この記事は2026年9月26日に、e-Govの予防接種法と予防接種法施行令、厚生労働省の「定期接種実施要領」(2026年9月1日改正)と予防接種のQ&A、横浜市・大阪市・さいたま市・川口市の公式案内で確かめて書いています。制度の説明であり、医学的な助言ではありません。
先に結論
- 定期接種とは、予防接種法にもとづいて、住んでいる市区町村が決まった年齢の人に行う予防接種です。国籍は条件ではありません。外国人の子どもも対象です。
- 定期接種は、病気ごとに決まった期間の中なら公費で受けられます。横浜市・大阪市は無料と案内しています。期間を過ぎると、同じワクチンでも自費の任意接種になります。
- 予診票(接種のお知らせ)は、住民票のある市区町村から届きます。来日や引っ越しのあとは、届くのを待たずに市区町村の保健センターへ行き、予診票をもらいます。
- 母国で受けた接種は、医師の判断と親の同意で、受けた回数として数えられます。母国の接種記録を捨てずに持っていきます。
- 受ける場所は、市区町村と契約した近くの小児科など。親が自分で予約し、原則として親が付き添います。
これが分かると、来日や引っ越しの週のうちに、子どもの「まだ受けていない接種」と「公費の期限」を確かめて、期限の前に予約を入れられます。母国で受けた分を打ち直さずに済むかも、医師に相談できます。
来日して3か月。2歳の子を小児科に連れていくと、受付で「予防接種はどこまで済んでいますか」と聞かれる。母国の接種カードは母国語で書いてある。家には市役所の封筒が何通か届いているけれど、どれが何か分からない。日本人のママ友に聞くと「母子手帳に入ってた券を持って、病院で打つだけだよ」。その券が、あなたの家には最初から無いのです。
- 外国人の子どもも予防接種は無料?——定期接種なら、期間内は公費で受けられる
- 定期接種と任意接種の違いは?——法律が決めた接種か、自分で選ぶ接種か
- 公費で受けられるのは何歳まで?——病気ごとに期間が違い、終わりは誕生日の前日
- 予診票はどこから届く?——住民票のある市区町村から
- 来日・転入したら?——届くのを待たずに保健センターへ
- 母国で受けた予防接種はどうなる?——医師の判断で、受けた回数に数えられる
- どこで受ける?予約は?——近くの小児科などに、親が予約する
- いくらかかる?——定期接種は期間内なら公費、それ以外は自費
- 期間を過ぎたらどうなる?——任意接種になる。病気で受けられなかったなら2年の特例
- 記録が無い・分からないときは?——母子手帳、医療機関、マイナポータル
- 終わりの判断——自分はどれか
- よくある質問(FAQ)
- まとめ
- あわせて読みたい
外国人の子どもも予防接種は無料?——定期接種なら、期間内は公費で受けられる
日本の子どもの予防接種には、「定期接種」と「任意接種」の2種類があります。
定期接種は、予防接種法にもとづいて市区町村が行う予防接種です。法律は、市町村長が「その市町村の区域内に居住する者」に定期接種を行う、と定めています(予防接種法5条)。国籍の条件は書かれていません。日本に住んでいる外国人の子どもは、日本人の子どもと同じ対象です。
費用は、法律上は市区町村が出します(同49条)。厚生労働省の予防接種に関するQ&Aは、子どもの定期接種(A類疾病)について「お住まいの市町村内で受ける場合、公費で接種が受けられます」と案内しています。横浜市のこどもの予防接種の案内は「対象期間の接種費用は無料」、大阪市も委託医療機関ならA類は無料としています。
子どもの定期接種になっている病気は、次のとおりです(予防接種法2条・施行令1条)。
- ジフテリア、百日せき、ポリオ、破傷風、Hib(ヒブ)感染症(今は5種混合ワクチンでまとめて受けます)
- 麻しん(はしか)、風しん(MRワクチン)
- 結核(BCG)、B型肝炎、ロタウイルス、小児の肺炎球菌、水痘(みずぼうそう)、日本脳炎
- HPV(ヒトパピローマウイルス)=小学6年から高校1年に当たる年齢の女の子
妊娠中のお母さんが受けるRSウイルスワクチン(妊娠28週0日から36週6日までに1回)も、定期接種です。妊娠中の人は、母子手帳と妊婦健診の記事で届け出から出産までの流れを確かめてください。
定期接種と任意接種の違いは?——法律が決めた接種か、自分で選ぶ接種か

任意接種とは、定期接種ではない予防接種を、自分で希望して受けることです。厚生労働省は、任意接種の例として次のものを挙げています。
- 季節性インフルエンザ、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)のワクチン
- 海外へ行くときに、行き先によってすすめられるワクチン
- 定期接種を受けそびれた人が、対象の年齢を過ぎてから受ける接種
| 定期接種 | 任意接種 | |
|---|---|---|
| 決めているのは | 予防接種法・施行令 | 自分(医師と相談) |
| 費用 | 期間内は公費(横浜市・大阪市は無料) | 原則として全額自己負担。料金は医療機関ごと |
| お知らせ | 住民票のある市区町村から届く | 届かない。自分で調べる |
| 健康被害の救済 | 予防接種法の救済制度 | 予防接種法の救済制度の外 |
| 健康保険 | どちらも使えない(治療ではないため) | |
子どものインフルエンザは任意接種です。料金と市区町村の助成はインフルエンザ予防接種の記事にまとめています。
定期接種のA類について、法律は本人と親に「受けるよう努めなければならない」と定めています(予防接種法9条)。これは努力義務です。受けなかったときの罰則は、予防接種法にはありません。
公費で受けられるのは何歳まで?——病気ごとに期間が違い、終わりは誕生日の前日
子どもの熱が続いて、予定の接種を何か月か見送った。落ち着いたら、いつでも受ければいい。あなたの国では、それが普通かもしれません。日本の定期接種は、公費で受けられる期間が病気ごとに年齢で決まっていて、過ぎると同じワクチンでも自費の任意接種になります。
期間の例です(予防接種法施行令3条)。
- BCG・B型肝炎:1歳になるまで
- ジフテリア・百日せき・ポリオ・破傷風(5種混合など):生後2か月から生後90か月(7歳6か月)まで
- MR(はしか・風しん):1回目は1歳から2歳になるまで。2回目は小学校に入る前の1年間(年長の年)
- 水痘:1歳から3歳になるまで
- HPV:12歳になる年度の4月1日から、16歳になる年度の3月31日まで(女の子)
ロタウイルスはとくに短く、生後6週から32週ごろまでです。横浜市は、ロタは期間を過ぎると定期接種でも任意接種でも受けられない、と案内しています。何回をいつ受けるかの全体の表は、国立健康危機管理研究機構(JIHS)の予防接種スケジュールで確かめてください。
期限の数え方には、日本の決まりがあります。厚生労働省の解釈では、年齢は誕生日の前日に1つ上がります。だから「1歳に至るまで」は、1歳の誕生日の前日までです。月の場合も同じで、「生後3か月」は3か月後の同じ日の前日に来ます。4月1日生まれの子のBCGなら、翌年の3月31日が最後の日です。
MRの2回目は、年長の1年間しかありません。小学校に入る準備の年なので、小学校の就学の手続きと同じ時期にカレンダーに入れておくと忘れません。
予診票はどこから届く?——住民票のある市区町村から
定期接種を行うのは市区町村なので、お知らせも市区町村から来ます。施行令6条は、市区町村に、対象の子どもや親へ、接種の種類・期間・場所などをあらかじめ知らせるよう定めています。厚生労働省の実施要領は、その知らせ方を原則として「個別通知」、つまり家に届く郵便などとしています。
届き方は市区町村ごとに違います。
- 横浜市:0歳・1歳・3歳・年長・9歳・11歳・中学1年の女の子になる前に、予診票(接種券)を送る
- 大阪市:母子健康手帳をもらうときに、予診票のついた「予防接種手帳」を渡す
日本で生まれた子なら、出生届と出産のあとの手続きの流れで、予診票が手元に来ます。海外で生まれて日本に来た子には、この流れがありません。
実施要領は、外国籍の対象者が増えているとして、英語・中国語・韓国語・ベトナム語・ネパール語などでの案内に努めるよう市区町村に求めています。横浜市は英語の案内冊子と、英語・中国語の予診票の見本を出しています。見本は読むためのもので、書き込むのは正式の予診票です。マイナポータルで入力する「デジタル予診票」を使い始めた市区町村もあります。
来日・転入したら?——届くのを待たずに保健センターへ

定期接種を行うのは住んでいる市区町村なので、引っ越したら新しい市区町村の予診票で受けます。横浜市は、市外から転入して受けていない接種があれば、区の窓口で手続きをすれば予診票を渡す、としています。大阪市も、市外から転入した人は区の保健福祉センターに電話して、母子健康手帳を持って手続きするよう案内しています。
大事なのは、自分から行くことです。予診票を送る時期が決まっている市区町村では、そのあとに引っ越してきた子の分は、窓口で手続きしないと手元に来ません。大阪市は、転入のときに7歳6か月以下の子に「予防接種番号」をつけて、転入届の翌月下旬に封書で知らせています。封書を待たずに、先に電話して予診票を受け取ってください。
順番は、まず転入届で住民票を作ることです。定期接種は、住んでいる市区町村が行うからです。同じ日に市区町村の窓口で、子どもの医療証や保育園の申込みの相談もできます。
住民登録がまだの場合も、あきらめないでください。大阪市とさいたま市は、住民登録がなくても、その市に住んでいる実態があれば定期接種を受けられる場合がある、としています。事前に保健センターへ連絡してください。一方で、住所を置かずに一時帰国のような形で受ける接種は、大阪市では予防接種法によらない任意接種で、全額自己負担です。
母国で受けた予防接種はどうなる?——医師の判断で、受けた回数に数えられる
厚生労働省の実施要領には、はっきり書いてあります。海外などで受けた予防接種は、医師の判断と保護者の同意にもとづいて、すでに受けた回数分の定期接種を受けたものとみなすことができる。母国で3回受けたワクチンを、日本で最初から受け直す必要があるとは限りません。
そのためには、母国の記録が読める形になっている必要があります。市区町村の案内はこうです。
- さいたま市:海外の接種記録を用意し、受けたワクチンの種類を確認して、記録に日本語で書き足す。訳すときは岡山県予防接種センターの「外国語予防接種用語集」を参考にする
- 川口市:日本の母子手帳の「予防接種の記録」に接種日を書き写し、接種した人の署名の欄には国名を書く
- 川口市:受けるときは、書き写した母子手帳と、元の海外の記録の両方を持っていく
日本の母子手帳を持っていない子は、転入のときに保健センターで、記録をどこに残すかを聞いてください。三郷市のように、外国の記録の翻訳と日本のスケジュールの相談を窓口で受けている市もあります。
母国のワクチンが日本のどのワクチンに当たるか、何回分に数えるかは、最後は医師が決めます。親が「これは済んでいる」と決めて飛ばさないでください。
どこで受ける?予約は?——近くの小児科などに、親が予約する
お知らせの紙に書かれた日に、保健所へ子どもを連れていけば打ってもらえる。あなたの国では、それが普通かもしれません。日本の定期接種は、原則として、市区町村の求めに応じて協力している医療機関で1人ずつ受ける「個別接種」です(実施要領)。集団接種をする市区町村もあります。病院を選んで予約するのは、親の仕事です。
協力している医療機関は、市区町村のホームページに一覧があります。さいたま市は、一覧に載っていても「かかりつけの患者だけ」「○歳以上」などの条件で予約できないことがあるので、先に医療機関に確かめて予約するよう案内しています。横浜市は、住んでいる区以外の区でも受けられるとしています。
持ち物は、横浜市の例で次のとおりです。
- 母子健康手帳(または、予防接種済証など接種歴が分かる書類)
- 名前・生年月日・住所が分かる書類(子どもの医療証、マイナンバーカードなど)
- 予診票
- 委任状(親が付き添えないとき)
接種には、原則として親の付き添いが必要です(実施要領)。祖父母などが連れていくときは、横浜市では委任状が要ります。受けた接種は、母子健康手帳に書き込まれます。
日本語の予診票が不安なら、自分の市区町村の外国語の見本を探すか、保健センターに相談してください。
いくらかかる?——定期接種は期間内なら公費、それ以外は自費
| どんなとき | いくら |
|---|---|
| 定期接種を、期間内に、住んでいる市区町村の協力医療機関で | 公費(横浜市・大阪市は無料) |
| 定期接種を、住んでいる市区町村の外の医療機関で | 横浜市は依頼書が必要で、原則自己負担(里帰りなどは払い戻し)。大阪市は委託医療機関なら市外でも無料 |
| 期間を過ぎてから受ける接種、定期接種にないワクチン | 任意接種。原則として全額自己負担で、料金は医療機関ごと |
| 健康保険・子ども医療費助成 | 予防接種には使えない |
| 英文の接種証明(横浜市) | 1通300円・約2週間 |
法律上は、市区町村が定期接種の実費を取ることもできます(予防接種法52条)。ただし、お金の理由で払えない人からは取りません。実施要領は、その判断に住民税の課税の状況や生活保護などを見るとしています。自分の市区町村の自己負担は、予診票と一緒に届く案内に書かれています。
期間を過ぎたらどうなる?——任意接種になる。病気で受けられなかったなら2年の特例
定期接種の期間を過ぎると、そのワクチンは任意接種になり、原則として全額自己負担です(横浜市)。お金だけの話ではありません。予防接種法の健康被害の救済制度は、予防接種法にもとづく接種が対象です。大阪市は、予防接種法によらない接種を任意接種と呼んでいます。
例外は、重い病気で受けられなかった場合です。施行令3条2項は、長く療養が必要な病気などの「特別の事情」で期間内に受けられなかった子について、その事情がなくなった日から2年間は定期接種として受けられる、と定めています。ワクチンによっては上限の年齢があります。横浜市の例では、BCGは4歳になるまで、小児の肺炎球菌は6歳になるまでです。申請が必要です。病気が特例の対象になるかの判断もあるので、受けられる状態になったら保健センターに相談してください。
接種を忘れただけの場合、国の特例はありません。ただ、横浜市のように、B型肝炎・BCG・水痘・MRなど一部のワクチンを申請で無料にしている市もあります。横浜市はこれを任意接種として扱い、市独自の救済制度を当てています。自分の市区町村に同じ仕組みがあるか、保健センターに聞いてください。
記録が無い・分からないときは?——母子手帳、医療機関、マイナポータル
日本では、母子健康手帳が接種の記録です。横浜市は、一生大切に保存するよう案内しています。中学校に入ったあとに失くすと、再交付はできません。
失くして分からなくなったときは、次の順で探します。
- 受けた医療機関に聞く(横浜市によると、カルテは通常5年保存)
- 市区町村に聞く(大阪市は、2013年4月以降の接種〔BCGは2017年4月以降〕なら区の保健福祉センターで確認できる。本人確認の書類が必要)
- マイナポータルで見る(横浜市は2016年1月以降の市内の定期接種の一部。ただし証明ではない)
それでも分からなければ、医師と相談して決めます。帰国や留学で英文の証明が要るときは、住んでいる市区町村に申請します。
終わりの判断——自分はどれか
- 海外から子どもを連れて来たばかり——転入届を出したら、その日のうちに保健センターへ電話する。母国の接種記録を出して、ワクチンの名前と日付に日本語を書き足す。
- 日本の中で引っ越した——新しい市区町村の保健センターに母子健康手帳を持って行き、まだ受けていない分の予診票をもらう。
- 予診票は手元にあるが、まだ予約していない——予診票の中でいちばん期限が近いものを探し、今日、市区町村の一覧から小児科を選んで電話する。
- 期間を過ぎてしまった——病気で受けられなかったなら、保健センターに電話して特例の申請の方法を聞く。忘れただけなら、市の独自の助成があるか電話で聞く。
よくある質問(FAQ)
Q. 外国人の子どもも、日本の予防接種を無料で受けられますか?
定期接種なら、国籍に関係なく、決まった期間の中は公費で受けられます。予防接種法は、市区町村に住んでいる人を対象にしています。横浜市・大阪市は、期間内の定期接種を無料と案内しています。
Q. 定期接種と任意接種の違いは何ですか?
定期接種は予防接種法で決まった接種で、市区町村が期間内なら公費で行います。任意接種は自分で希望して受ける接種で、原則として全額自己負担です。おたふくかぜや子どものインフルエンザ、期間を過ぎてから受ける接種が任意接種です。
Q. 定期接種の期間を過ぎたらどうなりますか?
任意接種になり、原則として全額自己負担です。長く療養が必要な病気などで受けられなかった場合は、その事情がなくなった日から2年間、定期接種として受けられる特例があります。
Q. 引っ越してきたら、予診票はどうすればいいですか?
新しい市区町村の保健センターで、まだ受けていない分の予診票をもらいます。母子健康手帳を持っていきます。定期接種は住んでいる市区町村が行うので、引っ越したら新しい市区町村の予診票で受けます。
Q. 母国で受けた予防接種は、日本で数えてもらえますか?
医師の判断と親の同意で、受けた回数分の定期接種を受けたものとみなせます。母国の記録を持って行き、ワクチンの種類と日付を日本語で確かめてから、医療機関に相談してください。
Q. 予防接種を受けないと、罰則はありますか?
予防接種法に、受けなかった人への罰則はありません。子どもの定期接種について、法律は本人と親に受けるよう努めることを求めています(努力義務)。
まとめ
日本の子どもの予防接種は、予防接種法の定期接種が中心です。住んでいる市区町村が行い、国籍は関係ありません。病気ごとに決まった期間の中なら公費で受けられ、期間を過ぎると同じワクチンでも自費の任意接種になります。
来日や引っ越しのあとは、お知らせが届くのを待たずに保健センターへ行き、予診票をもらいます。母国の接種記録は捨てずに持っていき、医師に数えてもらいます。そして近くの小児科に、親が予約を入れます。
出典(公式):e-Gov法令検索「予防接種法」/同「予防接種法施行令」/厚生労働省「定期接種実施要領」(令和8年9月1日改正)/同「予防接種に関するQ&A」/同「定期の予防接種における対象者の解釈について」/同「予防接種健康被害救済制度」/横浜市「こどもの予防接種について」/大阪市「予防接種に関するよくある質問」/さいたま市「海外から転入された子どもの予防接種について」/川口市「海外等で受けた予防接種記録の母子手帳への転記」。2026年9月26日に確認したものです。期間・自己負担・手続きは市区町村ごとに違うので、住んでいる市区町村の案内で確かめてください。
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