この記事は2026年9月13日に、出入国在留管理庁の特定技能Q&Aと、入管法19条の16・22条の4の条文(e-Gov)を本文まで開いて確かめました。業務区分は分野ごとに違います。自分の分野の区分は、入管庁の分野別ページで確かめてください。
先に結論
- 特定技能は転職できます。同じ業務区分の中、または試験で技能の共通性が確認されている区分の間なら認められます。
- 会社が変わるなら「在留資格変更許可申請」が要ります。標準処理期間は1〜2か月。届出だけでは済みません。
- 契約の終了と、新しい契約の締結は、それぞれ14日以内に入管へ届け出ます。
- 失業しても、すぐに帰国ではありません。就職活動をするなら在留期間内はいられます。失業保険も受けられます。
- 節目は3か月。正当な理由なく3か月以上、特定技能の仕事をしていないと、在留資格が取り消されることがあります。
「特定技能は転職できない」と、送り出し機関や先輩から聞いた人がいます。それは違います。制度が始まったときから転職は認められています。ただし、日本人の転職とは手続がまったく違う。そこを知らないまま辞めると、3か月の壁に当たります。
特定技能とは何ですか?——人手不足の分野で働くための在留資格です
特定技能とは、人手不足が深刻な特定の産業分野で、相当程度の知識または経験を必要とする仕事に就くための在留資格です。1号と2号があり、多くの人は1号(通算5年まで)で働いています。分野ごとに業務区分が決まっていて、試験に合格した区分の仕事に就きます。
技能実習と違って、特定技能は最初から「転職できる」制度として作られています。ただし自由に何でも、ではありません。次の章の3つの型のどれかに当てはまる必要があります。
転職はできますか?——できます。「何が変わるか」で手続が違います

入管庁のQ&Aは、転職が認められる範囲をこう書いています。「同一の業務区分内、または試験等によりその技能水準の共通性が確認されている業務区分間」。これを手続に直すと、3つの型になります。
- 同じ会社で、同じ分野の別の仕事に変わる。雇用契約の変更の届出だけです。許可の申請は要りません。
- 会社が変わる(業務区分は同じ)。在留資格変更許可申請が要ります。受入れ機関が変わるときは、必ずこれです。標準処理期間は1〜2か月。
- 業務区分や分野が変わる。その区分の試験に合格したうえで、変更許可申請をします。技能の共通性が確認されている区分の間なら、試験は要りません。
いちばん多い誤解は2番目です。「同じ仕事だから届出だけでいい」と思って辞めると、新しい会社で働き始められません。会社が変わるなら、許可が下りるまで新しい仕事はできない——これが日本人の転職と決定的に違うところです。
手続は、いつ・何をしますか?
順番はこうです。
- 次の会社を決める。辞める前に、です。新しい会社は特定技能の受入れ要件を満たし、分野の協議会に入っている必要があります。
- いまの会社との契約が終わったら、14日以内に入管へ届出。入管法19条の16が、契約の終了と新たな契約の締結を、それぞれ14日以内に届け出るよう定めています。
- 新しい会社と契約を結び、在留資格変更許可申請。1〜2か月かかります。この間、新しい会社では働けません。
- 許可が下りたら、新しい契約の締結を14日以内に届出。
3で働けない期間があるので、生活費の準備が要ります。だから1が最初なのです。辞めてから探すと、この空白が3か月の壁に近づきます。
失業したら、すぐ帰国ですか?——いいえ。節目は3か月です

入管庁のQ&Aは、はっきり書いています。失業しても、すぐに帰国しなければならないわけではない。就職活動を行うのであれば、少なくとも在留期間内は在留できる。失業保険も、日本人と同様に受けられます(手続はハローワークです。外国人雇用サービスセンターなら通訳がいます)。
ただし、3か月という線があります。入管法22条の4第6号は、在留資格の活動を正当な理由なく継続して3か月以上行わないで在留している場合、在留資格を取り消せると定めています。Q&Aも「3か月以上就職先を探すことなく在留しているなど」と例を挙げています。
大事なのは「正当な理由なく」の部分です。就職活動をしている、面接を受けている、ハローワークに通っている——その記録が残っていれば、3か月を過ぎたからといって自動的に取り消されるわけではありません。逆に、何もせずに3か月いると、取消しの対象になります。
自分のせいでなく辞めさせられたら?——会社に義務があり、逃げ道もあります
倒産、事業の縮小、暴行やハラスメント、会社の重大な法令違反。こうした「自分の責めに帰すべき事由によらない」契約解除のとき、会社には転職支援の義務があります。1号特定技能外国人への義務的支援に「本人の責めによらない契約解除時の転職支援」が含まれていて、その費用を本人に負担させることは認められていません。
それでも3か月たって次が決まらないときのために、「特定活動(就労継続支援)」という在留資格があります。やむを得ない事情で活動の継続が困難になり、3か月を経過しても新たな雇用先が確保されていない中長期在留者が対象で、働きながら次を探せます。要件は細かいので、入管庁のページか外国人在留総合インフォメーションセンター(0570-013904)で確かめてください。
転職して不利になることはありますか?
転職そのものは不利になりません。制度が認めている行為です。不利になるのは、次の3つです。
- 届出を忘れる。14日以内の届出は法律上の義務で、忘れても転職は無効になりませんが、次の在留期間更新で不利に働きます。
- 許可の前に働き始める。会社が変わるのに変更許可を待たずに働くと、資格外活動です。
- 何もしない3か月。上に書いたとおりです。
もうひとつ。1号は通算5年です。転職しても、この5年はリセットされません。転職を繰り返して5年を使い切る前に、2号への移行か、別の在留資格への道を考えておいてください。
終わりの判断——いつ動いて、いつ止まるか
次の会社が決まっているなら、いま辞めてかまいません。契約終了の届出→変更許可申請→許可後の届出、の順番だけ守ってください。
次が決まっていないなら、辞める前に探してください。働きながらの就職活動は禁止されていません。空白の1〜2か月を作らずに済みます。
すでに失業していて、3か月が近いなら、「動いている記録」を残してください。ハローワークの受付票、面接の日付、応募のメール。それが「正当な理由」の証拠になります。そして通訳のいる窓口に行ってください。1人で抱える時期ではありません。
よくある質問(FAQ)
Q. 特定技能は転職できますか?
できます。同じ業務区分の中、または試験で技能の共通性が確認されている業務区分の間で認められます。会社が変わるときは在留資格変更許可申請が必要です。
Q. 転職の手続に何日かかりますか?
在留資格変更許可申請の標準処理期間は1〜2か月です。この間、新しい会社では働けません。
Q. 会社を辞めたら何を届け出ますか?
契約の終了を14日以内に入管へ。新しい契約を結んだら、その締結も14日以内に届け出ます(入管法19条の16)。
Q. 失業したらすぐ帰国しなければなりませんか?
いいえ。就職活動をするなら在留期間内はいられます。失業保険も日本人と同様に受けられます。ただし正当な理由なく3か月以上活動していないと、取消しの対象になります。
Q. 別の分野に移れますか?
移れますが、その分野・業務区分の試験に合格したうえで変更許可申請が必要です。技能の共通性が確認されている区分間なら試験は不要です。
Q. 会社の都合で辞めさせられました。
会社には転職支援の義務があり、費用をあなたに負担させることはできません。3か月たっても次が決まらないときは、特定活動(就労継続支援)への変更という道があります。
まとめ
特定技能は転職できます。同じ業務区分の中、または共通性が確認された区分の間で。会社が変わるなら在留資格変更許可申請(1〜2か月)、契約の終了と締結はそれぞれ14日以内に届出。
失業してもすぐ帰国ではありません。就職活動をしていれば在留期間内はいられ、失業保険も受けられます。正当な理由なく3か月——これだけが、越えてはいけない線です。
出典(公式):出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」/同「在留資格『特定技能』」/同「やむを得ない事情により活動継続が困難な場合(特定活動・就労継続支援)」/出入国管理及び難民認定法(e-Gov)第19条の16・第22条の4(いずれも2026年9月13日に確認)
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