最終更新:2026年8月29日
この記事の結論(Summary)
- 「学習奨励費」とは、国が留学生に配る、返済のいらない奨学金のことです。日本語学校に通っていても月30,000円、大学・大学院・専門学校なら月48,000円。
- ★日本語学校の学生に、N2などの語学の条件はありません。公式に「日本語教育機関は除く」と書かれています。
- 自分で応募する制度ではありません。学校が推薦します。だから学校の事務室に聞かないと、応募のチャンスすら来ません。
- 学校ごとに推薦できる人数が決まっています。早く聞いた人から埋まります。
- 条件は成績評価係数2.30以上。バイトを増やして成績が落ちると、ここで失います。
アルバイトを増やそうと考える前に、読んでほしいものがあります。
週28時間の上限は、法律で決まっていて動きません。でもその上限の外側に、働かずに入るお金があります。
学習奨励費(がくしゅうしょうれいひ / gakushu shoreihi)——文部科学省のお金を、日本学生支援機構(JASSO)が留学生に配るしくみです。この記事は、これ1つだけを説明します。
日本語学校でも、月30,000円もらえます
正式な名前は「留学生受入れ促進プログラム(文部科学省外国人留学生学習奨励費)」といいます。長いので、この記事では「学習奨励費」と呼びます。

金額は在籍している学校で決まります。
- 大学院レベル・学部レベル:月額48,000円
- 日本語教育機関(日本語学校):月額30,000円
給付期間は、原則として4月から翌年3月までの1年間、または10月から翌年3月までの6か月間です。
「返済不要」で調べている人へ。返しません。貸すのではなく給付する制度です。卒業後に請求されることはありません。
どの学校なら対象ですか
公式に挙げられているのは、この人たちです(在留資格「留学」を持つ私費留学生。国費留学生と外国政府派遣の留学生は対象外)。
- 大学院の正規生
- 大学・短期大学・高等専門学校第3学年以上・専修学校の専門課程の正規生
- 専攻科、留学生別科、大学に入るための準備教育課程
- 大学・大学院・短期大学・高等専門学校・専修学校の専門課程への進学を目指して、日本語教育機関に在籍している人
専門学校(専修学校の専門課程)も、日本語学校も、はっきり対象に入っています。「うちの学校は関係ない」と思い込んでいる人が多いところです。
日本語学校の人は「進学を目指し」が条件です
条文は「大学等への進学を目指し、日本語教育機関に在籍していること」となっています。日本語学校のあと就職するつもりの人は、ここで外れる可能性があります。自分がどちらか微妙なら、学校の事務室で確かめてください。
★N2がなくても、日本語学校なら申し込めます
ここは知られていないと思います。
条件には語学の水準(日本語能力試験N2以上、または日本留学試験の日本語200点以上、または英語のCEFR B2以上)が並んでいます。でも、そのすぐ後にこう書かれています。
下記の日本語又は英語の語学水準を満たしている者であること。(留学生別科、準備教育課程、日本語教育機関は除く。)
JASSO「留学生受入れ促進プログラムについて」
日本語学校に通っている人は、この語学の条件から外れています。N2を持っていなくても、EJUを受けていなくても、申し込めます。
「まだN2が取れていないから、自分には関係ない」——そう思って読まずに閉じる人が、いちばん損をします。
自分で応募する制度ではありません
これがこの記事でいちばん実務的なところです。JASSOはこう書いています。
大学又は学校からの推薦により採用者を決定します。
JASSO「留学生受入れ促進プログラム」

つまり——あなたがJASSOに直接申し込むことはできません。学校が推薦してはじめて、選考の対象になります。
そして、こうも書かれています。
在籍する留学生数に応じて、学校毎の推薦人数が決まるため、学校によっては申し込みができないことがあります。
JASSO「留学生受入れ促進プログラムについて」
枠には数があります。学校が誰を推薦するかを決めるとき、その存在を知らない人は候補にすら入りません。
今日、事務室で言う一文
「JASSOの学習奨励費に推薦してもらえますか」——これだけで通じます。学生課、留学生担当、事務室、呼び方は学校によって違います。募集の時期も学校ごとに違うので、早いほど確実です。
成績2.30——バイトを増やすと、ここで失います
条件のひとつが、これです。
前年度の成績評価係数が、大学院レベル、学部レベル、日本語教育機関とも2.30以上であり、給付期間中においてもそれを維持する見込みのある者であること。
JASSO「留学生受入れ促進プログラムについて」
ここで、算数をひとつ。
月30,000円は、東京都の最低賃金1,226円で割ると約24時間分です。週28時間の上限は月112時間なので、ひと月の労働時間の約22%にあたります。
大学・専門学校の48,000円なら約39時間分、約35%です。
つまり——シフトを増やして授業に出られなくなり、成績が2.30を割ると、増やした分より大きなものを失うことがあります。
これは「勉強を頑張ろう」という話ではありません。手取りの計算です。授業に出る時間は、時給に換算すると高い時間かもしれない、ということです。
そのほかの条件
お金の条件が2つあります。どちらも「仕送りが少ない人ほど有利」という向きです。
- 仕送り(入学金・授業料等を除く)が平均月額90,000円以下であること
- 在日している扶養者がいる場合、その年収が500万円未満であること
そのほかに、ほかの奨学金との併給制限(学習奨励費との併給が制限されている奨学金を受けていないこと)、JASSOの海外留学支援制度を受けていないこと、卒業後の進路状況調査に協力する意思があることが挙げられています。
採用されたあとは、在籍する学校の担当部署で、毎月、在籍確認簿にサインをします。これを忘れるとその月の給付が止まることがあるので、月の予定に入れておいてください。
この制度は「学業、人物ともに優れ、かつ、経済的理由により修学が困難である者」に給付するものだと書かれています。お金に困っていることは、申し訳ないことではなく、この制度の前提です。
ほかの奨学金は、どう探しますか
学習奨励費のほかにも、自治体や民間の財団が出している奨学金があります。数が多く、年度によって募集が変わるので、この記事では一覧を載せません。
探し方は2つです。
1つめ。学校の事務室で「うちの学校に来ている奨学金の案内はありますか」と聞く。多くの奨学金は学校を通じて募集されるので、ここがいちばん確実です。
2つめ。JASSOのサイトで「大学・地方公共団体等が行う奨学金制度」を見る。学習奨励費と同じページから辿れます。
学費そのものを下げる道として授業料の減免もありますが、条件も金額も学校ごとに違います。これも事務室で、奨学金と一緒に聞くのが早いです。
終わりの判断——今日やることは1つです
学校の事務室に行って、こう聞いてください。
「JASSOの学習奨励費に推薦してもらえますか。ほかに来ている奨学金の案内もありますか」
それだけです。推薦がなければ、この制度はあなたのところに来ません。枠には数があり、募集の時期は学校ごとに違います。今週のうちに聞いてください。
そのうえで、固定費のほうも見ておいてください。生活費の内訳で書いたとおり、いちばん大きく動くのは家賃です。国民年金の学生納付特例と国民健康保険の減免も、知らずに満額払っている人が多いところです。
よくある質問(FAQ)
Q. 日本語学校でも奨学金はもらえますか。
もらえます。文部科学省外国人留学生学習奨励費は日本語教育機関も対象で、月額30,000円です。ただし「大学等への進学を目指して在籍していること」が条件です。
Q. N2を持っていませんが、申し込めますか。
日本語学校に在籍している人は、語学の条件から除かれています。公式に「留学生別科、準備教育課程、日本語教育機関は除く」と書かれているので、N2やEJUがなくても申し込めます。大学・大学院・専門学校の人には、日本語N2以上・EJU日本語200点以上・英語CEFR B2以上のいずれかが必要です。
Q. この奨学金は返済が必要ですか。
必要ありません。貸すのではなく給付する制度です。
Q. どこに申し込めばいいですか。
自分で申し込む制度ではありません。学校からの推薦で採用者が決まるので、在籍している学校の事務室(学生課・留学生担当)に「JASSOの学習奨励費に推薦してもらえますか」と聞いてください。
Q. いくらもらえますか。
大学院レベル・学部レベルは月額48,000円、日本語教育機関は月額30,000円です。給付期間は原則として4月から翌年3月までの1年間、または10月から翌年3月までの6か月間です。
Q. アルバイトをしていると、もらえませんか。
アルバイトそのものを禁じる条件はありません。ただし仕送りが平均月額90,000円以下であることと、前年度の成績評価係数が2.30以上であることが条件です。シフトを増やして成績が落ちると、こちらで外れることがあります。
まとめ
- 日本語学校でも月30,000円、大学・大学院・専門学校なら月48,000円。返済不要
- ★日本語学校の学生に語学の条件はない。公式に「日本語教育機関は除く」と明記
- 自分で応募できない。学校からの推薦制。学校ごとに人数の枠があり、早く聞いた人から埋まる
- 条件は成績評価係数2.30以上・仕送り月9万円以下・在日の扶養者がいるならその年収500万円未満
- 月30,000円は時給1,226円の約24時間分(月112時間の約22%)。成績を守るほうが、シフトを増やすより手取りが増えることがある
出典(公式):日本学生支援機構(JASSO)「留学生受入れ促進プログラム(文部科学省外国人留学生学習奨励費)」/同「留学生受入れ促進プログラムについて」
金額と条件は2026年8月28日時点でJASSOのページを確認したものです。募集の時期・締切・推薦の方法は学校ごとに違います。必ず在籍する学校の事務室で確かめてください。

