永住権の取り消し2027|年金・税金の滞納で取り消される条件と、されない条件

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永住が取り消される3つの事由と、それぞれで取り消されない条件を並べた図解 守る力
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最終更新:2026年8月25日

この記事の結論(Summary)

  • 2027年4月から、永住者の在留資格が取り消される制度が始まります。その運用のガイドライン案が2026年8月4日に公示されました。
  • 取消しの対象になるのは税金と保険料(公租公課)の未払い・入管法上の義務違反・特定の犯罪の3つです。公課には国民健康保険と国民年金の保険料が含まれます。
  • 払えないこと自体は、取消しの理由になりません。案には「該当しない例」が4つ列挙されていて、そのひとつが「分納や猶予措置を受けている場合」です。
  • 在留カードを一度うっかり忘れただけで取り消されることもありません。「その一度の義務の不履行だけをもって取り消すことは想定していません」と明記されています。
  • 取消しに至らない場合は「定住者」への職権変更で、要件を満たせば永住を再申請できます。

「在留資格の取消し」とは、いま持っている在留資格を国が取り上げる手続きのことです。2024年の入管法改正で、永住者にだけ適用される取消事由が3つ追加されました。施行は2027年4月。永住権をこれから取る話は別の記事にまとめています。

永住権が取り消されるのは、どんなときですか

追加された取消事由は3つです。どれも永住者だけが対象で、ほかの在留資格の人には適用されません。

取消事由 中身
故意に公租公課の支払をしないこと 税金と保険料。国民健康保険・国民年金の保険料も含みます
入管法上の義務違反 在留カードの携帯・提示、有効期間の更新、偽変造をしないことなど
特定の刑罰法令違反 窃盗・詐欺・恐喝・殺人・傷害・危険運転致死傷など。執行猶予も含みます
永住者の在留資格が取り消される3つの事由と、それぞれで取り消されない条件を示した図解。1つ目は故意に公租公課の支払をしないことで、税金と国民健康保険や国民年金の保険料が対象だが、病気や災害や失業などのやむを得ない事情がある場合や、催告に応じて分納や猶予措置を受けている場合は該当しない。2つ目は入管法上の義務違反で、在留カードの携帯や提示や有効期間の更新が対象だが、一度の不履行だけで取り消すことは想定していないと明記されている。3つ目は特定の刑罰法令違反で、窃盗や詐欺や危険運転致死傷などの故意犯が対象で執行猶予も含まれる。取消しに至らない場合は定住者への職権変更となり、要件を満たせば永住を再申請できる。

払えないと、永住権を取り消されますか

この記事でいちばん伝えたいのがここです。払えないこと自体は、取消しの理由になりません。

ガイドライン案には「該当しないと想定される事例」が4つ、はっきり列挙されています。

取消しに「該当しない」と書かれている4つ

  1. 病気、災害、失業などのやむを得ない事情で払えない場合
    案に例示されているのは、事業不振、感染症の流行や災害による収入変動、DV被害による生活困難職場のハラスメントを原因とする離職です
  2. 催告等に応じて支払う意思を示していて、分納や猶予措置を受けている場合
  3. 生活保護に準じた措置を受けている場合
  4. 給与から天引きされているのに、勤め先が納めていない場合

逆に、該当すると想定される例も書かれています。届出をせずに転居して所在が分からなくなる繰り返しの催告や滞納処分にも納付の意思を明らかにしない分納や猶予の約束の期限に払わないことを繰り返す、脱税で有罪判決を受ける、財産を隠して徴収を妨げる——このあたりです。

並べてみると、境目がはっきりします。分かれ目は金額ではなく、連絡が取れているかどうかです。案にも「支払をしないことが悪質といえる場合に取消事由を限定する」ためだと書かれています。

だから答えは1つです。国民健康保険国民年金も、払えないなら窓口で相談して、分納か猶予にしてください。その記録が残っていることが、永住を守ります。黙って放置することだけが、危ない。

いくら滞納したら取り消されますか

金額の基準はありません。案にはこう書かれています。滞納額や期間、回数も考慮されるが、「必ずしも滞納額等について一律の基準を定めて判断するものではありません」。

かわりに総合考慮される要素が並んでいます。収入や資金・財産の状況、滞納の回数・額・期間、支払の状況、滞納に至った経緯、そのあとの事業や生活の状況、本人の言動。

「◯万円までなら大丈夫」と書いている情報を見かけたら、疑ってください。公式にはそういう線が引かれていません。

公租公課に含まれないものもあります

細かいようで、間違えると不安が増えるところです。公租公課は「広く公共の目的で義務的に徴収される性質のもの」を指します。

  • 含まれる——所得税、住民税、法人税、固定資産税、国民健康保険・健康保険の保険料、国民年金・厚生年金の保険料
  • 含まれない——手数料や利用料、罰金・過料。案では富士山の登下山道の使用料交通違反の罰金・反則金が例に挙がっています

つまり駐車違反の反則金を払っていないことは、この取消事由には当たりません。(別の問題にはなり得ますが、公租公課ではありません。)

在留カードを忘れただけで取り消されますか

取り消されません。ただし「取消事由に該当する」こと自体は、うっかりでも起こります。

案には、義務違反は過失でも取消事由に該当すると書かれています。在留カードの有効期間の更新を失念した場合や、不注意で携帯しなかった場合も、形式的には該当します。

そのうえで、こう続きます。

「その一度の義務の不履行だけをもって在留資格を取り消すことは想定していません」

取消しが相当とされるのは、「今後も義務を履行する意思がないことが明らか」な場合や、違反の態様が社会通念上看過しがたい場合です。案の例は、繰り返し指導されても在留カードを携帯・提示せず、更新もせず、言動からも今後やる気がないと認められる場合。一度の忘れ物とは、距離があります。

もうひとつ、「正当な理由」があれば該当しないとも書かれています。病気や災害その他の事情で義務を果たせなかった場合です。

とはいえ、在留カードの有効期間の更新だけは忘れないでください。更新しないと、そのあとは携帯義務にも継続して違反し続けることになる、と案に明記されています。在留期間の更新とは別の手続きなので、混同しないように。

執行猶予でも取り消されますか

対象になります。案には「刑期の長短を問わず、拘禁刑の執行が猶予された場合も含まれます」と書かれています。

対象の罪は限定されていて、いずれも故意犯です。刑法の窃盗・強盗、詐欺・恐喝、殺人、傷害、住居侵入、通貨偽造、文書偽造、逮捕監禁、略取誘拐、賭博。それに危険運転致死傷など。

過失の交通事故は入っていません。危険運転致死傷は故意犯として別に挙げられていますが、うっかりの事故とは別のものです。

取り消されたら、すぐ帰国ですか

いいえ。ここも誤解が多いところです。取消事由に当たっても、直ちに在留資格を取り消して出国させるのではありません。

案では、「引き続き本邦に在留することが適当でないと認める場合」を除いて、法務大臣が職権で永住者以外の在留資格に変更すると説明されています。これを職権変更といい、ほとんどの場合は「定住者」への変更を想定していると書かれています。

取消事由に該当したあとの判断の流れを示した図解。取消事由に該当すると、まず経緯とその後の在留状況が見られる。原則は職権変更で、ほとんどの場合は定住者の在留資格へ変更され、その後に要件を満たせば永住を再申請できる。例外として取消しになるのは、引き続き本邦に在留することが適当でないと認められる場合だけ。通報は義務ではなく、入管法は通報することができると定めている。

そして大事なのがこの一文です。「職権変更後に永住許可の要件を満たせば、再度永住許可を受けることも可能です」。

永住を失うことは、日本を失うことと同じではありません。定住者として在留を続け、要件を整えて出し直せます。

誰かに通報されますか

制度上、国や自治体の職員が入管に通報する仕組みがあります。ただし通報は義務ではありません。入管法は「通報することができる」と定めていて、しなければならないとは書いていません。

通報が想定されているのは、徴収の手続のなかで、度重なる催告や差押えを行っても支払う意思が明らかでない——そういう場合です。窓口で相談して分納している人が通報される、という書き方はされていません。

あわせて、国会の附帯決議も案に引用されています。「既に我が国に定住している永住者の利益を不当に侵害することのないよう」「特に慎重な運用に努めること」。

この記事は2026年8月4日に公示されたガイドライン案にもとづいています。意見募集は2026年9月4日までで、確定した内容ではありません。数字や条件が変わる可能性があります。2026年8月25日に案の本文を確認しました。出典(公式):e-Gov「永住者の在留資格の取消しに関するガイドライン案に係る意見募集について」(案件番号315000141)

よくある質問(FAQ)

Q. 永住権はいつから取り消されるようになりますか?

2027年4月に施行されます。運用のガイドライン案が2026年8月4日に公示され、意見募集は2026年9月4日までです。まだ確定した内容ではありません。

Q. 年金を払っていないと永住権を取り消されますか?

払っていないだけでは取り消されません。取消事由は「故意に」支払わないことで、支払う意思がないことが明白と認められる場合に限られます。案には該当しない例として「病気、災害、失業などのやむを得ない事情」と「催告に応じて支払う意思を示し、分納や猶予措置を受けている場合」が明記されています。

Q. いくら滞納したら取り消されますか?

金額の基準はありません。案には「必ずしも滞納額等について一律の基準を定めて判断するものではありません」と書かれています。滞納額のほか、収入や財産の状況、滞納に至った経緯、その後の生活状況、本人の言動などを総合して判断されます。

Q. 在留カードを忘れただけで取り消されますか?

取り消されません。案には「その一度の義務の不履行だけをもって在留資格を取り消すことは想定していません」と明記されています。ただし繰り返し指導されても改めない場合は取消しが相当とされます。

Q. 執行猶予がついても対象になりますか?

なります。案には「刑期の長短を問わず、拘禁刑の執行が猶予された場合も含まれます」と書かれています。対象の罪は窃盗、詐欺、恐喝、殺人、傷害、危険運転致死傷などに限定され、いずれも故意犯です。

Q. 取り消されたら日本を出ないといけませんか?

そうとは限りません。引き続き在留することが適当でないと認められる場合を除き、法務大臣が職権で他の在留資格に変更します。ほとんどの場合「定住者」への変更が想定されていて、その後に要件を満たせば永住を再申請できます。

Q. 交通違反の罰金も対象ですか?

対象外です。公租公課は公共の目的で義務的に徴収されるもので、罰金・過料や手数料・利用料は含まれません。案では交通違反の罰金・反則金と富士山の登下山道の使用料が、含まれない例として挙げられています。

まとめ

  • 2027年4月施行。対象は永住者だけ。ガイドラインはまだ(意見募集は2026年9月4日まで)
  • 取消事由は公租公課の未払い・入管法上の義務違反・特定の犯罪の3つ
  • 公課に国民健康保険と国民年金の保険料が含まれる
  • 払えないこと自体は理由にならない。分納や猶予を受けていれば該当しないと明記
  • 金額の基準は無い。分かれ目は「連絡が取れているか」
  • 在留カードを一度忘れただけでは取り消されない(ただし更新の失念は続く違反になる)
  • 取消しでなく「定住者」への職権変更が原則。要件を満たせば永住を再申請できる

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