最終更新:2026年8月24日
この記事の結論(Summary)
- 20歳以上で住民登録があれば、留学生も国民年金に入る義務があります。保険料は月17,920円(2026年度)。
- 払えないなら、学生納付特例を申請してください。在学中の納付が猶予されます。読者の多くが「免除」と呼ぶ制度です。
- 未納と猶予は、まったく別のものです。未納は督促と差し押さえの対象で、ビザの更新にも響きます。猶予なら響きません。
- 日本語学校でも申請できることが多いです。ただし学校ごとに違うので、確かめ方を後に書いています。
- 正直な代償が1つ。猶予した期間は、帰国時の脱退一時金の対象になりません。
- 追納は義務ではありません。そして帰国するなら、追納しないほうが得です——21万円払っても脱退一時金は10万円しか増えないからです。日本に長く住むなら逆に、追納する価値があります。
「国民年金」とは、日本に住む20歳から59歳までの人が入る公的な年金です。日本人だけの制度ではありません。住民登録をしている外国人も、20歳を過ぎれば加入の対象になります。医療のほうの国民健康保険とは別の制度で、保険料も別に請求されます。
留学生も年金を払うのですか
アルバイトを増やせないのに、封筒だけが届きます。週28時間の上限があるなかで、家賃と食費を払って、そこへ月17,920円。足りないのは当たり前です。
そして払う義務そのものは、なくなりません。20歳以上で住民登録があれば、留学生も国民年金の対象です。「知らなかった」も「短期滞在だから」も、加入義務を消しません。
ただし、払えない人のための道が用意されています。それが学生納付特例です。
保険料はいくらですか
2026年度の国民年金保険料は、月額17,920円です。年間で214,000円を超えます。
この金額を、週28時間の上限のなかで作るとどうなるか。東京都の最低賃金は1,226円(2026年10月1日から1,280円)なので、28時間×4週で月112時間、稼げるのは約13万7千円です。そこから家賃と食費を引いて、17,920円を残す——数字の上でも無理があります。

「免除」ではなく「猶予」です——学生納付特例とは
検索すると「学生 年金 免除」という言葉で出てきます。読者がそう呼ぶので、この記事でもそう書いてきました。制度の正しい名前は「学生納付特例」で、中身は免除ではなく猶予です。
違いはここです。猶予は「あとで払ってもいい」という意味で、払わなくてよくなるわけではありません。承認された期間は受給資格期間に算入されますが、年金額の計算対象には入りません。あとで追納すれば、そのぶんは戻ります。
それでも申請する価値があるのは、未納との差が決定的だからです。次で書きます。
未納のまま放置するとどうなりますか
払わずに黙っていると、まず督促が来ます。それでも動かなければ、財産の差し押さえの対象になります。
そして、外国人にとってはもう1つ重いものがあります。在留期間の更新や永住許可の審査で、公的義務を果たしているかが見られます。年金と医療保険の保険料の納付は、その公的義務に含まれます。ビザ更新の窓口では健康保険証の提示も求められます。
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。学生納付特例で猶予を受けていれば、それは未納ではありません。払っていなくても、制度に沿って手続きをした状態です。ビザに響くのは、放置したほうだけです。
日本語学校でも申請できますか
対象になるのは、大学・大学院・短大・高校・高等専門学校・特別支援学校、そして専修学校および各種学校の学生です。夜間部・定時制・通信課程も含まれます。
日本語学校の多くは「各種学校」にあたるので、対象になることが多いです。ただし条件があります。各種学校の場合、修業年限1年以上の課程であること。私立なら都道府県知事の認可を受けていること。だから学校によって変わります。
確かめ方は2つあります。
- 学校の事務室に聞く。これがいちばん速いです。許認可を受けた学校なら、申請書をその場で受け取ってくれることもあります
- 日本年金機構の「学生納付特例対象校一覧」で探す。公式サイトに一覧が出ています
もう1つ条件があります。前年の所得が「128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等」以下であること。週28時間で働く学生の多くは、この範囲に収まります。
申請のやり方
出す場所は3つあり、どこでもかまいません。
- 住民登録をしている市区町村の国民年金の窓口
- 年金事務所
- 在学中の学校(許認可を受けている場合)
持っていくものは、学生証(または在学証明書)と、基礎年金番号がわかるものです。在留カードも一緒に持っていってください。
申請は年度ごとです。1回出せば卒業まで続く、というものではありません。新しい学年になったら、また出します。ここを忘れて、2年目から未納になっている人がいます。
あとで払わないといけないのですか
いいえ。追納は義務ではありません。払わなくても罰則はなく、督促も来ません。猶予された期間は受給資格期間(10年)に算入されるので、年金を受け取る権利そのものが減ることもありません。
変わるのは将来もらえる年金の額だけです。2年間猶予して追納しなかった場合、老齢基礎年金は満額と比べて年およそ4万円少なくなります。
追納したいなら、10年以内なら遡って納められます。ただし3年度目以降は加算額が上乗せされるので、早いほど安く済みます。
追納したほうが得ですか——帰国するなら、しないほうが得です
ここは日本語で書かれた記事とは違う答えになります。ほとんどの記事は「追納したほうがいい」と書いていますが、それは日本に住み続ける前提の話です。
数字で見ます。1年分の追納は17,920円×12か月=215,040円です。
| 帰国する人 | 日本に長くいる人 | |
|---|---|---|
| 払う額(1年分) | 215,040円 | 215,040円 |
| 返ってくるもの | 脱退一時金が107,520円増える | 老齢基礎年金が年およそ2万円増える |
| 判定 | 約10万円の損 | 約10年で元が取れる |
帰国する人にとって、追納で戻ってくるのは脱退一時金だけです。そしてその額は、納めた保険料のちょうど半分に設計されています。令和8年度なら6か月ごとに53,760円、1年で107,520円です。
つまり21万円払って、10万円しか戻らない。日本を離れることが決まっているなら、追納しないほうが手元にお金が残ります。
もう1つ、知っておくと損をしません。脱退一時金には上限があります。60か月(5年)分で537,600円が最大で、それ以上は納めても増えません。すでに5年分納めている人が追納しても、脱退一時金は1円も増えません。
判断の分かれ目はここです。
- 日本で就職して長く住むなら、追納する価値があります。年金は生きているあいだ受け取り続けるものなので、10年で元が取れれば、そのあとは増える一方です
- 卒業したら帰国するなら、追納しないほうが得です。手元の21万円を残して、帰国時に脱退一時金を請求してください
- まだ分からないなら、急がなくてかまいません。追納の期限は10年あります。進路が決まってから決めれば間に合います
帰国するとき、脱退一時金は減りますか
ここは正直に書かないといけないところです。減ります。
日本を離れるときに請求できる脱退一時金は、金額の計算に入る期間が決まっています。保険料納付済期間、4分の1免除×4分の3、半額免除×2分の1、4分の3免除×4分の1——この4つだけです。学生納付特例の期間は、ここに入っていません。
つまり猶予を使った月は、脱退一時金の対象外です。払っていれば受け取れたはずのお金が、その分だけ減ります。
それでも、順番ははっきりしています。
- 払えるなら、払う。将来の年金にも脱退一時金にもなります
- 払えないなら、学生納付特例。ビザに響かず、あとから追納して取り返せます
- 未納だけは避ける。お金も受け取れず、差し押さえの対象になり、ビザにも響きます
追納すれば、その期間は保険料納付済期間になります。就職してから追納すれば、脱退一時金の対象にも戻ります。猶予は、取り返せる選択です。
金額と条件は2026年8月24日に日本年金機構の公式サイトで確認したものです。制度は変わります。申請の前に必ず公式か窓口で確かめてください。参考(公式):日本年金機構「国民年金保険料の学生納付特例制度」/同「学生納付特例対象校一覧」
それでも足りないとき、固定費を下げる順番
年金を猶予しても、まだ足りないことがあります。下の図は金額の大きい順に並べたものですが、順番を決めるのは金額だけではありません。その手が今日打てるかどうかも同じくらい大事です。

いちばん大きいのは家賃です。1Kで8万円払っている人がシェアハウスの3万円に移ると、月5万円が浮きます。
この5万円が、どれくらいの重さか。週28時間で月112時間なので、5万円÷112時間=時給446円ぶんです。時給1,226円の人が1,672円の仕事に移ったのと同じ手取りになります。時給を446円上げる交渉は、まず通りません。引っ越しは今月できます。
次が年金の17,920円、その次が格安SIMで月7,000円ほど。国民健康保険にも減免の制度があります。
節水シャワーや電気毛布、安いスーパー——合わせて月1万円弱です。家賃の5万円には届きません。
それでも、これを小さいと呼ぶのは間違いです。月13万7千円で暮らしている人にとって、1万円は収入の7%です。それに、上の3つには決定的な違いがあります。
| 手 | 効く額 | 始めるのに要るもの |
|---|---|---|
| 家賃を下げる | 月50,000円 | 引っ越し(初期費用・保証人・契約期間の途中では動けない) |
| 年金を猶予する | 月17,920円 | 申請(学校か市役所へ・年度ごと) |
| 細かい節約 | 月10,000円弱 | 何も要りません。今日から |
契約の途中で引っ越せない人、学校の近くを離れられない人がいます。その人にとって、細かい節約は「最後にやること」ではなく、今できる唯一のことです。
順番はこうです。大きい手は、打てるときに打つ。小さい手は、今日から打つ。どちらかを選ぶ話ではありません。
よくある質問(FAQ)
Q. 留学生も国民年金を払う必要がありますか?
あります。20歳以上で住民登録をしていれば、国籍に関係なく国民年金の対象です。ただし払えない場合は、学生納付特例を申請して納付を猶予できます。
Q. 国民年金の保険料はいくらですか?
2026年度は月額17,920円です。年間では214,000円を超えます。
Q. 学生納付特例は「免除」ですか?
正確には免除ではなく猶予です。承認された期間は受給資格期間に算入されますが、年金額の計算には入りません。10年以内なら追納でき、追納すればそのぶんは年金額に反映されます。
Q. 日本語学校の学生でも申請できますか?
できることが多いです。各種学校は対象ですが、修業年限1年以上の課程で、私立なら都道府県知事の認可を受けていることが条件になります。学校の事務室に聞くか、日本年金機構の学生納付特例対象校一覧で確認してください。
Q. 払わずに放置するとどうなりますか?
督促のあと、財産の差し押さえの対象になります。さらに在留期間の更新や永住許可の審査では、年金や医療保険の保険料の納付という公的義務を果たしているかが見られます。猶予を受けていればこれには当たりません。
Q. 学生納付特例を使うと、帰国のときの脱退一時金は減りますか?
減ります。脱退一時金の額に算入されるのは保険料納付済期間などで、学生納付特例の期間は含まれません。ただし10年以内に追納すれば保険料納付済期間になるので、取り返せます。
Q. 猶予した分は、あとで払わないといけませんか?
いいえ。追納は義務ではなく、払わなくても罰則はありません。猶予期間は受給資格期間に算入されるので、年金を受け取る権利も減りません。変わるのは将来もらえる年金額だけで、2年間猶予して追納しないと満額より年およそ4万円少なくなります。
Q. 追納したほうが得ですか?
帰国するなら、しないほうが得です。1年分の追納は215,040円ですが、それで増える脱退一時金は107,520円だけです。日本に長く住むなら逆で、老齢基礎年金が年およそ2万円増え、10年ほどで元が取れます。進路が決まるまで急ぐ必要はありません。追納の期限は10年あります。
Q. 申請は一度だけでいいですか?
年度ごとに必要です。新しい学年になったら、また申請してください。忘れると2年目から未納になります。
まとめ
- 20歳以上で住民登録があれば、留学生も国民年金の対象。保険料は月17,920円
- 払えないなら学生納付特例。正確には免除ではなく猶予
- 未納と猶予はまったく別。未納は差し押さえとビザに響き、猶予は響かない
- 日本語学校でも申請できることが多い(各種学校・修業年限1年以上・私立は知事の認可)
- 申請は年度ごと。2年目に忘れて未納になる人がいる
- 猶予期間は脱退一時金の対象外。追納は義務ではない
- 帰国するなら追納しないほうが得(21万円払って戻るのは10万円)。日本に長く住むなら逆
- まだ足りないなら家賃から。5万円下げるのは時給446円ぶんに相当する

