外国人の厚生年金2026|9.15%を会社と折半・10年で一生の年金・帰国なら脱退一時金

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外国人の厚生年金の3つの基本、誰が・いくら・何がもらえるの図 増やす力
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この記事は2026年9月20日に、日本年金機構の「適用事業所と被保険者」「老齢基礎年金の受給要件」「合算対象期間」「海外にお住まいの方の年金の請求」、厚生年金保険法(e-Gov)、厚生労働省「社会保障協定の締結状況」(2026年6月2日現在)を本文まで開いて確かめました。

先に結論

  • 厚生年金とは、会社で働く人が給料に応じて入る国の年金で、外国人も「国籍に関係なく」加入します。週20時間以上・月8.8万円以上なら、パートやバイトでも対象(学生を除く)。
  • 保険料は給料の18.3%を会社と半分ずつ。あなたが払うのは9.15%で、同じ額を会社が上乗せしています。
  • 10年以上払えば、帰国しても65歳から一生もらえます。海外の口座で受け取れ、母国が協定国なら母国の加入期間も足せます(24か国)。
  • 10年に届かずに帰るなら脱退一時金。出国後2年以内、上限5年分。ただし請求するとその期間は消えます。
  • 分かれ道は「日本に何年いるか」。5年以内で帰る人は一時金、10年を超えそうな人は年金。5〜10年の人がいちばん迷うので、この記事はそこを書きます。
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これが分かると、給与明細の「厚生年金」の行が「取られ損」ではなく「会社が同額を足してくれている貯金」に見えます。そして帰国のときに、一時金と年金のどちらを取るかを自分で決められます。

初めての給与明細。「厚生年金保険料」で2万円近く引かれている。どうせ帰国するのに、なぜ払うのか。戻ってくるのか。日本人の同僚に聞いても「まあ、みんな払ってるから」で終わります。その人は帰国という選択肢がないので、考えたことがないのです。ここでは、入る条件、いくら引かれるか、いつもらえるか、帰国したらどうなるか、を日本年金機構と法律の条文だけで書きます。

厚生年金とは何ですか?——外国人も「国籍に関係なく」入る、会社員の年金です

外国人の厚生年金の3つの基本の図。1、誰が入るか。適用事業所に常時使用される人は国籍・性別・賃金に関係なく全員。パート・バイトも週20時間以上、月8.8万円以上、学生でない、被保険者51人以上の企業ならすべて満たせば加入。70歳未満。2、いくら払うか。給料の18.3%を本人と会社が半分ずつ、本人負担は9.15%。月給25万円なら本人は約22,900円で会社も同額を払う。3、何がもらえるか。老齢年金は10年以上の受給資格期間で65歳から一生。障害年金と遺族年金は加入中の事故・病気・死亡に。出典は日本年金機構と厚生年金保険法第81条・第82条。

厚生年金とは、会社(適用事業所)で働く人が入る公的年金で、国民年金の上に乗る2階部分です。日本年金機構の案内は、加入する人をこう書いています——「その事業所に常時使用される人は、国籍や性別、賃金の額等に関係なく、すべて被保険者となります」。外国人だから入れない、入らなくていい、という選択肢はありません(70歳以上は健康保険のみ)。

正社員だけではありません。パート・アルバイトでも、次の3つをすべて満たせば加入です。

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 所定内賃金が月8.8万円以上
  • 学生でない(留学生のバイトは対象外——学生と社会保険の記事のとおり)

この短時間労働者の加入は「特定適用事業所」(厚生年金の被保険者が51人以上の企業など)で働く人が対象で、2027年10月からは36人以上の企業に広がります。週20時間未満のバイトは入りません。

いくら引かれますか?——18.3%を会社と半分ずつ、あなたは9.15%です

保険料率は18.3%で、2017年9月から固定されています(厚生年金保険法第81条)。被保険者と事業主が「それぞれ保険料の半額を負担する」(第82条)ので、給料から引かれるのは9.15%。同じ額を会社が払っています。

月給25万円なら、あなたの負担は月およそ22,900円、会社も22,900円。年間で約55万円が、あなたの名前で積まれている計算です(正確には「標準報酬月額」という区分で計算するので、少しずれます)。

ここが国民年金との大きな違いです。学生の国民年金は月17,920円を自分だけで払いますが、厚生年金は会社が半分持ち、しかも国民年金の分も中に含まれています。厚生年金に免除の制度はありません産休・育休中を除く)。給料がある限り、自動で引かれます。

もらえるのはいつですか?——10年以上払えば、65歳から一生です

帰国する外国人の年金の分かれ道の図。日本にいる年数が10年以上なら老齢年金、65歳から一生、海外の口座で受け取れ、年1回の現況届。10年未満で帰るなら脱退一時金、出国後2年以内に請求、上限5年分、請求するとその期間は消える。真ん中の5年から10年の人は3つを見る。1、母国が社会保障協定の通算対象国(アメリカ、カナダ、ドイツ、フランス、オーストラリア、ブラジル、フィリピン、インドなど24か国のうち英国・韓国・中国・イタリアを除く20か国)なら母国の加入期間を足して10年に届くか。2、また日本に戻る予定があるか。加入期間は消えずに積み上がる。3、永住許可を取る予定があるか。許可前の海外在住期間が10年の計算に入る。

老齢年金は、「受給資格期間」が10年以上あれば65歳から受け取れます(日本年金機構)。受給資格期間は、保険料を納めた期間と免除された期間などを合算したもの。国民年金と厚生年金は合わせて数えます。2017年8月に25年から10年に短縮されたので、大学を出て日本で10年働けば、それだけで一生の年金が付きます。

帰国しても消えません。海外の銀行口座で受け取れます(「外国居住年金受給権者 住所・受取金融機関 登録届」にSWIFTコードなどを書いて届出)。年1回、誕生月の末日までに「現況届」を出すのが条件です。日本と租税条約のある国に住んでいれば、手続きをすれば非居住者の所得税が免除されます。

加入中に障害が残ったり亡くなったりした場合の障害厚生年金・遺族厚生年金も、加入している間は外国人も同じ条件で対象です。

母国の年金と足せますか?——協定国なら、24か国です

日本は24か国と社会保障協定を結んでいます(2026年6月2日現在・厚生労働省)。協定には2つの働きがあります。

  • 二重負担の防止——母国の会社から日本に一時派遣される人などが、両方の年金に払わなくて済む
  • 加入期間の通算——日本で7年・母国で3年なら、足して10年として日本の年金の受給資格を満たせる(もらえる額は日本で払った7年分)

発効済みの24か国:ドイツ、英国、韓国、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インド、ルクセンブルク、フィリピン、スロバキア、中国、フィンランド、スウェーデン、イタリア、オーストリア。ただし英国・韓国・中国・イタリアの4か国は二重負担防止だけで、期間の通算はありません。ポーランドは署名済み(2026年4月)、トルコ・ノルウェー・ベトナムは交渉中、タイは予備協議です。

この一覧にベトナム・ネパール・インドネシア・ミャンマー・スリランカ・バングラデシュは入っていません(ベトナムは交渉中)。この国の人は、通算なしで「日本だけで10年に届くか」を考えることになります。

10年に届かずに帰るなら?——脱退一時金、ただし「消える」を知ってから

厚生年金・国民年金に6か月以上加入し、日本に住所がなくなってから2年以内に請求すると、払った保険料の一部が「脱退一時金」として戻ります。上限は5年分。計算と請求の手順は脱退一時金の記事に書きました。

ここで、ひとつだけ。脱退一時金を受け取ると、その期間は年金の記録から消えます。たとえば日本で7年働いて一時金を取り(5年分が戻る)、あとで日本に戻って3年働いても、10年にはなりません。一時金は「もう日本に戻らない」と決めた人の制度で、戻るかもしれない人には損になりえます。

終わりの判断——日本に何年いるかで決まります

  • 5年以内で帰る人:脱退一時金。上限が5年分なので、ちょうど使い切れます。出国前に転出届、出国後2年以内に請求。
  • 10年を超えそうな人:年金を取る。何もしなくていい。帰国したら海外の口座を届け出て、65歳から受け取る。
  • 5〜10年で迷う人:3つを見る。①母国が通算のある協定国か(アメリカ・カナダ・ドイツ・フランス・オーストラリア・ブラジル・フィリピン・インドなど20か国)→足して10年なら年金。②また日本に戻る可能性があるか→あるなら一時金を取らない(期間は消えずに積み上がる)。③永住許可を取る予定があるか→取ると、許可前の海外在住期間(20〜60歳)が10年の計算に「合算対象期間」として入る(年金額には反映しない)。

どれにも当てはまらず、10年に届く見込みが無く、戻る予定も無い人は一時金。それ以外は、年金の記録を残しておくほうが選択肢が広い。一時金は出国後2年以内ならいつでも請求できるので、迷っているなら急いで消さないでください。

よくある質問(FAQ)

Q. 外国人も厚生年金に入らないといけませんか?

入ります。適用事業所に常時使用される人は「国籍や性別、賃金の額等に関係なく」被保険者です。週20時間以上・月8.8万円以上のパートも対象(学生を除く)。

Q. 厚生年金の保険料はいくらですか?

給料の18.3%を会社と半分ずつで、あなたの負担は9.15%。月給25万円なら月およそ22,900円で、会社も同じ額を払います。

Q. 帰国しても年金はもらえますか?

受給資格期間が10年以上あれば、帰国しても65歳から海外の口座で受け取れます。年1回の現況届が必要です。

Q. 母国で払った年金と合わせられますか?

社会保障協定のある24か国のうち、通算のある20か国なら合わせて10年にできます。英国・韓国・中国・イタリアは二重負担防止だけ。ベトナム・ネパール・インドネシアなどは協定がありません(ベトナムは交渉中)。

Q. 脱退一時金と年金、どちらが得ですか?

10年に届かず、日本に戻らない人は一時金。それ以外は年金の記録を残すほうが選択肢が広い。一時金を取るとその期間は消えます。

Q. 厚生年金に免除はありますか?

ありません(産休・育休中を除く)。給料がある限り自動で引かれます。学生納付特例は国民年金の制度です。

まとめ

厚生年金は外国人も国籍に関係なく入る。保険料は18.3%を会社と半分ずつで、あなたは9.15%。10年以上払えば帰国しても65歳から海外で受け取れる。協定国(通算20か国)なら母国の期間も足せる。

10年に届かずに帰る人は脱退一時金(2年以内・上限5年分)。ただし取るとその期間は消える。分かれ道は日本に何年いるか。迷うなら、記録を残しておくほうが広い。

出典(公式):日本年金機構「適用事業所と被保険者」同「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」厚生年金保険法 第81条・第82条(e-Gov)日本年金機構「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」同「合算対象期間」同「海外にお住まいの方の年金の請求」厚生労働省「社会保障協定の締結状況」(2026年6月2日現在)(いずれも2026年9月20日に確認)

この記事を書いた人

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日本人。省庁の告示・通達・Q&Aを原典のまま読み、在日ネパール・スリランカの友人から実際に聞いた困りごとを出発点にしています。確かめていないことは書きません。

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