この記事は2026年9月18日に、出入国在留管理庁の「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」「不許可事例」「特例期間とは?」と、入管法第20条・第21条(e-Gov)を本文まで開いて確かめました。不許可のあとの「出国準備」の扱いは案内ページに載っていないので、この記事では断定せず、窓口で確かめることとして書いています。
先に結論
- 在留期間更新の不許可とは、法務大臣が「更新を適当と認める相当の理由」が無いと判断すること。審査は8つの要素で、活動・素行・生計・納税・届出が柱です。
- 入管庁が公開する不許可事例9件のうち、6件は刑事処分か虚偽申告。残りは「在留資格の活動をしていない」「認めるべき事情が無い」。ふつうに働き、税金を納め、届出をしている人は、ここに当たりません。
- 期限までに結果が出なくても、満了日から2か月は今の資格のまま在留できます(特例期間)。在留カードの裏面に「申請中」の記載があるかを見てください。
- 不許可の通知が来たら、①窓口で理由を聞く ②在留期限内なら理由を直して再申請、または別の在留資格への変更 ③どちらも無理なら出国の準備。放置して期限を過ぎるのがいちばん悪い。
- 不許可なら手数料は払いません。手数料は許可のときに納めるものです(10月1日から大幅値上げ)。
ハガキが来た。「不許可」と書いてある。なぜなのか、あと何日いられるのか、もう一度出せるのか。日本人の同僚に聞いても「えっ、そんなことあるの」で終わります。その人は在留資格を持ったことがないからです。ここでは、入管庁が自分で公開している審査の物差しと不許可事例を並べて、「なぜ落ちるか」「落ちたら何をどの順番でするか」を書きます。
不許可とは何ですか?——「相当の理由」が無いと判断されることです

在留期間の更新は、法務大臣が「更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り」許可できるもので、権利ではなく裁量です(入管法第21条第3項)。在留資格の変更も同じ(第20条第3項)。その「相当の理由」をどう判断するかを、入管庁はガイドラインで公開しています。見るのは次の8つです。
- 行おうとする活動が、その在留資格に当てはまる——技人国なら大卒レベルの仕事、留学なら学校に通っていること
- 上陸許可基準に合っている——入国のときの基準を、今も満たしている
- 今の在留資格の活動を実際にしている——失踪した技能実習生、退学したのに在留し続ける留学生は「正当な理由がなければ消極的な要素」
- 素行が不良でない——退去強制事由に準ずる刑事処分、不法就労のあっせんなどは、初犯でも素行不良
- 独立して生計を営む資産・技能がある
- 雇用・労働条件が適正——最低賃金や労働法に反する働き方でない
- 納税の義務を果たしている——住民税・所得税の未納は「消極的な要素」
- 入管法の届出の義務を果たしている——住居地の届出、所属機関の届出(退職・転職から14日以内)
1〜3が「あなたは今もその資格の人か」、4〜8が「日本のルールを守って暮らしているか」。不許可の多くは、この8つのどれかに具体的な引っかかりがあります。逆に言えば、8つとも問題が無い人が不許可になることは、まれです。
実際、何が理由で不許可になっていますか?——公開事例9件の内訳
入管庁は不許可事例を9件、公開しています。並べると型が見えます。
- 刑事処分(5件)——不法就労助長罪で罰金30万円(経営・管理)、児童ポルノ関連で罰金50万円(技人国)、詐欺・窃盗で懲役2年執行猶予4年(定住者)、大麻で懲役10月執行猶予3年(日本人の配偶者等)、資格外活動許可なく風俗営業店で長期稼働(留学)。執行猶予中でも、罰金刑でも、不許可になっています。
- 虚偽申告(1件)——源泉徴収票の住所と、入管に届け出た住居地が違っていた(定住者)。引っ越したのに住居地の届出をしていないと、こうなります。
- 在留資格の活動をしていない・合理的理由が無い(2件)——日本語学校から専門学校に進んだあと、同じ学校の同じ課程をもう一度受けようとした(留学)。会社を辞めたあと定住者への変更を希望した(技人国)。
- 定着性が無い(1件)——在留1年3か月で離婚し、定住者への変更を希望した。
この9件に、「書類が1枚足りなかった」「日本語が下手だった」はありません。書類の不足は追加提出を求められるのがふつうで、不許可の理由になるのは「中身」です。ただし、自分で書けない部分——会社の経営状態、学校の出席率——が理由になることはあります。留学生の出席率が低い、会社が税金を滞納している、といった場合です。
期限までに結果が出ないときは?——満了日から2か月の「特例期間」があります

申請は満了日の概ね3か月前から出せます。出したあと、満了日までに結果が出ないことはよくあります。その場合、満了日から2か月を経過する日か、結果が出る日の、どちらか早い日まで、今の在留資格のまま日本にいられます(入管法第20条第6項・第21条第4項)。これを特例期間といいます。
特例期間中は、今までどおり働き、学校に通えます。在留カードの表面の期限は過ぎていても、裏面の「在留期間更新等許可申請欄」に申請中の記載があれば有効です(オンライン申請は記載が無いので、申請の受付メールを保存)。銀行や役所で「期限切れ」と言われたら、裏面を見せてください。
ひとつ注意。特例期間は「満了日から2か月」で終わります。2か月を過ぎても結果が出ないことは通常ありませんが、その前に入管から追加書類を求められたら、すぐ出してください。出さないまま2か月が過ぎると、在留の根拠が無くなります。
不許可の通知が来たら、何をしますか?——順番は「理由→再申請か変更→出国」
- 窓口で理由を聞く。不許可の通知には理由が詳しく書かれていません。通知を持って地方出入国在留管理局へ行き、理由を聞きます。「何が足りなかったか」が分からなければ、次の手が打てません。会社や学校の担当者と一緒に行くと、会社側の理由(経営状態、雇用条件)も確かめられます。
- 在留期限内なら、理由を直して再申請する。または、別の在留資格への変更を申請する。たとえば、仕事の内容が技人国に当てはまらないと言われたなら、当てはまる仕事に変えて出し直す。会社を辞めていて次が決まっているなら、新しい会社で変更申請。特例期間の残りが短いなら、日を置かずに出します。
- 再申請も変更も無理なら、出国の準備をする。不許可のあとに出国準備のための短い在留が認められることがあると一般に言われますが、入管庁の案内ページにはその条件が書かれていないので、窓口で「出国までに何日あるか」を必ず確かめてください。言われた日までに出国します。放置して期限を過ぎると不法残留になり、次に日本に来ることが難しくなります。
不許可でも手数料は払いません。手数料は許可されたときに納めるものです。なお2026年10月1日から手数料が大きく上がるので、再申請する人は、9月30日までに出せるかどうかで金額が変わります。
不許可にならないために、今日からできること
8つの要素のうち、自分で今すぐ直せるのは3つです。
- 届出を出す。引っ越したら14日以内に住居地の届出、辞めた・転職したら14日以内に所属機関の届出。不許可事例の「住所の相違」は、これを忘れた形です。
- 税金を納める。住民税の納付書を放置しない。払えないなら役所で分割の相談。「未納」は消極的要素と明記されています。
- 在留資格の活動を続ける。留学生は出席、就労者は在留資格に合う仕事。辞めたら3か月ルールが動き出すので、求職の記録を残す。
刑事処分は、罰金刑でも不許可になっています。自転車の飲酒運転、万引き、大麻——「小さいこと」は在留審査では小さくありません。
終わりの判断——自分はどれか
まだ結果待ちで、期限が近い人:特例期間があるので、期限を過ぎても2か月は大丈夫。在留カードの裏面を確かめ、追加書類の連絡を見逃さない。
不許可の通知を受け取った人:今日、窓口に理由を聞きに行く。理由が直せるものなら再申請か変更、直せないなら出国日を確かめる。決めるのは理由を聞いてからで、放置だけはしない。
次の更新が心配な人:届出・納税・活動の3つを今日そろえる。この3つが揃っていて刑事処分が無ければ、公開事例のどれにも当たりません。
よくある質問(FAQ)
Q. 在留期間更新が不許可になる理由は何ですか?
入管庁の公開事例9件では、刑事処分5件、虚偽申告1件、在留資格の活動をしていない・合理的理由が無い2件、定着性が無い1件です。審査は活動・素行・生計・納税・届出など8つの要素で行われます。
Q. 期限までに結果が出ません。不法滞在になりますか?
なりません。満了日から2か月か結果が出る日の早いほうまで、今の資格で在留できます(特例期間)。在留カードの裏面に申請中の記載があります。
Q. 不許可になったら、もう一度申請できますか?
在留期限内なら、理由を直して再申請するか、別の在留資格への変更を申請できます。まず窓口で理由を聞いてください。
Q. 不許可になったら、すぐ出国しなければなりませんか?
出国までの日数の扱いは案内ページに載っていないので、窓口で必ず確かめてください。言われた日までに出国します。放置して期限を過ぎると不法残留です。
Q. 不許可でも手数料は取られますか?
取られません。手数料は許可のときに納めます。2026年10月1日から手数料が大きく上がります。
Q. 税金の未納があると不許可になりますか?
「納税義務の履行」は審査要素で、未納は消極的な要素と明記されています。それだけで必ず不許可とは限りませんが、更新の前に納めるか、役所で分割の相談をしてください。
まとめ
在留期間更新の不許可は、8つの審査要素のどれかに具体的な引っかかりがあるときに起きる。公開事例の型は、刑事処分・虚偽申告・活動をしていない・定着性が無い。期限までに結果が出なくても、満了日から2か月は今の資格で在留できる。
不許可の通知が来たら、理由を聞く→再申請か変更→無理なら出国、の順。放置だけはしない。手数料は不許可なら払わない。届出・納税・活動の3つを今日そろえれば、次の更新の心配はほぼ消えます。
出典(公式):出入国在留管理庁「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」/同「在留期間の更新許可申請及び在留資格の変更許可申請に係る不許可事例について」/同「特例期間とは?」/出入国管理及び難民認定法 第20条第3項・第6項、第21条第3項・第4項(e-Gov)(いずれも2026年9月18日に確認)
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