この記事は2026年9月23日に、総務省消防庁の救急車利用マニュアル・三者間同時通訳・#7119・Q助のページ、厚生労働省の#8000と選定療養費の資料、東京消防庁・茨城県・松阪市などの公式ページで確かめて書いています。
先に結論
- 救急車は119番。「火事ですか、救急ですか」と聞かれたら「救急です」。そのあと住所・症状・年齢・名前と電話番号の順に聞かれます。
- 日本語が話せなくても通報できます。全国720の消防本部のうち673(93.5%)が電話通訳を入れていて、どこも英語・中国語・韓国語に対応しています。
- 救急車そのものは無料です。国籍や在留資格は関係ありません。ただし病院の治療費は別で、茨城県などでは緊急性がないと判断されると7,700円などの追加料金がかかります。
- 住所が分からなければ、近くの建物・交差点・電柱や自動販売機の住所表示を読み上げます。
- 呼ぶか迷ったら、大人は#7119、子どもは#8000。ただし#7119は全国41地域だけです。
これが分かると、誰かが倒れた夜に、お金と言葉の心配で119番をためらわずに済みます。呼ぶほどか迷うときに電話する番号も、今のうちにスマホに入れておけます。
夜中、同じ部屋の友達が胸を押さえてうずくまっている。119番だとは知っている。でも電話の向こうで何を聞かれるのか分からない。日本語が早口で返ってきたらどうしよう。救急車はお金がかかるのか。あわてて日本人の友達にLINEをしても、「119だよ」としか返ってこない。日本人は、119番に通訳が入ることも、住所が言えないときにどこを見ればいいかも、考えたことがないからです。
外国人が救急車を呼ぶには?——119番で「救急です」と言う
119番とは、火事と救急のときに消防につながる電話番号です。携帯電話・家の電話・公衆電話のどれからでもかけられます。つながると、最初に「火事ですか、救急ですか」と聞かれます。救急車がほしいときの答えは「救急です」です。
そのあとは、指令員(電話を受ける消防の職員)が順番に聞いてきます。総務省消防庁の救急車利用マニュアルに書かれている順番は、次の5つです。

- 救急であること——「救急です」
- 救急車に来てほしい住所——必ず市区町村の名前から
- 具合の悪い人の様子——誰が、どのようにして、どうなったか。意識と呼吸があるか
- その人の年齢——分からなければ「60代」のように、おおよそでよい
- あなたの名前と、電話を切ったあともつながる電話番号
緊急性が高いと判断されれば、5つを聞き終わる前に救急車は出発します。電話は、救急隊が着くまで電源を切らないでください。場所が分からないとき、救急隊から電話がかかってくるからです(東京消防庁)。
消防庁のリーフレットの図には、急ぐ通報では救急車と一緒に消防車(ポンプ車)が出る「PA連携」も載っています。消防車が来ても、火事と間違われたわけではありません。
日本語が話せなくても119番できる?——673の消防本部で通訳が入る
できます。消防本部の多くは、119番に外国語の電話が来ると、電話通訳センターをつないで三人で話す「三者間同時通訳」を使っています。24時間365日、主要な言語で対応する仕組みです(総務省消防庁)。
2025年1月1日の時点で、全国720の消防本部のうち673が導入しています。導入した本部はすべて英語・中国語・韓国語に対応していて、ほかの言語は本部ごとに選んでいます。2024年には、救急の通報でこの通訳が3,427回使われました。
東京消防庁は、119番を受けるセンターに英語の担当者をいつも置いています。そのうえで英語・中国語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語は通訳センターを介した同時通訳を使い、ほかの言語も通訳業者ができる限り対応するとしています。
つながったら、最初に話せる言語の名前をはっきり言ってください。「English」「Chinese」「ネパール語」。それだけで、指令員は通訳につなぐ手がかりを得ます。まわりに日本語を話せる人がいれば、代わりに電話してもらうのも一つの手です。消防庁の外国人向けガイドもそう勧めています。
救急車が着いたあとも言葉の助けがあります。全国720本部のうち691が、救急隊用の翻訳アプリ「救急ボイストラ」を入れています。英語・中国語・韓国語のほか、ネパール語・ベトナム語・インドネシア語・ミャンマー語など15の言語で、救急隊員と話せます。
救急車を呼ぶとき住所がわからない——電柱と自動販売機を見る
家からかけるなら、住所は在留カードに書いてあります。在留カードの記載事項には「住居地」が入っているからです(出入国在留管理庁)。今日のうちに、自分の住所を日本語でスマホのメモに入れておいてください。読み上げるだけで済みます。
外で倒れた人を見つけたときは、住所が分からなくて当たり前です。東京消防庁は、次のものを探して伝えるよう案内しています。
- 近くの大きな建物や店の名前(「◯◯区の◇◇ビルの前です」「△△郵便局の近くです」)
- 道路の名前と交差点の名前
- 駅の名前とホームの番号、バス停の名前
- 電柱に付いている住所の表示、自動販売機に貼ってある住所のステッカー
- 近くのコンビニなど、開いている店で住所を聞く
携帯電話やIP電話からの119番には、発信した場所を消防に知らせる仕組みがあります(2007年1月26日から運用)。それでも東京消防庁は、携帯からの通報は場所の特定に時間がかかることがあると書いています。仕組みに任せず、目印を言ってください。
住所は、市区町村の名前から言います。東京都内だけでも、板橋区と八王子市の両方に「富士見町」があるように、同じ町の名前が別の市にあるからです。119番がつながりにくいときは、自分から切らずに待ちます。一度切ると、順番が最後に回ることがあります(東京消防庁)。
救急車は無料?——救急車は無料、病院の治療費は別
救急車を呼んで運んでもらうのに、お金はかかりません。尾張旭市の消防署は、救急業務は消防法で市町村が行うものとされ、料金を取る規定がないので無料が前提だ、と説明しています。そのうえで「国籍や在留資格に関係なく、無料で救急車を利用できる」と書いています。費用は税金でまかなわれています。
無料なのは救急車までです。運ばれた病院での診察や検査のお金は、ふつうに受診したときと同じく自分で払います。消防庁の外国人向けガイドも、用意するものに「病院で払うための現金かクレジットカード」を挙げています。
| 何に | いくら |
|---|---|
| 119番と救急車での搬送 | 無料 |
| 病院での診察・検査・薬 | 保険証があれば自己負担(多くの人は3割) |
| 保険証が無いとき | いったん全額 |
| 緊急性がないと判断されたときの追加料金(茨城県の23病院・三重県松阪地区の3病院) | 2,200円〜13,200円(多くは7,700円) |
| 民間の救急車(転院や入退院の移動) | 有料(東京消防庁) |
保険証の3割負担と、保険証が無い日の払い戻しは、国民健康保険の記事にあります。仕事中や通勤中のけがなら、健康保険ではなく労災保険で、治療費は労災指定の病院なら無料です。
救急車を呼ぶか迷ったら?——大人は#7119、子どもは#8000

意識がない、息が苦しい、胸の真ん中が締め付けられる痛みが2〜3分続く、大量に血が出ている、けいれんが止まらない。消防庁は、こうした症状ではためらわず119番するよう求めています。迷うのは、その手前のときです。
救急安心センター事業(#7119)とは、急な病気やけがで「救急車を呼ぶべきか」「今すぐ病院に行くべきか」迷ったときに、医師・看護師・救急救命士に電話で相談できる窓口です。受診できる病院も教えてくれます。緊急性が高いと判断されれば、そのまま119番につないでくれます。
ただし、全国どこでも使えるわけではありません。2026年9月の消防庁の一覧で実施しているのは41地域です。
- 都道府県の全域:青森・岩手・宮城・山形・福島・茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・新潟・富山・石川・福井・山梨・長野・岐阜・静岡・滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・鳥取・岡山・山口(一部を除く)・徳島・香川・愛媛・高知・福岡・長崎・熊本・大分・沖縄(一部を除く)
- 一部の市町だけ:札幌市とその周辺、名古屋市、和歌山県の田辺市とその周辺、広島県(大崎上島町を除く)と山口県岩国市・和木町
秋田・三重・島根・佐賀・宮崎・鹿児島などには、一覧に#7119がありません。一覧に無い地域でも、別の番号で救急の電話相談をしているところはあると消防庁は書いています。住んでいる県のページで一度確かめてください。
時間にも差があります。東京・大阪・福岡などは24時間ですが、山形と香川は夜だけです。そして多くの地域は「おおむね15歳以上」が対象で、15歳未満は#8000に回ります。
#8000は、子どもの急な病気を電話で相談できる「子ども医療電話相談事業」です。厚生労働省の事業で、窓口は都道府県が開いています。47都道府県すべてにあり、主に夜間と休日に受けています。どの都道府県も深夜0時以降も対応していますが、始まる時間は県ごとに違います。
電話する前に自分で見当をつけたいなら、消防庁の無料アプリ「Q助」があります。症状を画面で選んでいくと、「今すぐ救急車を呼びましょう」「できるだけ早めに医療機関を受診しましょう」などが表示され、そのまま病院やタクシーを探せます。消防庁のページに対応言語の記載は無いので、日本語が読めないときは電話のほうが確実です。
救急車を呼んだら何を用意する?——保険証・お金・薬・靴
救急車を待つあいだに、消防庁のマニュアルはこれを用意するよう勧めています。
- マイナ保険証、または資格確認書
- 病院の診察券(あれば)
- お金(外国人向けガイドは現金かクレジットカード)
- 靴
- いつも飲んでいる薬か、お薬手帳
- 赤ちゃんなら母子健康手帳・紙おむつ・ほ乳瓶・タオル
日本語で持病や薬を説明するのが難しい人ほど、マイナ保険証が役に立ちます。2025年10月1日から全国で始まった「マイナ救急」では、救急隊がマイナ保険証を読み取り、あなたが過去にかかった病院や処方された薬を確認します。意識が無くても、カードなら読み取れます。スマホに入れたマイナ保険証は本人の操作が要るので、意識が無いときは使えません。カードを持ち歩いてください。
人手があれば、一人が外に出て救急車を案内すると、到着が早くなります(消防庁)。
軽い症状で救急車を呼んだら?——病院で追加料金を取る地域がある
救急車で運ばれた人のおよそ半数は、入院の必要がない軽症です(消防庁)。東京消防庁の管内では、2024年に救急車が935,373回出て、運ばれた人の52.8%が軽症でした。軽い症状で呼ぶ人が増えるほど、本当に急ぐ人のところへ救急車が着くのが遅れます。
そのため、救急車で来ても、緊急性が無ければ病院が追加料金(選定療養費)を取る地域が出てきました。
- 茨城県:2024年12月2日から、県内23の大きな病院で。救急車を呼んだ時点で緊急性が認められない場合に、病院ごとに2,200円〜13,200円(多くは7,700円)
- 三重県松阪地区:2024年6月1日から、3つの病院で。入院に至らなかった軽症の人に7,700円。始めてから1年で、運ばれた人の9.9%が払いました
選定療養費は、もともと紹介状なしで大きな病院に行ったときの追加料金です。2022年10月からは、初診で医科7,000円が国の基準です。ただし厚生労働省の資料は、「緊急その他やむを得ない事情がある場合」には取ってはならない、としています。茨城県も、熱中症や子どもの熱性けいれんのように、呼んだ時点で緊急性があれば、着いてから軽症と分かっても対象にならないと書いています。本当に危ないときに、この料金を理由にためらう必要はありません。
いたずらや、うその通報は別の話です。正当な理由なく、うその救急の通報をすると、消防法で30万円以下の罰金か拘留になります(消防法第44条)。東京消防庁は、急がない通報は最後まで聞かずに切ることがあるとしています。
治療費が払えない・保険証がないときは?
救急車は無料でも、病院の支払いが心配で呼べない、という人がいます。命に関わるときは、まず呼んでください。支払いは、そのあとで相談できます。
保険証を持たずに運ばれた日は、窓口でいったん全額を払うことがあります。あとで保険証と領収書を出せば、自己負担分を除いて戻ります。払えない額なら、病院の窓口でその場で相談してください。生活に困っている人が無料か低い額で診てもらえる「無料低額診療事業」もあり、国籍や在留資格は問われません。この制度と、通訳が使える病院の探し方は、病院にかかる方法の記事にまとめています。
まだ国民健康保険に入っていないなら、それがいちばん先の手当てです。救急車は呼べても、保険が無いと病院の支払いが全額になります。
終わりの判断——自分はどれか
- 今、目の前の人が危ない——119番で「救急です」。言葉が出なければ言語の名前を言う。住所は市区町村から、分からなければ電柱か自動販売機の表示を読む。
- 呼ぶほどか迷っている大人——住んでいる地域に#7119があるか消防庁の一覧で確かめ、無ければ県の救急電話相談の番号を今日スマホに登録する。
- 子どもがいる——#8000と、住んでいる県の受付時間を今日スマホに登録する。
- まだ何も起きていない——自分の住所を日本語でメモし、マイナ保険証(カード)を財布に入れ、保険に入っているかを今日確かめる。
よくある質問(FAQ)
Q. 外国人が救急車を呼ぶと、お金はかかりますか?
救急車の利用は無料で、国籍や在留資格は関係ありません。ただし病院での治療費は別に払います。茨城県や三重県松阪地区などでは、緊急性がないと判断されると病院で7,700円などの追加料金がかかります。
Q. 日本語が話せなくても119番できますか?
できます。全国720の消防本部のうち673が電話通訳センターを使った三者間同時通訳を導入していて、すべて英語・中国語・韓国語に対応しています。最初に話せる言語の名前を言ってください。
Q. 119番では何を聞かれますか?
「火事ですか、救急ですか」のあと、住所、具合の悪い人の様子、年齢、あなたの名前と電話番号を順番に聞かれます。急ぐときは、全部を聞く前に救急車が出ます。
Q. 住所が分からないときはどうしますか?
近くの大きな建物や店の名前、交差点の名前、駅やバス停の名前を伝えます。電柱の住所表示や、自動販売機に貼られた住所のステッカーも使えます。
Q. 救急車を呼ぶか迷ったら、どこに電話しますか?
大人は#7119、子どもは#8000です。#7119は全国41地域で実施していて、使えない地域もあります。#8000は47都道府県すべてにあり、主に夜間と休日に対応しています。
Q. 救急車を呼んだら何を用意しますか?
マイナ保険証か資格確認書、お金、靴、いつも飲んでいる薬かお薬手帳です。マイナ救急では、救急隊がマイナ保険証から受診歴や薬の情報を確認できます。
まとめ
救急車は119番で、最初の一言は「救急です」。日本語が出なくても、ほとんどの消防本部で通訳が入ります。救急車そのものは国籍に関係なく無料で、お金がかかるのは病院の治療費です。
住所は市区町村から、分からなければ電柱と自動販売機を見る。迷うときは大人は#7119、子どもは#8000。ただし#7119の無い地域があるので、住んでいる県の番号を元気なうちにスマホに入れておいてください。
出典(公式):総務省消防庁「救急車利用マニュアル」/同「訪日外国人のための救急車利用ガイド」(16言語)/同「電話通訳センターを介した三者間同時通訳」/同「救急安心センター事業(#7119)」/同「全国版救急受診アプリ(Q助)」/同「マイナ救急」/厚生労働省「子ども医療電話相談事業(#8000)」/東京消防庁「119番通報の仕組み」/尾張旭市消防署「救急車を呼ぶとお金は必要ですか?」/茨城県「救急搬送における選定療養費の徴収について」/松阪市「三基幹病院における選定療養費について」。2026年9月23日に確認したものです。
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