この記事は2026年9月30日に、JR東日本のSuicaの案内・ICカード乗車券取扱規則・旅客営業規則・指定学校の案内、PASMOの購入・払いもどしの案内とPASMO取扱規則、JR西日本のICOCAの案内、横浜市交通局の通学定期の案内で確かめて書いています。
先に結論
- 交通系ICカードとは、駅の改札にタッチするだけで運賃を払えるカードです。外国人も駅の券売機で作れます。日本に住むなら、名前を登録する「記名式」を選んでください。
- カードには預り金(デポジット)500円が入っています。1,000円で買うと、使えるのは500円です。カードを返すと戻ります。スマホのSuica・PASMOには預り金がありません。
- 通学定期は、学生証があれば買えるわけではありません。JRの「指定学校」の学生だけです。日本語学校は、専修学校か各種学校として認可され、その学科がJRの指定を受けている場合だけ買えます。
- 払い戻しは、カードを発行した会社の駅でします。残額から手数料220円を引き、預り金500円を足した額が戻ります。
- 帰国するなら、スマホのSuicaは銀行口座を閉じる前に払い戻します。返金は口座に2週間〜1か月後に届きます。
これが分かると、最初の1枚を迷わず作れて、学校の窓口で「通学証明書をください」と言えるので、定期代を正しく下げられます。帰国の前には、預り金と残額を取りこぼさない順番も分かります。
来日して最初の週、駅の券売機の前で止まる。SuicaとPASMOのボタンがあって、どちらを押せばいいか分からない。日本人の友達に聞くと「どっちでも同じだよ」。学校に通うなら学割の定期が安いと聞いたので「日本語学校でも買える?」と聞くと、今度は答えが返ってきません。日本人の学生の多くは高校や大学に通っていて、自分の学校が鉄道会社の「指定学校」かどうかを考えたことがないからです。
外国人のSuica・PASMOの作り方は?——券売機で「記名式」を選ぶ
SuicaはJR東日本の駅の多機能券売機・みどりの窓口・話せる指定席券売機で買えます(Suicaエリア内の駅)。発売価格は1,000円・2,000円・3,000円・4,000円・5,000円・10,000円のどれかです。指定席券売機では買えません。クレジットカードは、ビューカード以外は使えません。
PASMOは、PASMOを扱う鉄道会社の駅の券売機で「PASMO新規購入」を押して買います。クレジットカードでは買えません。関西のICOCAは、JR西日本のみどりの窓口や券売機で1枚2,000円です(一部の券売機では1,000円などもあります)。
どのカードでも、全国の多くの鉄道・バスで使えます。PASMOの案内では、Suica・Kitaca・ICOCA・PiTaPa・TOICA・manaca・はやかけん・nimoca・SUGOCAとPASMOの10枚のどれか1枚があれば、首都圏をはじめ全国で使えるとしています(一部使えない路線があります)。1枚を選ぶときに効いてくるのは、使える場所より、払い戻しの場所です。
おとな用の購入で、パスポートや在留カードを見せる手順は、JR東日本とPASMOの案内には書かれていません。記名式を選ぶと、券売機で名前・生年月日・性別を登録します(PASMOは電話番号も)。正しく登録しないと、なくしたときの再発行や払い戻しができない場合があります。在留カードと同じ名前で入れてください。
1枚の定期券やカードを、家族や友達と回して使う。あなたの国では、それが普通かもしれません。日本では、記名式と定期券は、登録した本人しか使えません。無記名のカードは誰でも使えますが、なくしたら戻りません。

日本に住む人が記名式を選ぶ理由は、なくしたときです。記名式なら、利用を止めて残額ごと再発行してもらえます。手数料は520円で、別に預り金500円を払います。無記名のSuicaに名前を登録して記名式に変えることはできますが、記名式を無記名に戻すことはできません。
スマホでも使えます。JR東日本の案内では、AndroidはモバイルSuica、iPhoneはApple PayのSuicaです。
「Suicaが買えない」と聞いたのは?——2025年3月に発売が戻った
SuicaとPASMOのカードは、半導体不足で2023年に発売が止まりました。記名式は2024年9月1日に、無記名は2025年3月1日に発売を再開しています。
空港で見かける「Welcome Suica」は、訪日外国人旅行者向けのカードです。有効期間は利用開始日を含む28日間で、残額は払い戻せません。日本に住む人が使い続けるカードではありません。
デポジット500円とは?——いくらかかるか
デポジット(預り金)とは、カードを使い捨てにさせないために、買うときに預ける500円です。運賃にも買い物にも使えません。カードを返すと戻ります。

| 何に | いくら |
|---|---|
| カードの預り金(Suica・PASMO・ICOCA) | 500円(返すと戻る) |
| Suicaカードの発売価格 | 1,000円〜10,000円(預り金500円を含む) |
| PASMOカードの発売額 | 1,000円(預り金500円を含む) |
| スマホのSuica・PASMO・ICOCA | 預り金なし |
| 払い戻しの手数料 | 220円(残額が220円未満ならその額) |
| 記名式をなくしたときの再発行 | 手数料520円+預り金500円 |
チャージの上限は、Suicaで20,000円です。1人が持てるSuicaは1枚で、残額を別のSuicaに移すことはできません。これから初めて作る人で、スマホが使えるなら、預り金のないモバイルSuica・モバイルPASMOから始めるのも一つの手です(JR東日本とPASMO協議会の発表)。定期券もスマホで買えます。
通学定期は誰が買える?——日本語学校は「指定」されているか次第
通学定期とは、鉄道会社が指定した学校の学生が、家の最寄り駅と学校の最寄り駅のあいだだけ使える、学生用の定期券です。
レジで学生証を見せれば、学生料金になる。あなたの国では、それが普通かもしれません。日本の通学定期は、学生証だけでは買えません。JR東日本の案内では、通学定期と学割を買えるのは、JRが定める「指定学校」に在籍する人だけです。指定学校は、次のどちらかです。
- 学校教育法第1条の学校(大学・短大・高専・高校など)。ただし聴講生や研究生などの非正規生は対象外
- それ以外で、JRの指定を受けた学校。指定は学校ごとではなく学科(部科)ごと

大学の外にある日本語学校は、学校教育法第1条の学校ではないので、2つ目に当たります。JR東日本の学校指定の規則で指定を受けられる私立の学校は、専修学校か各種学校として認可された学校です。専修学校でも各種学校でもない日本語学校は、指定を受けられず、通学定期は買えません。
認可されている学校でも、JRが指定するには条件があります。規則が挙げているのは、次の8つです。
- 修業期間が続けて12か月以上
- 授業時数が1年に700時間以上
- その学科の定員が40人以上(特殊な教育は20人以上)
- 教員が3人以上
- 入学と卒業の時期が年2回以内で決まっている(特殊な教育は年3回まで)
- 決まった時期以外に入学・卒業させていない
- 1週間に5日以上・18時間以上の授業
- 短期の修業や一部の学科だけの専修を認めていない
各種学校なら、認可の日と開校の日のどちらからも1年がたっていることも条件です。自分で全部を調べる必要はありません。学校の事務に「私の学科はJRの指定を受けていますか。通学証明書は出ますか」と聞けば分かります。
指定を受けている日本語学校は、通学定期の証明を出すと案内しています。東京日本語学校(長沼スクール)は、希望者に通学定期の学割証明を出し、割引率を約40%と案内しています。大阪YMCA学院は約50%割引とし、短期滞在ビザの人と一部の学科には適用できないと書いています。同じ学校の中でも、学科で違うことがあるということです。
遠くへ行くときの学割(学生割引乗車券)も、同じ指定学校の学生が対象です。JRの営業キロが100キロを超える区間で運賃が2割引になります。学校が出す「学割証」を窓口に出し、乗るときは学生証を持って乗ります。
通学定期の買い方は?——学校で通学証明書をもらって駅へ

- 学校の事務で「通学証明書」をもらいます。家の最寄り駅と学校の最寄り駅が書かれます。通学証明書の有効期間は、発行の日から1か月です。学生証が「通学定期乗車券購入兼用」の形なら、それで代わりになります。
- 駅で新規購入します。JR東日本では、みどりの窓口・話せる指定席券売機、または係員が立ち会う指定席券売機・多機能券売機です。駅にある「定期乗車券購入申込書」を書きます。使用開始日の14日前から買えます。期間は1か月・3か月・6か月です。
- JR東日本では、2024年4月1日から、卒業予定の年月日が書かれた証明書で一度買えば、卒業まで券売機で続けて買えるようになりました。モバイルSuicaでは、新規購入のときに証明書をアプリでアップロードして予約し、継続購入もアプリでできます。
気をつけたいのは3つです。
- アプリなどのデジタル学生証は、JR東日本では証明書として扱われません。紙やカードの学生証を持って乗ります。
- 引っ越して区間が変わったら、新しい通学証明書で買い直します。
- PASMOで買う通学定期は、新規購入と、年度をまたぐ継続購入が駅の窓口でしかできません。
私鉄・地下鉄・バスは、JRとは別に学校を認定していることがあります。横浜市交通局は、専門学校・各種学校などの学生の通学定期を、市が認定した学校だけで売っています。JRや他社で買えても、登録がなければ市営地下鉄と市営バスの通学定期は買えません。JRの路線だけで通えないなら、乗る会社ごとに確かめてください。
ルールを破ったら?——定期券は回収、運賃は3倍
通学定期で一番起きやすいのは、学校をやめたり卒業したりしたあとも、期限が残っているからと使い続けることです。JR東日本の旅客営業規則では、使う資格を失ったあとの通学定期は無効として回収されます。本人以外が使ったとき、学生証を持っていないときも同じです。

払う額は、普通運賃と、その2倍の増運賃です。本人以外が使ったときは定期券の効力が始まった日から、資格を失ったあとに使ったときは資格を失った日から、見つかった日まで毎日1往復したものとして計算します。学生証を持っていなかったときは、その乗車の区間の分です。
卒業や退学が決まったら、残りの期間を払い戻してもらうのが正しい順番です。定期券の払い戻しは、その定期券を買った会社でします。
払い戻しはどこで・いくら戻る?——発行した会社の駅で
Suicaの払い戻しは、Suicaエリア内のJR東日本の駅のみどりの窓口などでします。JR東日本以外の駅やバス営業所ではできません。逆に、PASMO・ICOCA・TOICA・manaca・Kitaca・SUGOCAなどは、JR東日本では払い戻せず、買った会社の窓口に持っていきます。東京で作ったSuicaは、関西のJR西日本の駅では払い戻せない、ということです。

戻る額は、残額から手数料220円を引いて、預り金500円を足した額です。残額が1,000円なら780円と預り金500円で1,280円、残額が220円以下なら預り金の500円だけです。PASMO(PASMO取扱規則)もICOCAも、手数料は220円、預り金は500円です。
記名式と定期券の払い戻しには、本人を確認する公的な証明書が要ります。JR東日本とPASMOの案内が例に挙げているのは運転免許証です。在留カードとパスポートを持っていき、窓口で見せてください。本人が行けないときは、記名人本人の委任状と、代わりに行く人の証明書で払い戻せます(JR東日本)。
帰国するときは?——口座を閉じる前にモバイルを払い戻す
カードは、最後の日まで使ってから駅で返せば足ります。気をつけるのはスマホのSuicaです。モバイルSuicaの払い戻しは、携帯電話の契約を解約する前に、アプリから手続きします。残額は、手続きのときに指定した銀行口座に振り込まれます。届くのは、手続きの完了から2週間〜1か月後が目安です。

銀行口座は帰国前に解約するのが原則です。モバイルSuicaの払い戻しは、口座を解約する日から逆算して、1か月以上前に済ませてください。残額が220円以下なら返金はないので、口座の入力も要りません。
カードを返さずに持ち帰っても、すぐには消えません。SuicaもPASMOも、最後にチャージや乗車などをした日の翌日から10年間使わないと失効し、預り金も残額も戻らなくなります。また日本に来る予定があるなら、持っておく選択もあります。
なくした・払い戻しに間に合わなかったら?
- 記名式をなくした——駅に申し出れば利用を止められます。再発行の手数料は520円と預り金500円で、公的証明書が要ります。無記名は再発行できません。
- 帰国の日に窓口に行けなかった(無記名)——無記名は身分証なしで払い戻せるので、日本に残る友達に頼めます。
- 帰国の日に窓口に行けなかった(記名式)——代わりの人が払い戻すには、あなたの委任状と、その人の証明書が要ります。帰国前に書いておきます。
- 通学定期のまま学校をやめる——やめた日から使えません。定期券を買った会社で残りを払い戻してもらいます。
終わりの判断——自分はどれか
- 来日したばかりで、まだカードがない——今日、駅の券売機で記名式を作る。スマホが使えるなら、預り金のないモバイルSuica・PASMOでもよい。名前は在留カードと同じに。
- 日本語学校や専門学校に通っている——今日、学校の事務に「私の学科はJRの指定を受けていますか。通学証明書は出ますか」と聞く。出るなら、次の定期から通学定期にする。
- 私鉄や地下鉄でも通っている——今日、その会社の定期券売り場に、学校名と学科名を言って通学定期が買えるか聞く。
- 帰国が決まった——今日、口座の解約日を決め、その1か月以上前にモバイルSuicaを払い戻す日をカレンダーに入れる。カードは最後の日に、発行した会社の駅で返す。
よくある質問(FAQ)
Q. 外国人でもSuicaやPASMOは作れますか?
作れます。駅の券売機や窓口で、日本人と同じように買えます。日本に住むなら、名前・生年月日・性別を登録する記名式を選ぶと、なくしたときに再発行できます。
Q. SuicaとPASMOはどちらがいいですか?
どちらも全国の多くの鉄道・バスで使えます。違いが出るのは払い戻しで、SuicaはJR東日本の駅、PASMOはPASMOの鉄道・バス会社でしか払い戻せません。よく使う駅の会社で作ると、帰国のときに楽です。
Q. デポジットはいつ戻りますか?
カードを返して払い戻すときに、500円が戻ります。残額から手数料220円を引いた額と合わせて返金されます。残額が220円以下なら、戻るのは500円だけです。
Q. 日本語学校の学生も通学定期を買えますか?
学校が専修学校か各種学校として認可され、その学科がJRの指定を受けていれば買えます。学校の事務に、通学証明書が出るかを聞いてください。私鉄や地下鉄は、会社ごとに別の認定が要ることがあります。
Q. 卒業したあとも、期限まで通学定期を使えますか?
使えません。資格を失ったあとの通学定期は無効として回収され、資格を失った日から毎日1往復した普通運賃と、その2倍の増運賃を払うことになります。残りの期間は払い戻してもらいます。
Q. 帰国するとき、SuicaやPASMOはどうすればいいですか?
カードは発行した会社の駅で返し、残額と預り金を受け取ります。モバイルSuicaは携帯電話を解約する前にアプリで払い戻し、返金が銀行口座に届いてから口座を解約します。
まとめ
交通系ICカードは、外国人も駅の券売機で作れます。日本に住むなら記名式を選び、在留カードと同じ名前で登録します。カードには預り金500円が入っていて、返すと戻ります。スマホで始めれば預り金はありません。
通学定期は、学生証ではなく学校の「指定」で決まります。日本語学校の学生は、学校の事務に通学証明書が出るかを聞くところから始めてください。帰国の前には、口座を閉じる前にモバイルSuicaを払い戻し、カードは発行した会社の駅で返します。
出典(公式):JR東日本「Suica(カードタイプ)の種類」/同「My Suica(記名式)・Suicaカードの購入」/同「払いもどし」/同「ICカード乗車券取扱規則 第1編」/同「訪日外国人旅行者等向けICカード乗車券取扱規則」/同ほか「無記名のSuica・PASMOカード発売の再開」/同「指定学校(通学定期券など)について」/同「学校及び救護施設指定取扱規則」/同「通学定期券に関するご案内」/同「旅客営業規則」第168条・第265条/同「モバイルSuica 退会・Suica払いもどし」/PASMO「大人用PASMOのご購入」/同「PASMOの払いもどし」/同「PASMO取扱規則」/JR西日本「ICOCA 払いもどし」/横浜市交通局「通学定期券の発売認定申請」(いずれも2026年9月30日確認)。定期代の額は区間で違うので、駅の窓口や券売機で確かめてください。
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