この記事は2026年9月23日に、厚生労働省の「外国人患者を受け入れる医療機関」のリスト・「外国人向け多言語説明資料」・通訳料に関する通知・令和7年度の実態調査、日本政府観光局(JNTO)の医療機関検索、東京都・大阪府・神奈川県・京都市の公式ページで確かめて書いています。
先に結論
- 医療通訳とは、診察や説明を、医師と患者のあいだに入って訳す人やサービスのことです。申し込むのは病院です。あなたは電話や受付で「◯◯語の通訳は使えますか」と聞くだけで足ります。
- 外国語対応の病院は、日本政府観光局(JNTO)の医療機関検索で探せます。地域・言語・診療科で絞れて、都道府県が選んだ「外国人患者を受け入れる拠点的な医療機関」には印が付きます。行く前に電話を、とJNTO自身が書いています。
- 通訳料は保険の外です。病院が取るなら、料金の掲示・説明・署名した同意・別の領収書が要ります。実際に取っていたのは、回答した5,745病院のうち70病院でした。
- 通訳がいない病院でも、厚生労働省の13言語の問診票が使えます。全部に日本語が並んで書いてあるので、印刷して書いて渡せば、病院の人が読めます。
- 持ち物はマイナ保険証(または資格確認書)と在留カード。息ができない・意識がないときは、探さずに119番です。
これが分かると、具合が悪くなる前の日に、電話一本で「自分の言葉が通じる病院」を決めておけます。通訳料を急に請求されて驚くことも、診察室で何も伝えられずに帰ることもなくなります。
子どもが三日も熱を下げない。近くの小児科に電話したら、早口の日本語で何か聞き返されて、そのまま切ってしまった。日本人の友達に「英語が通じる病院ってどこ?」と聞いても、「大きい病院なら誰かしゃべれるんじゃない?」で終わります。日本人は、病院で言葉に困ったことがないからです。通訳を誰が呼ぶのか、お金は誰が払うのか。その仕組みは、日本人の暮らしには出てきません。
- 病院で日本語が通じないとき、外国人は通訳を頼める?——頼む相手は病院
- 外国語対応の病院の探し方は?——JNTOの検索と、厚労省のリスト
- 電話では何を聞く?——通訳・予約・通訳料の3つ
- 医療通訳の費用は誰が払う?——通訳料は保険の外、取るなら書面の同意
- 通訳料はいくらかかる?——決まった相場は無い、数え方の例
- 通訳がいない病院ではどうする?——13言語の問診票と翻訳アプリ
- 家族や友達に通訳してもらってもいい?——大事な説明はプロに
- 病院に持って行くものは?——マイナ保険証(または資格確認書)と在留カード
- 通訳料を説明なしに請求されたら?——領収書を見て、会計で聞く
- 急ぐときは?——探さずに119番
- 終わりの判断——自分はどれか
- よくある質問(FAQ)
- まとめ
- あわせて読みたい
病院で日本語が通じないとき、外国人は通訳を頼める?——頼む相手は病院
頼めます。ただし、頼む相手は通訳会社ではなく病院です。
日本の医療通訳は、病院の側がつなぐ仕組みになっています。東京都が都内の病院向けに出している救急の電話通訳は、はっきり「患者から依頼することはできません」と書いています。大阪府の24時間の電話通訳も、厚生労働省の希少言語の通訳も、登録した病院が使うサービスです。あなたの仕事は、その病院を選ぶことと、「通訳を使えますか」と聞くことです。
通訳の手段がどれくらいあるかは、国の調査で分かっています。令和7年度の厚生労働省の実態調査では、全国330の二次医療圏(入院を含むふつうの医療を整える単位として決められた地域)のうち、243の地域に電話で医療通訳を使える病院がありました。医療通訳者を置いている病院がある地域は158です。翻訳用のタブレットまで含めると、322の地域に何かしらの手段がありました。
医療通訳者がいる病院のある地域は、半分に届きません。一方で、電話や端末でつなげる病院は、ほとんどの地域にあります。だから先に探して、先に聞くことが効きます。
外国語対応の病院の探し方は?——JNTOの検索と、厚労省のリスト

最初に開くのは、日本政府観光局(JNTO)の「具合が悪くなったときに役立つガイド」です。旅行者向けのページですが、登録なしで誰でも使えます。ページ自体は日本語・英語・韓国語・中国語(簡体字・繁体字)で読めます。
- 都道府県を選ぶ(「現在地から検索」もあります)
- 言語を選ぶ。英語・中国語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語のほかは「その他」です
- 診療科を選ぶ。熱や咳なら内科、子どもなら小児科です
- 結果の対応言語を見る。言語は記号で書かれていて、NEはネパール語、VIはベトナム語、SIはシンハラ語です
結果には、都道府県が選んだ「拠点的な医療機関」の印が付きます。カテゴリー1は、入院が必要な救急の外国人患者を受けられる病院で、都道府県に1つ以上あります。カテゴリー2は、外国人患者を受けられる病院で、診療所や歯医者も入ります。こちらは地域(二次医療圏)ごとに1つ以上です。
元になっているのは、厚生労働省と観光庁の「外国人患者を受け入れる医療機関」のリストです。いちばん新しいのは厚生労働省のページのExcelで、2026年6月30日に公開され、8月6日に一部が変わりました。JNTOの検索はあとから更新されるので、見つからないときはExcelの自分の県のシートも見てください。医療通訳者や遠隔通訳の有無の列もあります。
注意が2つあります。JNTOは「診察を希望するときは、できる限り事前に医療機関へ連絡を」と書いています。状況によっては対応できないこともあるからです。そして、リストに載っていない病院が外国人を診てはいけないわけではありません。近所のクリニックに電話して聞くのも、正しい探し方です。
どこに電話すればいいか分からないときは、都道府県の窓口に相談できます。厚生労働省が、都道府県ごとの外国人向け相談窓口と対応言語を一覧にしています。東京都なら「外国人患者向け医療情報サービス」03-5285-8181が、英語・中国語・韓国語・タイ語・スペイン語で、毎日9時から20時まで病院を案内しています(無料・通話料はかかります)。ほかの困りごとも含めた窓口は、言語別の相談窓口の早見表にあります。
電話では何を聞く?——通訳・予約・通訳料の3つ
予約の電話や受付で聞くことは、3つです。
- 「◯◯語の通訳は使えますか」(ネパール語、ベトナム語のように言語の名前を言う)
- 「通訳を使うなら、予約は何日前までですか」
- 「通訳料はかかりますか」
日本語で言うのが難しければ、この3行をスマホに入れて見せてください。予約が要る例もあります。京都市の医療通訳派遣は、予約が必要な言語について「受診予定の5日前までに各病院に申し出る」としています。熱が出てから探すと、この日数が間に合いません。
病院に着いたら、受付でもう一度「通訳をお願いします」と言います。東京都や大阪府の電話通訳は、使う前に患者の同意を取る決まりです。「通訳を使っていいですか」と聞かれたら、うなずけば大丈夫です。
医療通訳の費用は誰が払う?——通訳料は保険の外、取るなら書面の同意
ここがいちばん誤解されやすいところです。病院向けの通訳サービスの料金は、まず病院に請求されます。そのうえで、病院があなたに通訳料を求めるなら、決まった手順を踏まなければなりません。
厚生労働省の通知は、「日本語を理解できない患者に対する通訳料」を、保険の診察とは直接関係ないサービスとしています。病院がこれを患者から取るなら、次のすべてが要ります。
- 受付や待合室など見やすい場所に、内容と料金を掲示しておく
- 内容と料金を分かりやすく説明する
- 内容と料金を書いた紙に、患者側が署名して同意する
- ほかの費用と区別した、中身の分かる領収書を出す
金額は「社会的にみて妥当適切なもの」とされ、「雑費」のようなあいまいな名目は認められません。自国の保険会社に出す診断書の翻訳料も、同じく保険の外の費用です。
実際に取っている病院は少数です。令和7年度の実態調査では、回答した5,745病院のうち、保険の診察の外国人患者に追加の費用を請求していたのは537病院でした。その中で通訳料を挙げたのは70病院です。
通訳の種類ごとの例は、次のとおりです。

通訳料はいくらかかる?——決まった相場は無い、数え方の例
医療通訳の料金に、全国共通の額はありません。公式に数字が出ているのは、自治体や国の仕組みの料金です。どれも、まず病院に向けた料金です。
- 神奈川県の医療通訳派遣:1件2時間あたり3,000円(税別)。県の案内は「費用の一部を患者さんにご負担いただく病院もあり」、受診方法は病院ごとに違う、としています
- 京都市の医療通訳派遣:利用料は無料(英語・中国語・韓国朝鮮語、3つの協定病院)
- 東京都の救急の電話通訳:病院の利用料は無料(通信料は病院)
- 厚生労働省の希少言語の遠隔通訳:最初の10分間が1,500円、そのあと5分ごとに500円(ウクライナ語は無料)
最後の料金は、時間で数えます。たとえば通訳を20分使うと、最初の10分で1,500円、残り10分は5分が2回で1,000円、合わせて2,500円です。30分なら3,500円になります。これを病院があなたに求めるかどうかは病院ごとで、求めるなら署名の同意が先に要ります。
だから電話の段階で「通訳料はかかりますか」と聞いておくことに意味があります。金額を聞いてから、通訳を使うか、翻訳アプリで足りるかを自分で決められます。
通訳がいない病院ではどうする?——13言語の問診票と翻訳アプリ
通訳が使えない病院でも、打つ手はあります。1つ目は、厚生労働省の「外国人向け多言語説明資料」です。
病院向けに作られた資料ですが、ページは誰でも開けます。言語は英語・中国語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語・ウクライナ語・ヒンディー語・インドネシア語・ネパール語・タガログ語・タイ語・ベトナム語・アラビア語の13です。資料は全部で53あり、問診票は内科・小児科・皮膚科・産婦人科・歯科など16の診療科ごとに分かれています。
使い方は簡単です。行く診療科の問診票を自分の言語で印刷して、家で書いて持って行きます。すべての文書に日本語が並んで書いてあるので、病院の人は日本語の側を読めます。症状は選択肢に印を付ける形が多く、痛みの強さを1〜10の数字で選ぶ欄もあります。ただ、どの書式を使うかは病院が決めるので、受付で「これに書いてきました」と見せてください。
2つ目は翻訳アプリです。情報通信研究機構(NICT)の「ボイストラ」は、ネパール語・シンハラ語・ベトナム語・ミャンマー語を含む33言語に対応していて、無料です(通信料はかかります)。訳した文をもう一度あなたの言語に訳し戻す「逆翻訳」が出るので、意味がずれていないかを確かめられます。
ただし、ボイストラは旅行者が試しに使うことを想定した研究用のアプリです。厚生労働省の医療機関向けマニュアルも、いちばん望ましいのは訓練を受けた医療通訳者による対面の通訳だとしています。受付や簡単な症状はアプリで足ります。手術や薬の飲み方の説明は、通訳を頼んでください。薬局では、症状を伝える日本語の一覧もそのまま見せられます。
家族や友達に通訳してもらってもいい?——大事な説明はプロに
付き添いを頼むこと自体は、止められていません。受付や道案内には、日本語ができる友達がいると心強いです。
ただ、厚生労働省のマニュアルは、家族・友人・職員による通訳には様々な問題点があると書いています。海外では、家族や友人の通訳が原因の医療過誤事件も起きています。医学の言葉を正確に訳せないこともあります。家族には言いにくい症状を、患者が隠してしまうこともあります。病院が「この内容は家族に訳させるのは適当でない」と判断すれば、別の通訳手段を用意するよう努める、ともマニュアルにあります。
特に、子どもに親の通訳をさせるのは避けたい場面です。神奈川県は、家族の通訳を担っている子ども(ヤングケアラー)の負担を減らすため、医療機関にも通訳者を派遣する事業を行っていて、費用はかかりません。依頼できるのは児童相談の窓口や学校などの機関なので、そこに相談するのが入口です。
病院に持って行くものは?——マイナ保険証(または資格確認書)と在留カード
- マイナ保険証、または資格確認書。昔の紙やカードの保険証は、2025年12月1日で期限が切れています
- 在留カード
- 自分の言語で書いた問診票(あれば)
- お薬手帳か、いま飲んでいる薬そのもの
- お金(JNTOの案内では、クリニックは現金払いが一般的です)
自分がマイナ保険証なのか資格確認書なのかは、マイナ保険証と資格確認書の記事で確かめられます。保険証を忘れた日は、いったん全額を払います。あとで領収書を出せば、多くの人は7割分が戻ります。
在留カードを求められることもあります。実態調査では、在留外国人に保険証とは別の本人確認をしている病院が31.4%あり、そのうち81.6%が在留カードを見せてもらっていました。一方で厚生労働省のマニュアルは、国籍で本人確認をするかどうかを決めないこと、書類を出せなかったことだけで保険の診察を断らないことも求めています。
通訳料を説明なしに請求されたら?——領収書を見て、会計で聞く
まず領収書を見ます。通訳料は、ほかの費用と区別して書かれているはずです。署名した覚えがないのに通訳料が入っていたら、会計で「通訳料の同意書はどれですか」と聞いてください。通知は、同意書への署名で同意を確かめるとしています。
病院と話がつかないときは、医療安全支援センターに相談できます。医療法に基づいて、都道府県や保健所のある市、東京の特別区が置いている、医療の苦情と相談の窓口です。
通訳料の話がこじれても、治療を途中でやめないでください。言葉が通じないまま帰ると、薬の飲み方も次に来る日も分からなくなります。費用のことは、治療のあとでも話し合えます。
急ぐときは?——探さずに119番
息ができない、意識がない、ひどい出血がある。そういうときは、この記事の手順を飛ばしてください。119番です。救急車は無料で、全国720の消防本部のうち673が電話通訳をつないでいます。どこも英語・中国語・韓国語に対応しています。つながったら最初に、話せる言語の名前を言ってください。何を聞かれるか、住所が分からないときの伝え方は、救急車の呼び方の記事にあります。
病院に運ばれたあとの通訳も、病院の側がつなぎます。受け入れ先の病院は自分では選べません。JNTOは、問診なしで治療に入ることもあるので、自分の医療の情報をシートに書いておくよう勧めています。持病やアレルギー、飲んでいる薬を自分の言語と日本語で書いたメモを、ふだんから財布に入れておいてください。
終わりの判断——自分はどれか
- いまは元気で、これから通院の予定がある——今日、JNTOの検索で近くの病院を2つ控え、電話で「◯◯語の通訳は使えますか」と聞く。
- 今日、具合が悪いが歩ける——近くのクリニックに電話で通訳の有無を聞く。無ければ、厚労省の問診票を自分の言語で印刷して書き、翻訳アプリを入れてから行く。
- 手術・入院・検査の説明を受ける予定がある——家族に訳してもらうのをやめ、病院に「医療通訳をお願いします」と伝える。通訳料がかかるかと、同意書の有無を今日のうちに聞く。
- 息ができない・意識がない・止まらない出血——探さずに今すぐ119番し、最初に話せる言語の名前を言う。
よくある質問(FAQ)
Q. 外国人が病院で通訳を頼むには、どうすればいいですか?
病院に「◯◯語の通訳は使えますか」と聞きます。医療通訳は病院の側が申し込む仕組みで、東京都の救急の電話通訳のように、患者からは依頼できないものもあります。予約が要る病院もあるので、受診の前に電話で聞いてください。
Q. 医療通訳の費用は誰が払いますか?
病院向けの通訳サービスの料金は、まず病院に請求されます。通訳料は保険の外の費用で、病院が患者から取るには、料金の掲示・説明・署名による同意・別の領収書が必要です。令和7年度の厚生労働省の調査では、回答した5,745病院のうち、保険の診察で通訳料を取っていたのは70病院でした。
Q. 外国語対応の病院はどうやって探しますか?
日本政府観光局(JNTO)の医療機関検索で、地域・言語・診療科を選んで探せます。元になっているのは厚生労働省と観光庁のリストで、最新版は厚生労働省のExcelです。行く前に、できるだけ病院へ連絡してください。
Q. 通訳がいない病院では、どうすればいいですか?
厚生労働省の「外国人向け多言語説明資料」の問診票を、自分の言語で印刷して書いて持って行きます。13言語・16の診療科があり、すべてに日本語が並んで書いてあります。受付では翻訳アプリも使えます。
Q. 家族や友達に通訳してもらってもいいですか?
受付や道案内なら助けになりますが、手術や治療の説明は医療通訳を頼んでください。厚生労働省の医療機関向けマニュアルは、家族・友人による通訳にはリスクがあるとしています。
Q. 病院には何を持って行けばいいですか?
マイナ保険証(または資格確認書)と在留カードです。あれば自分の言語で書いた問診票と、お薬手帳か飲んでいる薬も持って行きます。昔の保険証は2025年12月1日で使えなくなっています。
まとめ
病院で日本語が通じないとき、通訳は頼めます。ただし申し込むのは病院で、あなたがするのは病院を選んで「通訳を使えますか」と聞くことです。探すならJNTOの検索と厚生労働省のリスト、迷ったら都道府県の窓口です。電話は具合が悪くなる前にかけておくのが、いちばん効きます。
通訳料は保険の外で、病院が取るなら署名した同意が先に要ります。通訳がいない病院では、13言語の問診票と翻訳アプリで補えます。手術や入院の大事な説明だけは、家族ではなく医療通訳に。息ができないような急ぎのときは、何も探さずに119番です。
出典(公式):厚生労働省「外国人患者を受け入れる医療機関の情報を取りまとめたリスト」/日本政府観光局「具合が悪くなったときに役立つガイド」/厚生労働省「外国人向け多言語説明資料 一覧」/同「療養の給付と直接関係ないサービス等の取扱いについて」/同「令和7年度 医療機関における外国人患者の受入に係る実態調査」/同「希少言語に対応した遠隔通訳サービス」/同「地域別の相談窓口」/東京都「外国人患者向け医療情報サービス」/大阪府「24時間多言語遠隔医療通訳サービス」/神奈川県「多言語による情報提供」/京都市「医療通訳派遣事業」/情報通信研究機構「VoiceTra」。2026年9月23日に確認したものです。通訳の有無と料金は病院ごとに違うので、受診の前に病院へ確かめてください。
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