五 ・ 使う力 ・ SPEND WELL
お金は、使うためにあります。
守って、貯めて、稼いで、増やす。その全部は、最後に使うためにやっています。使い方を決めないまま数字だけ増やしても、日本での時間は戻ってきません。
なぜ「使う力」が最後なのか
最後だからおまけ、ではありません。逆です。ここが目的で、前の四つは手段です。
順番の意味はこうです。守らなければ失い、貯めなければ元手がなく、稼がなければ増えず、増やさなければ選べません。そして選べるようになったとき、何に使うかを知らなければ、そこまでの努力が宙に浮きます。
使う力とは、我慢の反対です。削るところを決めて、残したところに堂々と使う力のことです。
日本にいる間にしか使えないものがあります
お金には替えられるものと、替えられないものがあります。日本にいる時間は、替えられないほうです。
正月に何が閉まって、何を食べるのか。近所の役所で何ができるのか。家族を呼ぶには何が要るのか。これは日本にいる間しか経験できません。あとから同じ金額を払っても、買い戻せません。
だからこの章では、節約の話をしません。「いま使わないと二度と使えないもの」に、お金と時間を向けるための話をします。
この力は、日本を出ても使えます
おせちの意味も、住民票の取り方も、日本の外では役に立ちません。それでいいのです。
残るのは、下のほうです。
- 削るところと、残すところを自分で決める——全部削るのは、使う力ではありません
- 戻ってこないものに先に使う——時間、家族と過ごす年数、その土地にいるあいだしかできない経験
- 人に使ったお金は、いちばん長く残る——家族、友人、世話になった人
- 知らない文化には、まず参加してみる——理解してからではなく、参加してから理解します
これは母国に帰っても、そのまま同じです。国が変わっても、「戻ってこないものに先に使う」という判断の仕方は変わりません。
そしてこれがいちばん、子どもや孫に渡しやすいものです。いくら貯めたかは伝わりませんが、何にお金を使う家だったかは、そのまま伝わります。
使う力の記事
これからも日本で暮らすなら永住権の要件を、帰ると決めたなら帰国前のチェックリストを先に読んでおいてください。どちらも、早く知るほど選べる幅が広がります。
五つの力は、ここで一周します
使い方が決まると、何を守るべきかがはっきりします。守るものが分かれば、貯め方も稼ぎ方も変わります。五つの力は一列ではなく、輪です。