外国人の労災2026|治療費は無料・休業4日目から80%・会社が拒んでも本人で請求

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仕事のケガは労災。外国人も同じの記事のアイキャッチ。困った顔の人と病院のアイコン、「指定病院なら 治療費0円」・「休んだ4日目から 日額の80%」の札 守る力
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この記事は2026年9月18日に、厚生労働省労働基準局補償課の「外国人労働者向け労災保険給付パンフレット」(日本語版・第一編と第二編)を本文まで読んで確かめました。同じパンフレットが英語・ベトナム語・ネパール語など13言語で公開されています。記事の最後にリンクがあります。

先に結論

  • 労災保険とは、仕事中と通勤中のケガ・病気の治療費と休んだ分の生活費を国が払う保険です。外国人にも国籍を問わず適用されます。留学生のバイト中の事故も対象。保険料は会社が払い、あなたの給料からは引かれません。
  • 仕事のケガに健康保険は使えません。労災指定の病院なら治療費は無料、指定外で払っても後で全額戻ります。
  • 休んだ4日目から、1日につき給料の80%が出ます(給付基礎日額の60%+特別支給金20%)。月20万円の人なら1日約5,217円(厚生労働省のパンフレットの例)。
  • 請求するのは、会社ではなく、あなたです。会社が「労災じゃない」「うちは入っていない」と言っても請求できます。退職後でも、会社が無くなっても請求できます。
  • 帰国してからも請求できます。指定外の病院で立て替えた治療費の請求は2年、後遺障害は5年の時効。相談先は労働基準監督署。
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これが分かると、ケガをした日に「健康保険証は出さない」と言えます。治療費は0円、休んだ分も戻る——会社の言葉で諦めなくなります。

会話の場面のイラスト。左の人「バイト中にケガをしました」、右の人「バイト中の事故も労災の対象です」。

工場で指を挟んだ。配達中に自転車で転んだ。店長は「病院は健康保険で行って」と言い、社長は「うちは労災に入っていないから」と言う。そのどちらも、あなたが従う必要のない言葉です。日本人の同僚に聞いても「労災って会社が申請するんじゃないの?」で終わります。違います。請求するのはケガをした本人で、会社の許可は要りません。ここでは、厚生労働省が外国人向けに出しているパンフレットに書いてあることだけを、順番に並べます。

労災保険とは?——仕事と通勤のケガを国が補償する保険で、外国人にも同じです

仕事と通勤のケガは健康保険ではなく労災になることを示す図。仕事中のケガ・病気(業務災害)と、家と職場の往復のケガ(通勤災害、相手が分からない自転車事故も)が労災保険につながる。労災保険は国籍を問わず対象で、留学生のバイト中も対象、保険料は会社が払う。病院の受付では「仕事中のケガです」と言い、健康保険は使えない。給与明細に労災保険料が無いのは正常で、健康保険や雇用保険と違い給料からは引かれない

労災保険(労働者災害補償保険)とは、労働者が仕事や通勤が原因でケガをし、病気になり、または亡くなったときに、治療費など必要な給付を行う制度です(厚労省パンフレット)。「国籍を問わず、日本で労働者として働く外国人にも適用されます。就労できる在留資格を持っている方はもちろん、留学中にアルバイトをしていて事故にあった場合なども対象」——パンフレットの1ページ目に、この順で書いてあります。

覚えておく基本は3つです。

  • 保険料はあなたの給料から引かれません。会社が払います。給与明細に「労災保険料」が無くても、それは正常です(雇用保険料や健康保険料とは違います)。
  • 仕事や通勤のケガに、健康保険は使えません。反対に、仕事の外の病気やケガで休むときは、会社の健康保険の傷病手当金が4日目から出ます。パンフレットは「労働災害に健康保険は使えません」と明記しています。病院の受付で「仕事中のケガです」と言ってください。
  • 対象は「業務災害」と「通勤災害」。通勤とは、住居と就業場所の往復を合理的な経路・方法で行うこと。相手が分からない自転車事故も対象。いつもと違う道でも、一定の要件を満たせば対象です。交通事故で相手の自賠責保険などから保険金を受けても労災は受けられます(同じ理由の労災の支給額は、受け取った額を引いた額になります。休業や後遺症の特別支給金は引かれません)。自転車で通勤する人は、2026年4月からの自転車の青切符も知っておいてください。

治療費はいくら戻りますか?——指定病院なら無料、それ以外なら後で全額です

ケガをしたら、まず病院です。自分で動けないほどのケガなら、119番で救急車を呼びます(救急車は無料で、多くの消防では通訳も入ります)。治療費について、パンフレットの答えは3つに分かれています。

  1. 労災病院か「労災保険指定医療機関」で受診する:治療費は無料です。窓口で払いません。「療養の給付」といい、本人が請求書(様式第5号、通勤災害は16号の3)を病院経由で労働基準監督署に出します。これには時効がありません。
  2. やむを得ず指定外の病院で受診した:いったん自分で払い、あとで請求すると全額が戻ります。領収書を全部取っておく。請求書(様式第7号、通勤災害は16号の5)を直接、労働基準監督署へ。時効は、払った日の翌日から2年。
  3. 通院の交通費:片道2km以上など一定の条件を満たせば、実費が支給されます。

指定医療機関かどうかは、病院か労働基準監督署で確かめてください。まちがって健康保険で受診してしまった場合は、そのままにせず、病院と労働基準監督署に相談してください。

労災の治療費が病院によって分かれる図。労災指定の病院なら治療費は無料で窓口で払わず、様式第5号(通勤災害は16号の3)を病院経由で労働基準監督署へ出し、時効はない。指定外の病院なら、いったん自分で払い後で全額戻る。領収書を全部取り、様式第7号(通勤災害は16号の5)を直接監督署へ出す。時効は払った日の翌日から2年。指定かどうかは病院か労働基準監督署で確かめる。

休んだ分の給料は出ますか?——4日目から、1日あたり80%です

労災でケガをしてから給付までの流れの図。1、病院へ。労災指定なら無料、健康保険は使わない、指定外なら領収書を取って後で全額請求。2、本人が請求書を労働基準監督署へ出す。会社の事業主証明を拒まれても請求できる。退職後でも会社が無くなっても請求できる。会社が労災保険に入っていないと言っても原則受けられる。3、受付から決定までおおむね1か月。休業補償は休んだ4日目から1日につき給付基礎日額の80%、1から3日目は業務災害なら会社が平均賃金の60%を払う。時効は指定外の病院で立て替えた治療費2年、休業補償2年、障害5年、遺族5年。帰国後も海外から請求でき、支給額は決定日の為替で換算。

ケガの治療で仕事を休み、給料が出ないとき、休業(補償)等給付が、休んだ4日目から出ます。1日につき「給付基礎日額」の80%(保険給付60%+休業特別支給金20%)。給付基礎日額は、事故の直前3か月の賃金を暦日数で割った額です。

厚生労働省のパンフレットの例をそのまま:月20万円の人が10月に事故にあった場合、20万円×3か月÷92日≒6,522円が給付基礎日額、その80%で1日約5,217円。バイトを2つ掛け持ちしている人は、両方の賃金を合算して計算します(パンフレットの例2:月20万+10万、7月の事故で91日で割ると1日約7,912円)。

休んだ1〜3日目(待期期間)は労災保険からは出ません。業務災害なら、この3日分は会社が労働基準法の休業補償(平均賃金の60%)を払う決まりです。通勤災害では会社の補償義務はなく、初回の給付から200円が引かれます。休業補償の時効は、給料をもらえなかった日ごとに、翌日から2年。

治ってもケガの跡が残った(障害等級に当たる)なら障害(補償)等給付、亡くなったら遺族(補償)等給付と葬祭料。障害と遺族の給付は、どちらも時効が5年です(葬祭料は2年)。

会社が「労災じゃない」「うちは入っていない」と言ったら?——それでも請求できます

社長に「うちは労災に入っていない」と言われて、その場で引き下がる。あなたの国では、会社が保険に入っていなければ補償も無い、と考えるのが普通かもしれません。日本では、会社が加入の手続きをしていなくても、原則として給付を受けられます。請求するのも会社ではなく、ケガをしたあなた自身です。

ここが外国人の読者にいちばん伝えたいところです。パンフレットのQ&Aから、そのまま。

  • 「労災保険の手続きは原則、被災された方が自ら行う」——請求するのはあなたです。会社が申請してくれるのを待つものではありません。
  • 「会社が事業主証明を拒否するなど、事業主証明が得られない場合であっても労災請求はできます」——請求書には会社が書く欄がありますが、空欄でも出せます。最寄りの労働局か労働基準監督署に相談してください。
  • 「会社が労災保険の加入手続きを取っていない場合でも、原則として仕事または通勤によりケガや病気になったときには給付を受けることができます」——「うちは入っていない」は、あなたが給付を受けられない理由になりません。
  • 「退職したり、会社がなくなってしまった場合でも請求することができます」——辞めさせられても、会社が倒産しても、請求できます。そもそも、仕事のケガで休んでいる間とその後30日間は、会社はあなたを解雇できません(労働基準法19条)(会社が打切補償を払う場合などの例外はあります)。
  • 会社の任意保険から補償があっても、労災からの支給は受けられます(会社から治療費や休業補償を受け取った分は、支給されないか減額になることがあります)。

請求書の受付から給付の決定まで、おおむね1か月。必要に応じて労働基準監督署が本人や会社に書類や聞き取りを求めます。事故の日時・場所・状況・目撃者の名前を、その日のうちにメモしてください。会社が非協力的なときは、このメモと病院の診断書が、あなたの側の証拠になります。ケガのあとで嫌がらせを受けたり、辞めるよう迫られたりしたら、労働局の無料の相談とあっせんで会社との間に入ってもらえます。

会社が協力しなくても労災は請求できることを示す図。手続きは原則、被災した本人が自ら行う。会社が労災保険の加入手続きをしていなくても原則として給付を受けられる。会社が事業主証明を拒んでも会社の欄が空欄のまま出せる。退職した、会社がなくなった場合も請求できる。会社の任意保険から補償があっても労災から支給される(会社から補償を受けた分は支給されないか減ることがある)。事故の日時・場所・状況・目撃者をその日のうちにメモすると、診断書と並んで証拠になる。

帰国したらどうなりますか?——海外からも請求できます

パンフレットの最後の章は「本国へ帰った場合の注意事項」です。日本以外からも請求でき、支給額は支給決定日の為替(売りレート)で換算した日本円の額になります。海外で受けた治療も、内容が妥当と認められれば費用が支給されます。

ただし、日本国内でしか受けられない支援があります。アフターケア、義肢などの補装具費(車椅子など、支給できる場合もあります)、外科後処置、労災就学等援護費(日本国内の学校に通っている場合)。後遺障害が残りそうな人は、帰国前に労働基準監督署で「帰国後に受けられるもの・受けられないもの」を確かめてください。時効は立て替えた治療費の請求2年・休業補償2年・障害5年・遺族5年で、帰国しても止まりません。帰国のチェックリストと合わせて。

帰国後の労災を比べた図。海外からでも請求でき、支給額は支給決定日の為替(売りレート)で円を換算し、海外で受けた治療も妥当なら支給される。日本国内だけで受けられるのは、アフターケア、義肢などの補装具費(車椅子などは支給できる場合もある)、外科後処置、労災就学等援護費(日本国内の学校に通う場合)。時効は帰国しても止まらず、立て替えた治療費2年・休業補償2年・障害5年・遺族5年。後遺障害が残りそうなら、帰国前に労働基準監督署で確かめる。

労災の給付一覧——いつ・いくら・どこへ・時効(早見表)

ここまでの内容と、まだ書いていない給付を1枚にまとめました。数字はすべて厚生労働省のパンフレット第一編(日本語版)の表のとおりです。様式番号は「業務災害/通勤災害」の順。請求先はどれも労働基準監督署です(療養の給付だけ、指定医療機関を経由します)。

給付 出る条件 いくら 様式(業務/通勤) 時効
療養の給付(指定医療機関) 仕事・通勤のケガ病気の治療 治療は無料(現物給付) 第5号/16号の3 なし
療養の費用(指定外で立て替え) 同上 払った額の全額 第7号/16号の5 払った日の翌日から2年
通院費 居住地か勤務地から片道2km以上、同じ市町村内の適切な医療機関など 実費 本人が直接請求 払った日の翌日から2年
休業(補償)等給付 療養のため働けず、賃金が出ない。4日目から 1日あたり給付基礎日額の80% 第8号/16号の6 休んだ日の翌日から2年
傷病(補償)等年金 療養開始から1年6か月たっても治らず、傷病等級1〜3級 給付基礎日額の313日分(1級)/277日分(2級)/245日分(3級) 請求不要(労働基準監督署長が職権で決定) —
障害(補償)等給付 治ゆ(症状固定)後に障害等級1〜14級に当たる障害が残った 下の表のとおり 第10号/16号の7 治ゆの翌日から5年
介護(補償)等給付 障害年金・傷病年金の1・2級で、常時または随時の介護を受けている 月額 常時81,290〜177,950円/随時40,600〜88,980円(令和7年2月1日現在) 本人が直接請求 介護を受けた月の翌月1日から2年
遺族(補償)等給付 仕事・通勤が原因で亡くなった 遺族が1人なら年金は給付基礎日額の153日分(55歳以上の妻などは175日分)。遺族特別支給金300万円 年金 第12号/16号の8、一時金 第15号/16号の9 亡くなった日の翌日から5年
葬祭料 葬祭を行った人 315,000円+給付基礎日額の30日分(60日分に満たなければ60日分) 本人が直接請求 亡くなった日の翌日から2年

請求を受け付けてから決定までの目安は、療養・休業がおおむね1か月、障害がおおむね3か月、遺族がおおむね4か月です。どれも「場合によってはそれ以上かかる」とパンフレットは書いています。

後遺症が残ったときの障害(補償)等給付は、等級ごとに次のとおりです。1〜7級は年金、8〜14級は一時金で、どちらも別に障害特別支給金(一時金)が出ます。

障害等級 障害(補償)等給付(給付基礎日額の) 障害特別支給金
1級 年金 313日分 342万円
2級 年金 277日分 320万円
3級 年金 245日分 300万円
4級 年金 213日分 264万円
5級 年金 184日分 225万円
6級 年金 156日分 192万円
7級 年金 131日分 159万円
8級 一時金 503日分 65万円
9級 一時金 391日分 50万円
10級 一時金 302日分 39万円
11級 一時金 223日分 29万円
12級 一時金 156日分 20万円
13級 一時金 101日分 14万円
14級 一時金 56日分 8万円

このほかに、算定基礎日額(事故前1年間のボーナスなどの特別給与を基にした額)に応じた障害特別年金・障害特別一時金が出ます(パンフレットは「算定基礎日額の同じ日数分」と書いています)。等級の判定は、レントゲン写真などの書類と、必要なら専門医の確認で決まります。どの等級になるかは、労働基準監督署が決めます。

終わりの判断——今日、自分は何をするか

今ケガをしている人:労災指定の病院へ行き、「仕事中(通勤中)のケガ」と言う。健康保険証は出さない。領収書とメモを取る。会社の言葉で止まらない。

会社が拒んでいる人:事業主証明の欄が空欄のまま、労働基準監督署に持っていく。「会社が証明を拒否した」と伝える。パンフレットが「それでも請求できる」と書いています。

もう帰国した人・これから帰る人:時効の前に請求する。立て替えた治療費と休業補償は2年、障害は5年。海外からでも出せます。

よくある質問(FAQ)

Q. 外国人でも労災保険は使えますか?

使えます。国籍を問わず、日本で働く外国人に適用されます。留学生のアルバイト中の事故も対象で、保険料は会社が払います。

Q. 仕事中のケガを健康保険で病院に行ってもいいですか?

いけません。労働災害に健康保険は使えません。労災指定の病院なら無料、指定外なら一度払って後で全額戻ります。

Q. 休んだ分の給料はいくら出ますか?

休んだ4日目から、1日につき給付基礎日額(直前3か月の平均賃金)の80%です。月20万円なら1日約5,217円(厚生労働省のパンフレットの例)。1〜3日目は業務災害なら会社が60%を払います。

Q. 会社が「労災に入っていない」「労災じゃない」と言います。

それでも請求できます。請求するのは本人で、会社の証明が無くても、会社が加入手続きをしていなくても、原則として給付を受けられます。労働基準監督署へ。

Q. 辞めたあと、帰国したあとでも請求できますか?

できます。退職後も、会社が無くなっても、海外からも請求できます。時効は立て替えた治療費・休業補償が2年、障害・遺族が5年。

Q. 通勤中の事故も対象ですか?

対象です。家と職場の往復を合理的な経路で移動中のケガは通勤災害。相手の分からない自転車事故も対象です。

まとめ

労災保険は外国人にも国籍を問わず適用され、留学生のバイトも対象。保険料は会社持ち。仕事と通勤のケガに健康保険は使わない。指定病院なら治療費は無料、休業4日目から1日80%。

請求するのはあなた。会社が拒んでも、入っていなくても、辞めたあとでも、帰国したあとでも請求できる。時効は立て替えた治療費2年・障害5年。事故の日にメモを取り、労働基準監督署へ。

出典(公式):厚生労働省「外国人労働者向け労災保険給付パンフレット」(日本語・英語・中国語・韓国語・ベトナム語・ネパール語など14言語)/同 日本語版 第一編(PDF)/同 日本語版 第二編(PDF)/労働保険の保険料の徴収等に関する法律 第31条(e-Gov)(いずれも2026年9月18日に確認)

この記事を書いた人

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mori

日本人。省庁の告示・通達・Q&Aを原典のまま読み、在日ネパール・スリランカの友人から実際に聞いた困りごとを出発点にしています。確かめていないことは書きません。

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