この記事は2026年9月16日に、国税庁のタックスアンサー(No.2665・2668・1180)と「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」を本文まで開いて確かめました。2026年12月の年末調整から数字が変わります。会社の締切は会社ごとに違います。
先に結論
- 年末調整は、毎月引かれすぎた所得税を12月に返してもらう手続です。会社がやります。あなたは紙を出すだけ。
- 出す紙は3枚。扶養控除等(異動)申告書/基礎控除・配偶者控除等・特定親族特別控除・所得金額調整控除の申告書/保険料控除申告書。
- 2026年12月から数字が変わります。基礎控除は58万→104万円(合計所得132万円以下)、給与所得控除の最低保障は65万→74万円。給与だけなら178万円まで所得税がかかりません。
- 年の途中で辞めた人は、原則として年末調整の対象外です。自分で確定申告します。帰国する人は例外で、出国のときに会社がやります。
- 母国の家族を扶養に入れるなら、親族関係書類と送金関係書類が要ります。
11月、総務から紙が3枚配られます。日本語で、細かい欄がたくさんあって、締切が短い。白紙で返すと、返ってくるはずのお金が返ってきません。日本人の同僚に聞いても「適当に書けばいい」と言われる——彼らは毎年書いていて、何が起きているかを説明する言葉を持っていないだけです。
年末調整とは何ですか?——12月に、払いすぎた所得税を返してもらう手続です
年末調整とは、毎月の給料から引かれた所得税の合計と、その年に本当に納めるべき所得税の額との差額を、会社が12月に精算する手続です。国税庁のタックスアンサーNo.2665がそう定義しています。

なぜ差額が出るのか。毎月の給料から引かれる所得税は「仮の額」だからです。月給だけを見て機械的に計算していて、あなたの扶養家族や保険料は反映されていません。12月にそれらの控除を全部足して本当の年税額を出すと、たいてい引きすぎになっている。その差額が、12月か1月の給料に上乗せされて戻ってきます。
だから紙を出さないと、控除が反映されず、戻るはずのお金が戻りません。
誰が対象ですか?——会社に「扶養控除等申告書」を出している人です
12月に年末調整をしてもらえるのは、次の人です(No.2665)。
- 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を会社に出している——入社時に書いた、家族の名前を書くあの紙です
- 1年を通じて勤めている人、または年の途中で入社して12月まで勤めている人
- ただし給与の総額が2,000万円を超える人は対象外(自分で確定申告)
年の途中で入社した人は、前の会社の給料も含めて年末調整します。そのために前の会社の源泉徴収票を今の会社に出してください。No.2668は、これで確認できないときは年末調整ができない、と明記しています。前の会社に「源泉徴収票をください」と言えば出ます。
2026年12月の年末調整で、何が変わりますか?
ここが今年の肝です。令和8年度の税制改正が2026年12月1日に施行され、2026年分の所得税から適用されます。国税庁の「改正のあらまし」は、11月までの給料から引かれる額は変わらず、12月の年末調整でまとめて精算すると書いています。

- 基礎控除:58万円 → 104万円(合計所得132万円以下=給与収入206万円以下の人。2026・2027年分)。所得が上がると段階的に減り、655万円超で62万円です。
- 給与所得控除の最低保障:65万円 → 74万円(2026・2027年分。2028年分からは69万円)
- この2つを足すと、収入が給与だけの人は178万円まで所得税がかかりません。
- 扶養に入れる家族の収入の上限:所得58万→62万円(給与136万円以下)。勤労学生は所得89万円(給与163万円以下)まで。
アルバイトの学生に直結します。去年まで「103万円」「123万円」と言われてきた線が、2026年分は178万円です。週28時間の上限の中で稼げる額なら、所得税はほぼかからなくなります。ただし住民税と社会保険の線は別なので、混ぜないでください。
何を出しますか?——紙は3枚です
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書——翌年分を、たいてい年末に出します。配偶者・子ども・母国の親などの名前を書く紙
- 基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書——名前が長い1枚の紙。基礎控除を受けるのに必要なので、独身でも出します
- 保険料控除申告書——生命保険・国民年金・国民健康保険の保険料を払っている人。国民健康保険を自分で払っている人は、ここに書けば控除になります
締切は会社が決めます。国税庁の決まりは「その年最後の給料日の前日まで」ですが、会社はそれより早く集めます。11月中が多いです。
母国の家族を扶養に入れられますか?
入れられます。ただし書類が2種類要ります。
- 親族関係書類——戸籍や出生証明書など、家族であることを示すもの(日本語訳つき)
- 送金関係書類——その家族に送金した記録
そして年齢の条件があります(No.1180)。16歳以上30歳未満と70歳以上は、この2書類で入れます。30歳以上70歳未満の親族は、留学している/障害がある/その年に生活費・教育費として38万円以上を送っている——のどれかに当たる人だけです。母国の親は多くがこの年齢帯なので、年38万円以上の送金記録が鍵になります。細かい書類の型は国外扶養親族の記事にあります。
年の途中で辞めた人・帰国する人はどうなりますか?
年の途中で辞めて、12月に会社にいない人は、原則として年末調整の対象になりません。No.2665が列挙している例外に当たる人だけです。
- 海外へ出て非居住者になる人(帰国して日本に住まなくなる人)——出国のときに会社が年末調整をします
- 死亡による退職/著しい心身の障害による退職
- 12月の給料をもらったあとに退職
- パートなどで、その年の給料が136万円以下で、他で働く見込みのない人
これ以外の中途退職者は、翌年2〜3月に自分で確定申告をします。引かれすぎた税は、確定申告をすれば戻ります。しなければ戻りません。
帰国する人は、出国前に会社に「帰国します」と伝えて、出国時の年末調整をしてもらってください。帰国のチェックリストにも入っています。
書き方が分からないときは?
白紙で返さないでください。分からない欄は空けたまま、分かる欄だけ書いて、総務に「ここが分かりません」と持っていけば済みます。会社にとっても、あなたの年末調整をきちんと終わらせることは義務なので、聞かれて困る人はいません。
国税庁は各申告書の記載例を公開しています。自分の状況に近い記載例を横に置いて写すのが、いちばん早いです。
終わりの判断——出すべき人、確定申告に回す人
12月に会社にいる人は、全員出してください。独身で扶養がゼロでも、2枚目の申告書を出さないと基礎控除が反映されません。
掛け持ちしている人は、年末調整は1社だけ。扶養控除等申告書を出せるのは1社です。もう1社の分は翌年確定申告で合算します。
年の途中で辞めて、次の会社に12月までに入っていない人は、年末調整を待たず確定申告の準備を。必要なのは辞めた会社の源泉徴収票1枚です。
よくある質問(FAQ)
Q. 年末調整とは何ですか?
毎月引かれた所得税の合計と、その年に納めるべき本当の税額との差額を、会社が12月に精算する手続です。たいてい引きすぎになっているので、差額が戻ります。
Q. 何を出せばいいですか?
3枚です。扶養控除等(異動)申告書、基礎控除・配偶者控除等・特定親族特別控除・所得金額調整控除の申告書、保険料控除申告書。独身でも2枚目は出します。
Q. 2026年の年末調整で何が変わりますか?
基礎控除が58万→104万円(合計所得132万円以下)、給与所得控除の最低保障が65万→74万円になり、給与だけなら178万円まで所得税がかかりません。2026年12月1日施行で、12月の年末調整から使います。
Q. 母国の親を扶養に入れられますか?
入れられますが、親族関係書類と送金関係書類が要り、30歳以上70歳未満の親族は、留学・障害・年38万円以上の送金のどれかに当たる必要があります。
Q. 年の途中で会社を辞めました。年末調整はどうなりますか?
原則として対象外です。翌年2〜3月に自分で確定申告をすると、引かれすぎた税が戻ります。12月までに次の会社に入っていれば、前の会社の源泉徴収票を出して、そこで年末調整できます。
Q. 年内に帰国します。
出国のときに会社が年末調整をします。非居住者になる人は「年の中途で行う年末調整」の対象です。出国前に会社へ伝えてください。
まとめ
年末調整は、払いすぎた所得税を12月に返してもらう手続です。紙を3枚出せば会社がやってくれます。白紙で返すと、戻るお金が戻りません。
2026年12月から基礎控除104万円・給与所得控除74万円。給与だけなら178万円まで所得税ゼロ。年の途中で辞めた人は確定申告、帰国する人は出国時に年末調整。母国の家族は、送金の記録が鍵です。
出典(公式):国税庁 タックスアンサー No.2665「年末調整の対象となる人」/No.2668「年末調整の対象となる給与」/No.1180「扶養控除」(国外居住親族の要件)/「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」(PDF)/「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」/各種申告書・記載例(いずれも2026年9月16日に確認)
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