業給付金はそこで終わります。出産手当金も、退職後に受けられるのは条件付きです。「帰国するなら辞めてから」は、給付の面では損です。
在留資格の面では、会社に籍があるまま休業しているので、退職のときの所属機関の届出は要りません。在留期限が育休中に来るなら、更新は休業中でも出せます(在職証明を会社に頼む)。
終わりの判断——妊娠が分かったら、この順で
- 自分が「会社の健康保険+雇用保険」に入っているか、給与明細で確かめる。両方引かれていれば、出産手当金と育児休業給付金の両方が対象。
- 会社に伝える。産休の請求と育休の申出は本人がします。「前例がない」と言われたら、労基法第65条と育児・介護休業法第5条を見せてください。
- 配偶者も14日以上休めるか話す。2人で休めば最初の28日が80%になります。
- 帰国するなら、辞めずに一時帰国。辞めた日に給付は止まります。
よくある質問(FAQ)
Q. 外国人でも産休・育休は取れますか?
取れます。労働基準法(産前6週・産後8週)と育児・介護休業法(1歳まで)に国籍の要件はありません。
Q. 育休中はいくらもらえますか?
育児休業給付金が、休業開始時の賃金日額の67%(180日まで)、その後50%。両親とも14日以上休めば最初の28日は80%。非課税で社会保険料も免除です。
Q. 産休中の収入は?
会社の健康保険に入っている本人には、出産手当金として給料のおよそ3分の2(産前42日+産後56日の範囲)。国民健康保険にはありません。
Q. 契約社員でも育休は取れますか?
子が1歳6か月になるまでに契約が終わることが明らかでなければ取れます。更新の見込みがあれば対象です。
Q. 育休中に帰国したら給付はどうなりますか?
会社に籍を置いたまま一時帰国するなら続きます。辞めて帰国すると、退職した日で終わります。
Q. 父親も育休を取れますか?
取れます。出生後8週間以内に28日までの産後パパ育休(67%+13%で80%)、そのあと1歳までの育休も。
まとめ
産休・育休は外国人も同じ権利。産前6週・産後8週、育休は1歳まで(最長2歳)。お金は産休中が出産手当金(3分の2・会社の健保のみ)、育休中が育児休業給付金(67%→50%、両親で休めば最初の28日は80%)。非課税・社会保険料免除。
条件は雇用保険12か月と、有期なら1歳6か月まで続く見込み。帰国するなら辞めずに一時帰国——辞めた日に給付は止まる。妊娠が分かったら、給与明細を見て、会社に伝える。それが最初の一歩です。
出典(公式):労働基準法 第65条(e-Gov)/育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 第5条(e-Gov)/全国健康保険協会「出産手当金」/厚生労働省「育児休業給付の内容と支給申請手続」(2026年8月1日改訂版)/厚生年金保険法 第81条の2・第81条の2の2(e-Gov)(いずれも2026年9月20日に確認)
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