この記事は2026年9月24日に、出入国在留管理庁の「留学」の案内と上陸基準の省令、文部科学省の省令とガイドライン、JASSOの日本留学情報サイト、東京大学・電気通信大学など5大学の留学生向け公式案内で確かめて書いています。
先に結論
- 研究生とは、大学や大学院に在籍して研究するものの、学位を目的としない非正規の学生のことです。研究生を続けても修士・博士の学位は出ません。大学院の正規生になるには、研究科の入試に受かる必要があります。
- 在留資格は正規生と同じ「留学」です。ただし研究生として「留学」でいられるのは最長2年で、他の大学で研究生だった期間も数えます(東京大学・電気通信大学などの案内)。
- 日本語の勉強が中心の研究生・聴講生は、「留学」の対象になりにくくなりました。2024年4月26日に施行された基準で、専ら日本語教育を受けるなら、国の認定などを受けた日本語教育機関に限られます。
- アルバイトは正規生と同じで、許可を受けて週28時間までです。
- 研究生を終えただけでは、卒業後の就活ビザは使えません。日本での就職につなげるなら、大学院の正規課程を修了することが前提になります。
これが分かると、研究生の2年を「大学院の入試に受かるための期間」として逆算できるので、学位も就活ビザもないまま在留の期限を迎える事故を避けられます。研究生を経ずに正規課程を直接受けるかどうかも、学費と入試の時期を見て決められます。
国の先輩から「日本の大学院は、まず研究生で入るんだよ」と聞いた。指導してくれそうな先生も見つけた。でも、研究生で何年いられるのか、学位はもらえるのか、ビザはどうなるのかが分からない。日本人の友達に聞いても、「研究生って何?」と返されます。日本人の多くは大学院を入試で直接受けるので、研究生を通らないからです。言葉のずれもあります。中国語の「研究生」は大学院の正規の学生のことですが、日本語の研究生は正規の学生ではありません(電気通信大学の案内)。
- 研究生とは?——大学院の正規生との違いは「学位が出ない」こと
- 研究生のビザ(在留資格)は?——「留学」で、研究生としては最長2年
- 日本語を勉強するだけの研究生は「留学」になる?——2024年からは原則なりません
- 研究生もアルバイトできる?——週28時間は正規生と同じ
- 研究生のビザ更新は?——研究内容の証明書が要る
- 大学院の入試はいつ?——研究科ごとに違うので、募集要項から逆算する
- 大学院の学費はいくら?——国立は年535,800円が標準。研究生は大学が決める
- 大学院の奨学金は?——学習奨励費は研究生も対象になりうる
- 研究生のまま2年たったら?——「留学」は続けられない
- 修了したあとの就職は?——就活ビザは正規課程を出た人だけ
- 終わりの判断——自分はどれか
- よくある質問(FAQ)
- まとめ
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研究生とは?——大学院の正規生との違いは「学位が出ない」こと
JASSO(日本学生支援機構)の日本留学情報サイトは、研究生を「非正規の学生に与えられる身分」と説明しています。例として挙がっているのは、次の3つです。
- 学位を目的とせず、短い期間の研究のために在籍している人(主に大学院レベル)
- 大学どうしの交流協定で来た短期の留学生
- 大学院の正規課程に入る準備の期間として在籍している人(主に学部を出た人)
大学院を目指す留学生が当たるのは3つ目です。研究生の期間は、大学院の1年目にはなりません。電気通信大学は、研究生は単位の修得も学位の取得もできないと書いています。修士を取るには、研究生のあいだに入試に受かり、正規生として入学し直します。

入り方も違います。研究生の選考は書類が中心です(JASSO)。電気通信大学は、受け入れてくれる指導教員が決まっていないと出願できないとしています。
研究生を通らないと大学院に入れない、ということもありません。JASSOは、正規課程を直接受けられる大学院も、研究生を経るのが望ましいとする大学院もある、と書いています。志望する研究科の募集要項で確かめてください。
研究生のビザ(在留資格)は?——「留学」で、研究生としては最長2年
研究生の在留資格は、正規生と同じ「留学」です。入管の定める「留学」の在留期間は、4年3月を超えない範囲で一人ひとりに指定されます。
違うのは、研究生として「留学」でいられる年数です。東京大学は、研究生(学部・大学院)が「留学」で活動できる期間は、他の大学での研究生の期間も含めて、特段の事情がない限り最長2年としています。早稲田大学(原則2年)、電気通信大学(通算最長2年)、総合研究大学院大学(最長2年)も同じです。A大学で1年、B大学で1年研究生をしたら、そこで2年です。
授業を聴くだけの聴講生・科目等履修生は、原則1年です(総合研究大学院大学)。週10時間以上の聴講も必要です。
早稲田大学と総合研究大学院大学は、在留資格が認められなくても、払った入学金や授業料は原則返さないとしています。別の大学で研究生をしていた人は、出願の前に通算の期間を数えてください。
日本語を勉強するだけの研究生は「留学」になる?——2024年からは原則なりません
大学の研究生や聴講生として、日本語の授業を中心に受ける形は、2024年4月26日施行の上陸基準の省令の改正で変わりました。
いまの省令では、大学などで専ら日本語教育を受けるなら、その学校が国の告示を受けた日本語教育機関か、文部科学大臣の認定を受けた日本語教育機関(留学のための課程)でなければなりません。専ら聴講による研究生・聴講生の条件からも、専ら日本語教育を受ける場合が外されました。
「専ら」の目安は、文部科学省と入管の2024年9月30日のガイドラインにあります。入学時の日本語がN2相当未満で、授業時間のおおむね7割以上がやさしい日本語の授業なら、原則として「専ら日本語教育」です。
施行前の1年間にこうした留学生を受け入れていた大学には、2029年3月31日までの経過措置があります。まだ日本語が足りない人は、先に日本語学校で学ぶ道です。そこから大学院へ進む道は、日本語学校のあとの進路で4つの道と並べて比べています。
研究生もアルバイトできる?——週28時間は正規生と同じ
できます。資格外活動許可を受けて、週28時間までです。入管法の施行規則は「留学」の人を週28時間以内(学則の長期休業期間は1日8時間以内)とし、研究生と正規生を分けていません。横浜市立大学も、研究生などの区別なく同じだと案内しています。
長期休業期間は学則で決まるので、1日8時間の枠を使う前に自分の大学で確かめてください。研究生でなくなった日からは、許可があっても働けません。数え方と違反したときのことは、留学生のアルバイトの週28時間の記事にまとめています。
研究生のビザ更新は?——研究内容の証明書が要る
研究生のあいだに在留期限が来たら、在留期間の更新をします。受付は期限の3か月前からです。東京大学の案内では、研究生の更新に次のものが要ります。
- 在留期間更新許可申請書(学校が書く欄は所属の事務室で発行してもらう)
- 写真(縦4cm×横3cm)、パスポート、在留カード
- 提出書類一覧表と各種確認書
- 研究内容を証明する文書(研究期間・研究内容・指導教員の名前と職名が書かれたもの)
- 在学証明書と成績証明書
手数料は2026年10月1日から、許可される期間で決まります。1年の許可なら窓口33,000円(オンライン27,000円)です。区分の全体は在留手続の手数料の値上げの記事で確認できます。
別の大学の大学院に進むなど、学校が変わったときは、入管への「所属機関に関する届出」を14日以内に本人が出します。
大学院の入試はいつ?——研究科ごとに違うので、募集要項から逆算する
大学院の入試の時期と方法は、大学と研究科ごとに違います。JASSOも、学校のウェブサイトで確かめるように、としています。書類・筆記・面接・口頭試問などを組み合わせることが多く、秋(9月か10月)に入学できる大学院も多いとJASSOは書いています。

研究生の出願にも締切があります。電気通信大学の2026年10月入学の研究生は、海外からの出願が5月1日〜14日、国内からが7月27日〜8月14日でした。
出願の資格も先に確かめてください。修士課程には、大学卒業か、外国で16年の学校教育を終えていることなどが必要です(JASSO)。16年に届かない国の人は、大学院の個別の入学資格審査を受けます。
日本語の力も効きます。電気通信大学は、博士前期課程の入試も授業も基本的に日本語なので、入試までにN2レベルを目標にするよう求めています。英語だけで学位が取れる課程もあるので(JASSO)、日本語が弱いならそちらも探せます。N2の証明が要るなら、日本語能力試験(JLPT)の申込期間を出願から逆算してください。
大学院の学費はいくら?——国立は年535,800円が標準。研究生は大学が決める
| 何に | 国立大学の標準額(大学院) |
|---|---|
| 授業料(1年) | 535,800円 |
| 入学料 | 282,000円 |
| 検定料(受験料) | 30,000円 |
国立大学の授業料は、文部科学省の省令が標準額を決めています。ただし標準額は上限ではありません。特別の事情があれば標準額の120%まで上げられます。そして2024年4月1日からは、国立大学が外国人留学生の授業料・入学料・検定料を、標準額とは別に決められるようになりました(同じ省令の改正)。自分の志望する大学の、留学生向けの額を必ず見てください。
JASSOによれば、大学院の1年目の入学金と授業料の合計は、国立で平均82万円程度、公立で90万円程度、私立で110万円程度です。
研究生の学費は、各大学が決めます(省令は学生以外の人の費用を大学に任せています)。例として電気通信大学の研究生(2026年10月入学)は、検定料9,800円、入学料84,600円、授業料178,200円(6か月分)でした。この出費は、正規課程の2年分とは別にかかります。
払えなくなりそうなときは、授業料の免除や猶予を大学に相談してください。省令は、経済的な理由で納めるのが難しい人への免除や猶予を、国立大学に求めています。
大学院の奨学金は?——学習奨励費は研究生も対象になりうる
国のお金を留学生に配る「学習奨励費」は、大学院レベルなら月48,000円です(JASSO)。対象は大学院の正規生と、学部を卒業していて大学院レベルの研究をしている研究生です。研究生だから対象外、というわけではありません。
条件は、前の年度の成績評価係数2.30以上、日本語能力試験N2以上・日本留学試験の日本語200点以上・英語CEFR B2以上のどれか、仕送りが月平均90,000円以下などです。自分では申し込めず、学校の推薦で決まります。推薦できる人数は学校ごとに決まっています。仕組みと、事務室で何と言えばいいかは留学生の奨学金(学習奨励費)の記事に書いています。
研究生のまま2年たったら?——「留学」は続けられない
2年のうちに大学院に受からなければ、研究生として「留学」で日本にいる根拠がなくなります。電気通信大学は、研究生の身分を失ったあとに「留学」で滞在することは認められない(ほかの学校に入学する場合を除く)と書いています。帰国するか、別の学校に入るか、別の在留資格に変えるかを、期限の前に決めてください。
在留カードの期限が残っていても、「留学」の活動を3か月以上していないと在留資格の取消しの対象になります。研究生をやめたときは、14日以内に入管へ届け出ます。
大学を卒業して大学院の入学を待つ人には「進学待機」の特定活動がありますが、入管はこの対象から研究生を外しています。研究生の期間は、大学院の入学日までつながるように組んでください。
修了したあとの就職は?——就活ビザは正規課程を出た人だけ
卒業までに内定が出なかった人は、「特定活動」で最長1年、日本で就活を続けられます。ただし入管は、この対象から別科生・聴講生・科目等履修生・研究生を外しています。大学院の正規課程を修了した人なら使えます。対象と申請の時期は卒業後の就活ビザの記事にあります。
入管の令和6年のデータでは、留学から就職で在留資格を変えた人の24.0%が大学院卒でした。どんな会社に決まっているかは留学生の就職先の記事で数字を見られます。
終わりの判断——自分はどれか
- 日本語学校にいて、大学院を目指している——志望する研究科の募集要項で「研究生を経るのが望ましいか」「直接受けられるか」を確かめる。今日、候補の研究科を3つ書き出す。
- 母国の大学を出ていて、研究生で来るつもり——受け入れてくれる指導教員を探し、研究生の出願締切を確かめる。今日、学校教育が16年あるかを数える。
- いま研究生で、1年目——大学院の入試日から逆算して、2年のうちに受験できる回を数える。今日、次の入試の出願期間をカレンダーに入れる。
- 研究生で2年目の終わりが近い——受からなかったときの道(帰国・別の学校・別の在留資格)を決めておく。今日、大学の留学生担当に在留期限と次の手続きを聞く。
よくある質問(FAQ)
Q. 研究生とは何ですか?大学院生とどう違いますか?
研究生とは、大学や大学院に在籍して研究するものの、学位を目的としない非正規の学生です。研究生を続けても修士・博士の学位は出ず、大学によっては単位も取れません。学位を取るには、大学院の入試に受かって正規生になります。
Q. 研究生の在留資格(ビザ)は何ですか?
正規生と同じ「留学」です。ただし東京大学などの案内では、研究生として「留学」でいられるのは、他の大学での研究生の期間を含めて最長2年です。
Q. 研究生はアルバイトできますか?
資格外活動許可を受ければ、週28時間までできます。入管のルールは研究生と正規生を分けていません。長期休業期間の1日8時間は学校の学則で決まるので、自分の大学で確かめてください。
Q. 日本語を勉強するために大学の研究生になれますか?
専ら日本語教育を受ける目的では、原則として「留学」の対象になりません。2024年4月26日施行の省令で、告示校か認定を受けた日本語教育機関に限られました。一部の大学には2029年3月31日までの経過措置があります。
Q. 国立大学の大学院の授業料はいくらですか?
標準額は年535,800円、入学料282,000円、検定料30,000円です。ただし2024年4月1日から、国立大学は外国人留学生の授業料を標準額とは別に決められるので、志望する大学の額を確かめてください。
Q. 研究生を終えたら、卒業後の就活ビザは使えますか?
使えません。入管は卒業後の就活ビザの対象から研究生を外しています。大学院の正規課程を修了した人なら対象になります。
まとめ
研究生は、大学院に入る前の準備の身分です。在留資格は「留学」でも、学位は出ません。研究生として「留学」でいられるのは他の大学の分も含めて最長2年で、修了しても就活ビザは使えません。研究生の2年は、大学院の入試に受かるための期間として使ってください。
日本語の勉強だけが目的なら、研究生ではなく日本語学校の道です。学費は国立の標準で年535,800円ですが、留学生向けの額は大学ごとに確かめます。学習奨励費は研究生も対象になりうるので、事務室で推薦を頼んでください。
出典(公式):出入国在留管理庁「在留資格『留学』」/出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令(e-Gov)/文部科学省・出入国在留管理庁「『専ら日本語教育を受けようとする場合』の判断基準に係るガイドライン」/同「本邦の大学等を卒業した留学生が就職活動を行う場合」/国立大学等の授業料その他の費用に関する省令(e-Gov)/JASSO「Study in Japan 大学院」/東京大学「在留期間の更新(延長)」/電気通信大学「研究生(外国人留学生)」。2026年9月24日に確認したものです。出願の前に、必ず志望する大学の留学生担当と募集要項で確かめてください。
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