この記事は2026年9月23日に、厚生労働省の「生活保護制度」「生活保護における外国人の取扱いについて」、1954年の厚生省通知の本文、「生活困窮者自立支援制度」「住居確保給付金」「生活福祉資金貸付制度」と、出入国在留管理庁の在留期間更新・永住許可のガイドラインで確かめて書いています。
先に結論
- 外国人も生活保護を受けられる場合があります。対象は永住者・特別永住者・定住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・認定難民など、活動に制限のない在留資格の人です(厚生労働省)。
- 留学・就労の在留資格・家族滞在の人は、対象に入っていません。その場合は、国籍の条件がない自立相談支援機関で、家賃の補助(住居確保給付金)などを相談します。
- 申請先は、在留カードに書かれた住所の福祉事務所です。在留カードを見せ、申請書に国籍を書きます。原則14日以内に結果が出ます。
- もらえる額は「最低生活費−収入」の差額です。東京23区などの3人世帯(33歳・29歳・4歳)で、生活費の分は月165,360円。家賃は別に出ます。
- ビザ更新では「公共の負担」かどうかが見られますが、人道上の理由も考慮されます。受けたことだけで自動的に不許可、とは書かれていません。
これが分かると、自分の在留資格で生活保護に申請できるのか、できないなら今日どの窓口に行けばいいのかを、家賃が払えなくなる前に決められます。受けたあとの更新や永住で何を聞かれるかも、先に知っておけます。
会社の契約が切れて3か月。次の仕事はまだ決まらず、貯金は家賃2か月分しか残っていない。配偶者とは別れて、子どもと二人。日本人の友達に「生活保護って、外国人も受けられるの?」と聞くと、友達は困った顔をします。日本人にとって生活保護は「役所に行けば相談できるもの」です。外国人は、そこに在留資格とビザ更新の話が乗ってきます。
外国人は生活保護を受けられる?——対象は永住者・定住者など6つの在留資格
生活保護法は、日本国民だけを対象にしています。外国人の生活保護とは、法律そのものではなく、1954年(昭和29年)の厚生省の通知にもとづいて、日本人と同じ基準の保護を「行政措置」として行うものです。厚生労働省は、対象を次のように説明しています。
- 永住者
- 特別永住者
- 定住者
- 日本人の配偶者等
- 永住者の配偶者等
- 難民の認定を受けた人(認定難民)
共通しているのは、日本でどんな仕事や活動をしてもよい在留資格だという点です。「特定活動」のうち国内での活動に制限がないものなど、この6つ以外でも対象になるケースがあります(厚生労働省)。
反対に、留学、技術・人文知識・国際業務などの就労の在留資格、家族滞在は、この一覧に入っていません。活動の中身が決められている在留資格だからです。
外国人の生活保護の条件は?——日本人と同じ4つの前提

在留資格が対象でも、それだけでは受けられません。外国人の保護は日本人の取扱いに「準じて」行うので、条件も日本人と同じ4つの前提です。
- 資産を使う——預貯金や、使っていない土地・家があれば先に生活費にあてる。車も原則は手放す(障害で通勤・通院に必要な場合などは例外)
- 働ける力を使う——働ける人は、できる範囲で働く
- ほかの制度を使う——年金・手当・失業保険などが先
- 家族の援助が先——親族から援助を受けられるなら受ける
そのうえで、世帯の収入が国の決めた「最低生活費」より少なければ、足りない分が出ます。見るのは世帯です。働いていても、収入が最低生活費に届かなければ受けられます。
外国人だけに加わる確認もあります。都道府県が、あなたの国の大使館や領事館などから援助を受けられないことを確かめます(朝鮮・台湾出身の人は当分の間いらないとされています)。
生活保護はいくら?——最低生活費から収入を引いた差額
生活保護で出るお金は、決まった額ではありません。地域と世帯の人数・年齢で「最低生活費」が決まり、そこから給料や年金などの収入を引いた差額が毎月出ます。
厚生労働省が公表している、食費や光熱費にあたる「生活扶助」の例です(2026年4月1日現在)。
| 世帯 | 東京都区部など | 地方の郡部など |
|---|---|---|
| 3人世帯(33歳・29歳・4歳) | 165,360円 | 147,370円 |
| 母子世帯(30歳・4歳・2歳) | 197,220円 | 176,300円 |
| 高齢の単身(68歳) | 77,980円 | 68,950円 |
これに家賃が「住宅扶助」として、上限の範囲内で実費で加わります。東京都の単身の例では上限は月53,700円(1級地)です。病院の費用は「医療扶助」として病院に直接払われ、本人の負担はありません。
外国人だから額が減ることはありません。通知は、保護の内容に「差等をつけるべきではない」としています。
外国人の生活保護の申請方法——在留カードの住所の福祉事務所へ
窓口は、住んでいる地域の福祉事務所の生活保護担当です。福祉事務所は、市や区に住んでいれば市(区)が、町村に住んでいれば都道府県が置いています。福祉事務所のない町村に住んでいる人は、町村役場でも申請できます。外国人の場合は、在留カードに書かれた住所を受け持つ福祉事務所が担当です。
手順は次のとおりです。

- 福祉事務所で相談する。生活保護の説明と、ほかに使える制度の確認がある
- 申請書を出す。外国人は、申請する人と保護が必要な人の国籍を書き、有効な在留カード(特別永住者は特別永住者証明書)を見せる
- 調査を受ける。家庭訪問、預貯金や保険の調査、家族から援助を受けられるか、年金や給料の確認、働けるかどうか
- 結果が出る。原則として申請の日から14日以内、調査に時間がかかる特別な理由があるときは最長30日
在留カード、通帳、給与明細、賃貸契約書を持っていくと話が早く進みます。申請書が書けない特別な事情があれば、申請書がなくても申請できると厚生労働省は書いています。相談だけで終わりそうになったら、「申請します」と伝えてください。
結果が出るまでの生活費がないときは、社会福祉協議会の「臨時特例つなぎ資金貸付」を使える場合があります。急迫した状況なら、手続きを後回しにして先に保護してよいと通知にあります。
生活保護を受けるとビザ更新に影響する?——「公共の負担」と人道上の理由
出入国在留管理庁の「在留期間の更新許可のガイドライン」は、考える要素の一つに「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」を挙げています。中身は、日常生活で公共の負担になっておらず、将来も安定した生活が見込まれることです(世帯単位で見る)。
ただし同じ項目に、続けてこう書かれています。仮に公共の負担となっている場合でも、在留を認めるべき人道上の理由があれば、その理由を十分に考えて判断する。そしてこれらの要素は「総合的に」考えるもので、一つ当てはまらないだけで決まるものではありません。
だから、病気・離婚・失業など、なぜ生活保護が必要になったのかを、更新の申請で説明できるようにしておいてください。診断書、離職票、福祉事務所の決定通知は捨てずに取っておきます。定住者や配偶者ビザのビザ更新の必要書類と時期は、別にまとめています。
2026年10月1日から始まる更新手数料の減額は、生活保護に準じた保護などの「困窮」と、難民の認定などの「人道上の配慮」の両方がそろう人が対象です。保護を受けているだけでは減額されないので、10月からの在留手数料を見て用意してください。
永住申請・永住の取消しへの影響は?
永住許可のガイドラインは、要件の一つに「日常生活において公共の負担にならず、将来において安定した生活が見込まれること」を置いています。
ただし例外があります。日本人・永住者・特別永住者の配偶者や子は、この独立生計の要件がいりません。難民の認定を受けた人なども同じです。年数や年金の納付など、ほかの条件は永住権の要件の記事で確かめてください。
永住者には、2027年4月から「永住の取消し」の制度が始まります。2026年8月のガイドライン案は、税や保険料の未払いで取り消される場合から外れる例に「生活保護に準じた措置を受けている場合」を挙げています(案の段階)。
対象外の在留資格の人は?——生活保護の前に使える3つの制度
生活保護の対象外の人にも、行ける窓口はあります。対象の人も、同じ窓口を先に使えます。
① 自立相談支援機関——まず行く窓口
生活困窮者自立支援制度の相談窓口です。法律の「生活困窮者」の定義に、国籍の条件はありません。仕事・家賃・家計・住まいの困りごとを聞き、一緒に支援の計画を立てます。全国に1,372か所(2025年4月時点)あります。場所は、厚生労働省が案内している全国の自立相談支援機関の一覧で探せます。
② 住居確保給付金——家賃の補助
仕事を辞めて(廃業して)2年以内の人か、自分のせいではない理由で同じくらい収入が減った人に、家賃を補助する制度です。条件のおもなものは次のとおりです。
- 世帯の収入が、自治体の決めた基準額と家賃を足した額以下
- 預貯金が基準額の6か月分以下(100万円が上限)
- ハローワークに申し込んで、仕事を探す
出るのは原則3か月、延長すれば最大9か月です。お金は自治体から大家さんに直接払われます。上限は生活保護の住宅扶助と同じで、東京23区なら単身で月53,700円です。外国籍の人について、厚生労働省は「対象者になる可能性があります」と答えています。学生は、一般に家計を支える人ではないので基本的に対象外とされています(例外はあります)。
③ 緊急小口資金——10万円以内の貸付
社会福祉協議会(社協)が貸す、10万円以内のお金です。無利子で保証人もいりません。貸付なので、2か月の据え置きのあと12か月以内に返します。失業保険や年金が出るまでの生活費、解雇や休業での収入減などが対象です。
外国人については、県の社協ごとに条件を案内しています。神奈川県・千葉県・大阪府の社協は、在留資格があり、将来も日本に長く(永住する見込みで)住み続けることを条件にしています。住んでいる市区町村の社協で、自分が当てはまるかを聞いてください。
仕事を失った人は、雇用保険に入っていれば失業保険が先です。
受けたあとのルールは?——守ること・外国人だけ違うこと
生活保護を受けている間は、次のことを守ります。
- 収入の状況を毎月申告する。アルバイトの給料も含む
- ケースワーカーの家庭訪問(年に数回)を受け、生活についての指導に従う
外国人だけ違う点が2つあります。
1つ目は、決定に不満があっても「不服申立て」ができないことです。外国人の保護は法律上の権利ではなく行政措置なので、厚生労働省の通知は不服申立てを却下するとしています。だから最初の申請で、収入と資産の資料をそろえ、事情を具体的に伝えてください。
2つ目は国民年金です。日本人は生活保護を受けると届け出で保険料が免除されます(法定免除)。行政措置で保護を受ける外国人は、自分で免除を申請します(申請免除)。手続きは国民年金の免除の記事で確かめられます。申請しないまま未納にすると、更新や永住の審査で見られる記録が残ります。
外国人の生活保護が見直されるって本当?——決まっていること・いないこと
2026年1月23日の政府の「総合的対応策」には、生活保護について次の2点が書かれています。
- 2027年6月から、福祉事務所がマイナンバーで国籍や在留資格を確かめられるよう、関係省庁と調整している
- 今後の課題として、「行政措置の対象となる者の見直しも含め」、必要な措置を検討する
2月3日の記者会見で、厚生労働大臣は、対象者の見直しについて具体的な方針やスケジュールは現時点で決まっていないと答えています。2026年9月23日の時点で、厚生労働省のページの対象は、この記事の一覧のままです。
終わりの判断——自分はどれか
- 永住者・定住者・配偶者ビザなどで、貯金も収入も尽きかけている——在留カードと通帳、給与明細を持って福祉事務所へ行く。今日、役所に電話して生活保護の窓口の場所を聞く。
- 留学・就労の在留資格・家族滞在で、家賃が払えなくなりそう——自立相談支援機関で、住居確保給付金と緊急小口資金を相談する。今日、一覧で近くの窓口を探して電話する。
- 仕事を辞めたばかりで、まだ貯金が少し残っている——失業保険と、国民年金・国民健康保険の免除や軽減を先に済ませる。今日、離職票が届いているか会社に確かめる。
- 生活保護を受けていて、次のビザ更新が近い——保護が必要になった理由を示す書類(診断書・離職票・決定通知)をまとめる。今日、在留カードの期限の3か月前をカレンダーに書く。
よくある質問(FAQ)
Q. 外国人も生活保護を受けられますか?
永住者・特別永住者・定住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・認定難民などは、日本人に準じた保護を受けられる場合があります。1954年の厚生省通知による行政措置で、条件は日本人と同じです。
Q. 留学生や就労ビザの人は生活保護を受けられますか?
留学・就労の在留資格・家族滞在は、厚生労働省が示す対象に入っていません。自立相談支援機関で、住居確保給付金や緊急小口資金を相談できます。
Q. 外国人の生活保護はどこで申請しますか?
在留カードに書かれた住所を受け持つ福祉事務所です。申請書に国籍を書き、在留カードを見せます。結果は原則14日以内に出ます。
Q. 外国人の生活保護はいくらですか?
最低生活費から収入を引いた差額で、日本人と同じ基準です。東京都区部などの3人世帯(33歳・29歳・4歳)の生活扶助は月165,360円(2026年4月現在)で、家賃は別に出ます。
Q. 生活保護を受けるとビザ更新はできなくなりますか?
受けたことだけで不許可になるとは書かれていません。入管のガイドラインは、公共の負担となっている場合でも、人道上の理由があれば十分に考えて判断するとしています。
Q. 外国人の生活保護はなくなるのですか?
具体的な方針や時期は決まっていません。2026年1月の政府の総合的対応策で、対象の見直しも含めた検討が課題とされましたが、2月に厚生労働大臣が「現時点で決まっていない」と説明しています。
まとめ
外国人の生活保護は、法律ではなく1954年の通知にもとづく行政措置です。永住者・定住者・配偶者ビザ・認定難民など活動に制限のない在留資格の人が対象で、条件と金額は日本人と同じ基準です。申請先は在留カードの住所の福祉事務所で、結果は原則14日以内に出ます。
留学・就労・家族滞在の人には、自立相談支援機関、住居確保給付金、緊急小口資金という手前の道があります。ビザ更新では人道上の理由も考慮されるので、事情を示す書類を残してください。家賃が払えなくなる前に窓口へ行くことが、いちばん選べる道を多く残します。
出典(公式):厚生労働省「生活保護制度」/同「生活保護における外国人の取扱いについて」/同「生活保護制度に関するQ&A」/同「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について」(昭和29年通知)/同「生活困窮者自立支援制度」/同「住居確保給付金 よくある質問」/同「生活福祉資金貸付条件等一覧」/出入国在留管理庁「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」/同「永住許可に関するガイドライン」/厚生労働大臣会見(2026年2月3日)。2026年9月23日に確認したものです。自分が対象になるかは、必ず福祉事務所か自立相談支援機関で確かめてください。
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