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最終更新:2026年10月30日
数字や条件は、借地借家法26条・28条・32条と民事調停法24条の2で、2026年10月30日に確認しました。変わることがあるので、サインや手続きの前に、いまの条件を自分でも確かめてください。
この記事の結論(Summary)
- 大家さんは家賃を一方的に上げることはできません。話し合いで決まらなければ、最終的に決めるのは裁判です。
- あなたは借地借家法という法律で強く守られています。断っても追い出されません。
- 納得できないなら、裁判で決まるまでは今までの家賃を払えば足ります。ただし裁判で増額が正当と決まれば、不足分に年1割の利息を付けて払います。
- 大事な3つ:あわててサインしない/契約書を確認/やり取りは記録を残す。
- 更新のときの値上げも同じです。通知がなければ今の条件で更新され、大家さんが更新を断るには正当な理由が要ります。
- ただし、理由が合理的で引っ越し費用より安いなら受け入れるのも選択。決めるのはあなたです。
これが分かると、値上げの手紙が来ても、決まるまでは今の家賃でよいと分かっていて、慌ててサインしなくなります。

まず結論:家賃の値上げは、大家さんだけでは決められない
「大家さんから急に家賃を上げると言われた」「断ったら追い出されそうで怖い」——そんな不安を持つ留学生は多いです。でも安心してください。日本では、家を借りる人(賃借人)は法律でとても手厚く守られています。
多くの人が結んでいる「普通借家契約(ふつうしゃっかけいやく)」では、家賃を変えるときは、まず大家さんとあなたの話し合いになります。大家さんが「上げます」と言っても、あなたが納得しなければ、その場で値上げが決まるわけではありません。話し合いで決まらないときは、裁判で決めることになります。

この仕組みを支えているのが借地借家法(しゃくちしゃっかほう)という法律です。32条によると、話し合いがまとまらないとき、あなたは増額を正当とする裁判が確定するまで、自分が相当と思う額を払えば足ります。ふつうは今までの家賃です。ただし裁判で増額が正当と確定したら、不足分に年1割の利息を付けて払わなければなりません。大家さんが裁判で増額を認められることもあるので、今の家賃がずっと続くとは限りません。
なぜ今、家賃の値上げが増えているのか
背景には、日本全体で家賃相場が上がっている事情があります。
- 地価・固定資産税の上昇:大家さんの維持コストが増えている(地価は国土交通省「令和8年地価公示」)
- 建築費・人件費の高騰:新築の家賃が上がり、既存物件もつられて上がる
- 都市部の需要増:東京・大阪などで空室が減り、家賃が上がりやすい

つまり値上げ通知そのものは今後も増えます。だからこそ、「一方的には決まらない」という知識を持っておくことが大切です。
値上げ通知を受け取ったときの5ステップ
大家さんから値上げの紙を渡されて、その場でサインする。あなたの国では、大家が決めた家賃には従うしかないのかもしれません。日本では、家賃は大家さんが一人で決めるものではありません。サインをすると合意したとみなされ、あとから覆すのが難しくなります。
実際に「家賃を上げます」と言われたら、この順番で落ち着いて対応してください。

とくに大事なのが①その場でサインしないこと。値上げの通知書や同意書にサインすると「合意した」とみなされ、あとから覆すのが難しくなります。「確認してから返事します」と伝えればOKです。部屋の賃貸契約は、訪問販売のように8日以内なら無条件でやめられるクーリングオフの対象ではないので(対象の取引は国民生活センター「クーリング・オフ」)、止まれるのはサインの前だけです。
その値上げに、理由はありますか
手紙には「諸事情により」としか書いていない。それで終わりにしなくて大丈夫です。借地借家法32条1項は、家賃の増額を求められる場合として、次の3つを挙げています。

3つ目の「近くの似た部屋」は、自分でも確かめられます。部屋探しのサイトで、同じ駅・同じくらいの広さ・同じくらいの築年数の部屋を5つほど見て、家賃をメモしておきます。今の家賃がそれより安くなければ、値上げの理由としては弱くなります。画面は保存しておくと、話し合いのときにそのまま見せられます。
契約書も読み直してください。「一定の期間、家賃を増額しない」という約束(特約)が書いてあれば、その期間は値上げを求められません(同じ32条1項のただし書き)。
理由をたずねるときは、こう言えば失礼になりません。
- 「値上げの理由を、教えていただけますか。」
- 「近くの同じような部屋の家賃と、比べた資料はありますか。」
- 「少し考えたいので、お返事は来週でもいいですか。」
更新のときに「値上げしないと更新しない」と言われたら
2年の契約が終わる少し前に、新しい家賃が書かれた更新の書類が届く。値上げの話は、このタイミングで来ることもあります。普通借家の場合、ここにも法律の決まりがあります。

借地借家法26条によると、期間が終わる1年前から6か月前までに、大家さんから「更新しない」「条件を変えなければ更新しない」という通知がなければ、今と同じ条件で更新したことになります(ただし、更新後は期間の定めの無い契約になります)。通知があっても、期間が終わったあとも住み続けていて、大家さんがすぐに異議を言わなければ、同じ扱いです。
通知があった場合でも、大家さんが更新を断るには「正当の事由」が必要です(28条)。大家さんと借りる人のそれぞれがその建物を必要とする事情や、これまでの経過、建物の状態などを合わせて判断されます。「値上げに応じないから、すぐに出ていく」という決まりにはなっていません。
だから、新しい家賃が書かれた更新の書類には、その場でサインしないでください。サインすれば、新しい家賃に合意したことになります。定期借家の場合は、期間が終われば再契約になるので、この決まりとは別に考えます(下のFAQを見てください)。
話し合いで決まらないとき:調停と、供託
「裁判」と聞くと身構えますが、家賃の増額は、原則として、いきなり裁判にはなりません。民事調停法24条の2で、裁判を起こす前に、まず調停(簡易裁判所での話し合い)をすることになっています。

そのあいだも、今の家賃は支払日にきちんと払います。払わないでいると、値上げの話とは別に「家賃の滞納」になってしまうからです。
大家さんが「新しい家賃でなければ受け取らない」と言って、今の家賃を受け取らないこともあります。そのときは、法務局に家賃を預ける「供託(きょうたく)」ができます。ただし法務省「供託Q&A」(Q23)によると、値上げを求められただけでは、まだ「受け取りを拒まれた」とは言えません。まず支払日に今の家賃を払おうとして、それでも受け取ってもらえなかったときに供託します。手続きは法務局の窓口のほか、オンラインでもできます。
「断る」か「受け入れる」か——決めるのはあなた
ここまで「一方的には決まらない」と説明しましたが、受け入れた方が得なこともあります。次の流れで判断しましょう。

引っ越しには初期費用(敷金・礼金・仲介手数料)と引っ越し代で数十万円かかります。少しの値上げなら、引っ越すより受け入れた方が安いことも多いです。逆に、値上げ額が大きい・理由が不明なら、交渉しましょう。話し合いで決まらなければ調停、さらに裁判になり、増額が認められることもあります。引っ越し先を考えるなら、外国人も申し込める公営住宅やUR賃貸の条件も比べておくと、交渉の材料になります。まずは話し合いで決めるものなので、あなたが納得して決めるのが正解です。
出典(公式):借地借家法(e-Gov法令検索)/国土交通省「令和8年地価公示」/国民生活センター「クーリング・オフ」/法テラス「無料法律相談」/民事調停法(e-Gov法令検索)/法務省「供託Q&A」(2026年10月30日確認)
よくある質問(FAQ)
Q. 値上げを断ったら追い出されますか?
いいえ。普通借家契約では、値上げに応じないことを理由に強制的に退去させることはできません。話し合いで決まらなければ、裁判で決まるまでは今までの家賃を払えば足ります(借地借家法32条)。
Q. 値上げの通知書にサインを求められました。
その場でサインしないでください。サインすると合意したとみなされます。「内容を確認してから返事します」と伝え、契約書や相談先を確認しましょう。
Q. 断ると、どの家賃を払えばいいですか?
裁判で決まるまでは、あなたが相当と思う額を払えば足ります。ふつうは今までの家賃です(借地借家法32条2項)。ただし裁判で増額が正当と確定したら、不足分に年1割の利息を付けて払います。大家さんが受け取りを拒否しても、法務局に「供託(きょうたく)」する方法があります。不安なら消費生活センターや法テラスに相談してください。
Q. 定期借家契約だと違いますか?
はい。定期借家契約は決まった期間で終わる契約で、再契約のときに条件が変わることがあります。家賃の改定について特約がある定期借家では、「決まるまでは相当と思う額を払えば足りる」という32条のルールは使われません(借地借家法38条9項)。まず自分の契約が「普通借家」か「定期借家」かを契約書で確認しましょう。定期借家は更新ではなく再契約になり、途中でやめられる条件も決まっているので、定期借家と普通借家の違いと更新料のルールで確かめてください。
Q. どこに相談できますか?
市区町村の消費生活センター(電話188)と学校の留学生課で無料相談できます。法テラス(日本司法支援センター)の無料法律相談は、収入と資産が一定基準以下の人が対象です。証拠(通知書・やり取りの記録)を持って相談すると安心です。
まとめ
- 家賃の値上げは大家さんだけでは決められない。決まらなければ裁判で決まる
- あなたは借地借家法で守られている。断っても追い出されない
- 決まるまでは今の家賃でよい。増額が確定したら不足分に年1割の利息
- サインしない・契約を確認・記録を残すの3点を守る
- 値上げの理由は法律で3つ。近くの似た部屋の家賃を自分でも調べる
- 更新のときも、その場でサインしない。決まらなければ調停から
- 受け入れるかは引っ越し費用と比べて自分で決める。困ったら188へ
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